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3話
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収録とインタビューを終え、今日の仕事は終わり。
明日はオフなので、寮に戻ったORCAメンバーたちはそれぞれ思い思いに好きなことをやっていた。さっさと寝たり、作業部屋に閉じ籠ったり、遊びに行ったり。
そんな中、優成はリビングのソファに腰かけて床を睨み付けていた。というか、メンバーがリビングにほぼいないのは、悩める優成の顔が怖いからだった。
そんな年上たちの気苦労も知らず、優成は今朝がた仁に見せられた『明樹への好意駄々漏れ動画集』を繰り返し思い返していた。
(正直、流石に、あれは、好意駄々漏れと言われても仕方なかった……)
例えば優成と仁だって、よく肩を組んだりハグしたりするし距離感も近いと言える。しかし、優成と明樹の絡みは、なんというか湿度が違った。優成が明樹以外のメンバーと絡むときはカラッとしている空気感が、対明樹になると途端に濡れた感じになる。
そういう自己分析を叩き出すところまでは来たが、優成は答えを出せていなかった。
(俺はいったいいつから、インタビュー中にも関わらず穴が開くほど明樹さんの顔面を見つめ続けたり、明樹さんが話しているのをニッコニコで聞いていたり、撮影の時に異常に明樹さんとくっついていたりしたんだ……?)
優成としては、明樹もそれ以外のメンバーも平等に見つめているし、平等に笑顔を向けているし、平等にくっついていると思っていた。
しかし、現実は全く平等じゃなかったのだ。
「優成~Netflixに新作来たから一緒に観ようよ。って顔怖……」
「……明樹さん」
渦中の人物──中城明樹が軽い足取りでリビングに現れ、そのまま至近距離で顔を覗き込んできたので、優成は床を睨んだ顔のまま目だけ明樹に向けた。
明樹は『顔天才』の異名を持ち、アンチに「顔だけじゃん」と叩かれるくらいには顔のいい男だった。人を選ぶ派手なピンク髪も遜色なく似合っている。そんな明樹の美しく涼しい目元が少し見開かれた。
「床をそんなに睨んでどうした。故郷の村でも焼かれたのか」
「そんなわけないでしょ。俺は明樹さんと違って東京23区生まれの大都会人です」
「ちょっと仁、優成が冗談通じなくなってて怖いし、岐阜出身の俺をディスってきた」
「明樹は今来たから知らないだろうけど、優成はここ30分黙って床を睨み続けてるから、今絡まない方がいいよ」
自分のパフォーマンス動画を観てダンスの質をチェックしている仁は、スマホから顔を離さずに答える。
「そっか。じゃ仁、俺と一緒にIT観てよ」
「いいよ~ポップコーンあったよね、確か」
今朝がた優成にメンチを切っていたとは思えないエンジェルスマイルを、仁は明樹に向けた。
「ちょっと待った。観ないとは一言も言ってないです。俺が観ますよ」
離れようとする明樹の手首を優成が両手で掴むと、仁が目を細める。優成の腕力が強いので、明樹はちょっとよろけていた。
「はぁ……それで無自覚とかなに」
それだけ言って、仁は目線をスマホに戻した。
(手首掴むことに自覚も無自覚も関係なくないですか?)
と、聞きたかったが明樹がいる手前聞けないので、優成は黙って立ち上がった。
「IT観てくれんの?」
「はい。ITでもTHATでも何でも」
「よし、じゃポップコーンとコーラ用意な」
ニカッと笑う明樹を見て、優成は自分の顔が笑顔になっているのに気づいた。そしてこの瞬間、「かわいい」と言いそうになっていた。視線を感じて振り返るとジト目の仁と目が合う。
これが好意駄々漏れかと思い、優成は唇を噛みながら口元に手を当てた。
明日はオフなので、寮に戻ったORCAメンバーたちはそれぞれ思い思いに好きなことをやっていた。さっさと寝たり、作業部屋に閉じ籠ったり、遊びに行ったり。
そんな中、優成はリビングのソファに腰かけて床を睨み付けていた。というか、メンバーがリビングにほぼいないのは、悩める優成の顔が怖いからだった。
そんな年上たちの気苦労も知らず、優成は今朝がた仁に見せられた『明樹への好意駄々漏れ動画集』を繰り返し思い返していた。
(正直、流石に、あれは、好意駄々漏れと言われても仕方なかった……)
例えば優成と仁だって、よく肩を組んだりハグしたりするし距離感も近いと言える。しかし、優成と明樹の絡みは、なんというか湿度が違った。優成が明樹以外のメンバーと絡むときはカラッとしている空気感が、対明樹になると途端に濡れた感じになる。
そういう自己分析を叩き出すところまでは来たが、優成は答えを出せていなかった。
(俺はいったいいつから、インタビュー中にも関わらず穴が開くほど明樹さんの顔面を見つめ続けたり、明樹さんが話しているのをニッコニコで聞いていたり、撮影の時に異常に明樹さんとくっついていたりしたんだ……?)
優成としては、明樹もそれ以外のメンバーも平等に見つめているし、平等に笑顔を向けているし、平等にくっついていると思っていた。
しかし、現実は全く平等じゃなかったのだ。
「優成~Netflixに新作来たから一緒に観ようよ。って顔怖……」
「……明樹さん」
渦中の人物──中城明樹が軽い足取りでリビングに現れ、そのまま至近距離で顔を覗き込んできたので、優成は床を睨んだ顔のまま目だけ明樹に向けた。
明樹は『顔天才』の異名を持ち、アンチに「顔だけじゃん」と叩かれるくらいには顔のいい男だった。人を選ぶ派手なピンク髪も遜色なく似合っている。そんな明樹の美しく涼しい目元が少し見開かれた。
「床をそんなに睨んでどうした。故郷の村でも焼かれたのか」
「そんなわけないでしょ。俺は明樹さんと違って東京23区生まれの大都会人です」
「ちょっと仁、優成が冗談通じなくなってて怖いし、岐阜出身の俺をディスってきた」
「明樹は今来たから知らないだろうけど、優成はここ30分黙って床を睨み続けてるから、今絡まない方がいいよ」
自分のパフォーマンス動画を観てダンスの質をチェックしている仁は、スマホから顔を離さずに答える。
「そっか。じゃ仁、俺と一緒にIT観てよ」
「いいよ~ポップコーンあったよね、確か」
今朝がた優成にメンチを切っていたとは思えないエンジェルスマイルを、仁は明樹に向けた。
「ちょっと待った。観ないとは一言も言ってないです。俺が観ますよ」
離れようとする明樹の手首を優成が両手で掴むと、仁が目を細める。優成の腕力が強いので、明樹はちょっとよろけていた。
「はぁ……それで無自覚とかなに」
それだけ言って、仁は目線をスマホに戻した。
(手首掴むことに自覚も無自覚も関係なくないですか?)
と、聞きたかったが明樹がいる手前聞けないので、優成は黙って立ち上がった。
「IT観てくれんの?」
「はい。ITでもTHATでも何でも」
「よし、じゃポップコーンとコーラ用意な」
ニカッと笑う明樹を見て、優成は自分の顔が笑顔になっているのに気づいた。そしてこの瞬間、「かわいい」と言いそうになっていた。視線を感じて振り返るとジト目の仁と目が合う。
これが好意駄々漏れかと思い、優成は唇を噛みながら口元に手を当てた。
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