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8話
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俺はベッドに横になりながら、switchで遊んでいた。
剣を装備した主人公を操作して敵を倒していく、一般的なRPG。
難易度が低く、ストーリーもとっつきやすくて感動的だと勧められたのでやってみているのだが、パーティーゲームはするもののRPGはほとんどやったことが無い俺は、序盤にも関わらず苦戦している。
「うーん……」
このゲームを勧めてきたのは千明さんだ。やっぱり助言をもらおう。
俺はそう思って、ベッドから身を乗り出す。
「あの、千明さ」
「っだぁ~!今のなしだろ!」
恋人の怒声が被り、俺はすぐに閉口した。千明さんはテレビ画面を親の仇のように睨みつけている。
俺たちはつい最近付き合い始めた、ラブラブな時期。
の、はずだが。
「あー!マジでふざけんなよ……!」
千明さんは恋人の声に耳を傾けるよりも、テレビ画面を睨むのに忙しい。
彼はストレス発散のためにゲームをしているはずなのにたまにストレスを増やしている気がするが、とりあえず終わるまで待とうと、俺はごろりとベッドへ身を転がして再び扉を開けるための鍵を探し始めた。
「──る、巡。ね、起きなよ」
「ん……」
体を軽く揺すられるのを感じ、俺はうっすらと目を開ける。
と、目の前に千明さんの顔があった。
「うわっ」
「うわって酷くない?」
時計を見ると、俺が最後に見た時刻から1時間以上経っていた。
俺はどうやらいつの間にか寝落ちしていたようだ。
千明さんは少し不服そうな顔していたが、すぐに「ほっといてごめん」と眉尻を下げた。
「でも俺のベッドで寝てるのは結構良くないと思うよ」
「あ、すみません!勝手に……」
急いで退こうと体を起き上げると、千明さんに肩を押され俺はベッドへと戻された。
「いや、自由にしてくれていいんだけどさ」
そのまま千明さんの顔が近づいてくる。
(あ、キスされる)
そう思って目を瞑るのと同時に唇を塞がれた。目と同じくらい口も固く閉じていると、くいっと顎を引かれ千明さんの舌が口内に侵入してくる。
「ん、ふ……」
歯列を舌でなぞられて、俺は声を漏らした。
千明さんはキスが好きなようで、事あるごとにキスをしてくる。しかも一度始まると長い。
唇だけが触れ合うキスなんて、最初の1回くらいだった。今ではキスの度に舌を絡ませてくる。
「は……ぁっ……」
上顎をなぜられ、ゾクゾクとした感覚が背中に走る。いつもより長く味わうようなキスに、思考を支配されていく。
千明さんの部屋に2人きり。
ベッドの上で舌を絡ませ合っている。
(もしかして、今日はついに)
勝手な期待に体の中心が熱を持ち始める。
もっと、と欲が出たところで千明さんはキスをやめた。
「無防備に男を煽るのはダメ」
ちゅっと軽いキスをして、覆いかぶさっていた千明さんは起き上がる。
そのまま枕元に置いてあったVitaを手に取っていじり出すと、
「え、まだここなの?」
俺のゲーム進行具合に驚いている。俺は俺で、何事もなかったようにゲームを始める千明さんに驚いていた。
(あんなキスしておいて、終わりってマジ?)
しかし『そんなことより、さっきの続きをしてほしい』なんてことは勿論言えずに、俺は高ぶりかけた熱を持て余したまま、「鍵見つからなくて……」と曖昧に笑った。
「あぁ、それならここにあるよ」
千明さんは俺の横にボスっと勢い良く寝ころび、画面を見せてくる。探していた鍵は、街の路地奥にある宝箱の中に入っていた。
「次のボスはあと2レベくらい上げたら余裕で勝てるはず」
「な、なるほど。ありがとうございます」
親切に教えてくれる千明さんには悪いが、今の俺は近距離に千明さんがいるだけで高ぶった気持ちを鎮めるのが困難だった。
さっきの続きをする気は無いのだろうかと、ついゲーム画面よりも千明さんの顔を見つめてしまう。
「ん?どうかした?」
「あ、いや……その」
なんと言えばいいのか。
『セックスしたいです』
こんなこと言って千明さんに引かれでもしたら、俺は一生立ち直れない。
それに男同士のセックスなんて、ネットで調べただけで実際は良くわかっていない。そもそも千明さんは男と経験があるのか、そんなことも話したことはなかった。言うべき言葉が見つからず俺は目を泳がせる。
「あ、もうこんな時間か。部屋戻った方がいいね」
時間を気にしていると思ったのか、千明さんはそう言ってほほ笑む。明日は3限からだし時間なんてどうでもよかったが、
「そうですね、戻ります」
千明さんから顔をそらしながら、俺は起き上がっていた。
剣を装備した主人公を操作して敵を倒していく、一般的なRPG。
難易度が低く、ストーリーもとっつきやすくて感動的だと勧められたのでやってみているのだが、パーティーゲームはするもののRPGはほとんどやったことが無い俺は、序盤にも関わらず苦戦している。
「うーん……」
このゲームを勧めてきたのは千明さんだ。やっぱり助言をもらおう。
俺はそう思って、ベッドから身を乗り出す。
「あの、千明さ」
「っだぁ~!今のなしだろ!」
恋人の怒声が被り、俺はすぐに閉口した。千明さんはテレビ画面を親の仇のように睨みつけている。
俺たちはつい最近付き合い始めた、ラブラブな時期。
の、はずだが。
「あー!マジでふざけんなよ……!」
千明さんは恋人の声に耳を傾けるよりも、テレビ画面を睨むのに忙しい。
彼はストレス発散のためにゲームをしているはずなのにたまにストレスを増やしている気がするが、とりあえず終わるまで待とうと、俺はごろりとベッドへ身を転がして再び扉を開けるための鍵を探し始めた。
「──る、巡。ね、起きなよ」
「ん……」
体を軽く揺すられるのを感じ、俺はうっすらと目を開ける。
と、目の前に千明さんの顔があった。
「うわっ」
「うわって酷くない?」
時計を見ると、俺が最後に見た時刻から1時間以上経っていた。
俺はどうやらいつの間にか寝落ちしていたようだ。
千明さんは少し不服そうな顔していたが、すぐに「ほっといてごめん」と眉尻を下げた。
「でも俺のベッドで寝てるのは結構良くないと思うよ」
「あ、すみません!勝手に……」
急いで退こうと体を起き上げると、千明さんに肩を押され俺はベッドへと戻された。
「いや、自由にしてくれていいんだけどさ」
そのまま千明さんの顔が近づいてくる。
(あ、キスされる)
そう思って目を瞑るのと同時に唇を塞がれた。目と同じくらい口も固く閉じていると、くいっと顎を引かれ千明さんの舌が口内に侵入してくる。
「ん、ふ……」
歯列を舌でなぞられて、俺は声を漏らした。
千明さんはキスが好きなようで、事あるごとにキスをしてくる。しかも一度始まると長い。
唇だけが触れ合うキスなんて、最初の1回くらいだった。今ではキスの度に舌を絡ませてくる。
「は……ぁっ……」
上顎をなぜられ、ゾクゾクとした感覚が背中に走る。いつもより長く味わうようなキスに、思考を支配されていく。
千明さんの部屋に2人きり。
ベッドの上で舌を絡ませ合っている。
(もしかして、今日はついに)
勝手な期待に体の中心が熱を持ち始める。
もっと、と欲が出たところで千明さんはキスをやめた。
「無防備に男を煽るのはダメ」
ちゅっと軽いキスをして、覆いかぶさっていた千明さんは起き上がる。
そのまま枕元に置いてあったVitaを手に取っていじり出すと、
「え、まだここなの?」
俺のゲーム進行具合に驚いている。俺は俺で、何事もなかったようにゲームを始める千明さんに驚いていた。
(あんなキスしておいて、終わりってマジ?)
しかし『そんなことより、さっきの続きをしてほしい』なんてことは勿論言えずに、俺は高ぶりかけた熱を持て余したまま、「鍵見つからなくて……」と曖昧に笑った。
「あぁ、それならここにあるよ」
千明さんは俺の横にボスっと勢い良く寝ころび、画面を見せてくる。探していた鍵は、街の路地奥にある宝箱の中に入っていた。
「次のボスはあと2レベくらい上げたら余裕で勝てるはず」
「な、なるほど。ありがとうございます」
親切に教えてくれる千明さんには悪いが、今の俺は近距離に千明さんがいるだけで高ぶった気持ちを鎮めるのが困難だった。
さっきの続きをする気は無いのだろうかと、ついゲーム画面よりも千明さんの顔を見つめてしまう。
「ん?どうかした?」
「あ、いや……その」
なんと言えばいいのか。
『セックスしたいです』
こんなこと言って千明さんに引かれでもしたら、俺は一生立ち直れない。
それに男同士のセックスなんて、ネットで調べただけで実際は良くわかっていない。そもそも千明さんは男と経験があるのか、そんなことも話したことはなかった。言うべき言葉が見つからず俺は目を泳がせる。
「あ、もうこんな時間か。部屋戻った方がいいね」
時間を気にしていると思ったのか、千明さんはそう言ってほほ笑む。明日は3限からだし時間なんてどうでもよかったが、
「そうですね、戻ります」
千明さんから顔をそらしながら、俺は起き上がっていた。
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