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それじゃあね
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ユキくんって、別にカッコよくもなくて身長が高いわけでもなく、お金持ちってわけでも、賢いわけでもありませんでした。ただ、優しかったんです。私はその優しさに救われました。昔はもう男の子に好きって言われることが気持ち悪くて仕方がなかったんですけど、ユキくんは違いました。これは前にも言ったことがあるかもしれませんが。だからイツキはやっぱり気持ち悪くなっちゃったし、この前出かけた同級生の男子とかは庇うこともないくらいにキモいって思ってしまうくらいでした。
最近、ちょっとだけ憧れを抱いていた同い年の男の子、ナカヤマくんは素敵な人だったんだけど、やっぱりなんだか違うなって思ってしまうんです。『蛙化現象』って言うんですって。私はこのこと知りませんでした。自分でもこんなのおかしいって思ってネットで検索してみたら出てきました。思ったよりも多くの人が同じように悩んでいて、ホッとしました。そして恐らくその原因を作ったカイトと言う元彼が最近また私に会いたがっていると言うことを同級生に言われました。
初めは戦慄しました。恐怖が身体中を駆け巡ってその場で笑顔を作り出すのがやっとでした。私のすべての赤血球に怖いと言う感情がのっぺりくっついて身体中を回るのです。けれど、次第に、心のどこかで彼のことを考えている自分がいることに気が付きました。楽しくて、ほんのり温かい恋心を思い出したのです。でも、会ったらダメだって言うことは頭でよくわかっています。会ったって、また酷いことをされて傷つけられるだけだってわかっています。だから絶対に会わないんだって決めています。
でもそれを決意するたびに会いたくなる自分が大きくなってきているように感じます。言い訳ができてしまったら、会ってしまいそう。もしかしたら初めの恐怖もここから来ていたのかもしれません。
だから、そのカイトのことを思い出すたびにユキくんへの魅力を感じなくなってきました。ユキくん…。だから今ほとんど接点がありません。私のママの職場で働いているけれど、別に会うこともありません。話すこともないし、なのに多分、自意識過剰かもしれないけれど、ユキくんはまだ私のことが好きなんです。受験が終わったら付き合いたいって多分思ってるんです。多分じゃないかも。前に言ってたし。だから私はもう付き合う気がないって言うんです。
好きじゃなくなったきっかけとかわかんないけど、もうちがうんです。私がユキくんと付き合った時にカイトから受けていた傷とかはもう自然治癒しました。そしたらその優しさはもう毒になり得るものなのです。だからね、ユキくん、じゃあね。大好きだったよ。楽しい時間だったよ。もう私は行くね。
最近、ちょっとだけ憧れを抱いていた同い年の男の子、ナカヤマくんは素敵な人だったんだけど、やっぱりなんだか違うなって思ってしまうんです。『蛙化現象』って言うんですって。私はこのこと知りませんでした。自分でもこんなのおかしいって思ってネットで検索してみたら出てきました。思ったよりも多くの人が同じように悩んでいて、ホッとしました。そして恐らくその原因を作ったカイトと言う元彼が最近また私に会いたがっていると言うことを同級生に言われました。
初めは戦慄しました。恐怖が身体中を駆け巡ってその場で笑顔を作り出すのがやっとでした。私のすべての赤血球に怖いと言う感情がのっぺりくっついて身体中を回るのです。けれど、次第に、心のどこかで彼のことを考えている自分がいることに気が付きました。楽しくて、ほんのり温かい恋心を思い出したのです。でも、会ったらダメだって言うことは頭でよくわかっています。会ったって、また酷いことをされて傷つけられるだけだってわかっています。だから絶対に会わないんだって決めています。
でもそれを決意するたびに会いたくなる自分が大きくなってきているように感じます。言い訳ができてしまったら、会ってしまいそう。もしかしたら初めの恐怖もここから来ていたのかもしれません。
だから、そのカイトのことを思い出すたびにユキくんへの魅力を感じなくなってきました。ユキくん…。だから今ほとんど接点がありません。私のママの職場で働いているけれど、別に会うこともありません。話すこともないし、なのに多分、自意識過剰かもしれないけれど、ユキくんはまだ私のことが好きなんです。受験が終わったら付き合いたいって多分思ってるんです。多分じゃないかも。前に言ってたし。だから私はもう付き合う気がないって言うんです。
好きじゃなくなったきっかけとかわかんないけど、もうちがうんです。私がユキくんと付き合った時にカイトから受けていた傷とかはもう自然治癒しました。そしたらその優しさはもう毒になり得るものなのです。だからね、ユキくん、じゃあね。大好きだったよ。楽しい時間だったよ。もう私は行くね。
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