悪役令嬢はなにもしたくない

はるる

文字の大きさ
5 / 17

5話

しおりを挟む
ジョセフは急いで顔についた涙をふき取り仕事の顔へと切り替える。

「あぁいいぞ、入りたまえ。」

「失礼いたします!至急報告させていただきたい事があります。」

アリサは片膝をつき返事を待った。

「あ、ああ。そんなに焦ってどうしたんだい?君はさっきスカーレットの部屋に行くといって向かったばかりじゃないか。」

「まさかスカーレットの身に何かあったのかい?!どうしようマリア視界が霞んできちゃったよう。」

目をウルウルとさせ子犬のような表情でマリアを見つめる。やはり家族のこととなるとダメダメなジョセフである。

「ジョセフさんでは話がすすまないから私が代わりに聞くわ、何があったのかしらアリサ?」

「お嬢様の部屋に伺ったところ目を覚ましておられました!」

「なに!?目を覚ましてくれたのか!こうしてはいられないスカーレットちゃーーん今迎えに行くからねー!」

部屋から飛び出していった夫を見て笑ってしまった。

「ウフフあの人たっらもう。」

「私もスカーレット様がお目覚めになってとても嬉しいです。」

「でも、慌ててあなたが入ってくるのだから悪い知らせかと思いましたわ。本当に肝が冷えましたわよ?」

「マリア様申し訳ありません。うれしくて舞い上がっていたので」


「それよりも今からスカーレットのもとに行っても大丈夫かしら?」

「はい、短時間であれば問題ないと思われます。しかしお医者様でも原因不明でしたのになにがあったのでしょうか?」

「スカーレットが目を覚ましてくれた、今はそれだけでいいじゃない。」

マリアの目元からぽろぽろと流れ出す涙にすかさずハンカチをかざした。

「ありがとう泣いた顔じゃまだいけないわね。」

「気にしなくても大丈夫ですよ。家族のことで泣いているのに馬鹿にする人なんていませんから。」

「そうね、じゃ今から行きましょうか。」


















しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

崩壊した物語~アークリアの聖なる乙女~

叶 望
恋愛
生まれ変わり、輪廻転生、それも異世界転生したと気がついたのはいつだったか。せっかくの新しい第二の人生だ。思いのまま、自由に楽しむことにしよう。え、乙女ゲーム、何のこと。物語の主人公も悪役令嬢も転生者だって。まぁ、私には関係ないよね。え、もろ関係者?関わらなければどうでもいいよ。復讐、乙女ゲーム、利用できるものは何でも利用しようじゃないか。私は剣と魔法、魔物や冒険溢れるこの世界で自由に生きる。これは乙女ゲームを崩壊させた少女の物語。 ※小説家になろうにも投稿しています

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

公爵家の養女

透明
恋愛
リーナ・フォン・ヴァンディリア 彼女はヴァンディリア公爵家の養女である。 見目麗しいその姿を見て、人々は〝公爵家に咲く一輪の白薔薇〟と評した。 彼女は良くも悪くも常に社交界の中心にいた。 そんな彼女ももう時期、結婚をする。 数多の名家の若い男が彼女に思いを寄せている中、選ばれたのはとある伯爵家の息子だった。 美しき公爵家の白薔薇も、いよいよ人の者になる。 国中ではその話題で持ちきり、彼女に思いを寄せていた男たちは皆、胸を痛める中「リーナ・フォン・ヴァンディリア公女が、盗賊に襲われ逝去された」と伝令が響き渡る。 リーナの死は、貴族たちの関係を大いに揺るがし、一日にして国中を混乱と悲しみに包み込んだ。 そんな事も知らず何故か森で殺された彼女は、自身の寝室のベッドの上で目を覚ましたのだった。 愛に憎悪、帝国の闇 回帰した直後のリーナは、それらが自身の運命に絡んでくると言うことは、この時はまだ、夢にも思っていなかったのだった―― ※第一章、十九話まで毎日朝8時10分頃投稿いたします。 その後、毎週月、水朝の8時、金夜の22時投稿します。 小説家になろう様でも掲載しております。

嘘からこうして婚約破棄は成された

桜梅花 空木
恋愛
自分だったらこうするなぁと。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。  王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……  ……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

処理中です...