悪役令嬢はなにもしたくない

12話

目が覚めると私はベッドの上でした

父上と母上が何か話している声が聞こえていたがいつの間にか意識を失っていたみたい

馬鹿みたいに重い鎧を着て走ったので、こうなってしまっても仕方がないでしょう


「ちょっと喉が乾いてきたわねお水がないかしら」

キョロキョロと頭を動かすと近くに水瓶があった

運動をした後に水分補給もしていなかったのとゲロを撒き散らしたのもありいつもより喉が乾いていたため、棚の上に置いてあった水瓶の水を飲もうと手を伸ばした

ビキビキ！

「あう！イタタタ」

1年間寝たきりであったスカーレットにはあの運動は激し過ぎて体が悲鳴を上げていた

「そろそろ夜ご飯の時間だけれど体が痛くてまともに動けなそうだわ」

「水を飲むことも辛いなんて最悪よ」

これから痛みに耐えながら生活をしていかなければならない事にちょっとばかり不満を覚えた

コンコン

「お嬢様、部屋に入らせていただきたいのですがよろしいですか？」

「えぇアリサ入っても問題ないわ」

アリサは私の前まで歩いてくると労いの言葉をかけてくれた

「鍛錬お疲れ様でした、備品の回復ポーションを預かっていますがお飲みになりますか？」

なんて気が利いているの！

「ありがとう！身体中が痛いし動けなくて困っていたところなのよ！腕動かすのも辛いから飲ませてくださる？」

アリサは目を見開いて驚いていた

「そ、そんなに鍛錬が厳しかったのですか？」

「厳しすぎるくらいね…1年間寝てた娘にする内容じゃないです…」

「回復ポーションで少しはよくなると思うの次の鍛錬もがんばってください」

そう言うと私に飲ませようとアリサは近づいてきた

「口を開けてもらっていいですか？今から飲ませますので」

口を開けるように言われた私は指示通りにした

「あーー」

私の口に注がれるその瞬間に部屋の扉が大きな音を立てて開けられた

「スカーレット起きたかい！ご飯一緒に食べようよ！」

「ヒウッ！」

いきなりの事にびっくりしたアリサはポーションの瓶を床に落としてしまった

ボトボトボト…

「あーー！！！！私のポーション！」

「うん？2人ともどうしたんだい？そんなことよりご飯食べようよ！体動かしたらお腹減っちゃってさ～」

呑気な声音と気が抜けていてぼけっとした顔を見ていると腹が立つ私は絶対に悪くないもん！

「父上のお馬鹿！！！」

「え！？なんでそんなひどいこと言うのさ、ご飯食べようって誘っただけなのにぃ」

今の心を現したかのように目をうるうるさせて、しょんぼりしていた

「ママーー！スカーレットが僕のことを虐めてくるんだぁ！」

私の部屋からダッシュで出て行きながら母上に泣きつきに行ってしまった

「あのう、お嬢様備品のポーション購入し忘れていたみたいで今落としたのが最後の1本なのです…」

「そ、そんなあ～」