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16話
しおりを挟む私は父上が部屋から出て行ってしまった後、母からポーションを貰い筋肉痛の辛さから解放されたが、その効果が異常なことに気がついた
治るスピードが速すぎるのだ、飲んだ瞬間に体の痛みが引いていき今ではさっきまでの痛みが無かったように感じている
「は、母上?このポーションおかしくないですか?」
「あらぁ?そうかしら…ジョセフから渡された物だったからあんまり効果は知らなかったのよね…身体が回復することは知ってたけど」
母上はわかっていないかもしれないけど、これ相当高い奴です。私飲んじゃったけど怒られないよね?
もう飲んじゃったから仕方ないよね!私は倉庫から取ってきた安いポーションを飲んだ!そういうことにしておこう
ポーションを飲んだ後、特にすることも無く父上もいなくなってご飯の時間も1時間後になってしまい暇になっていたので、
前回の時からの趣味であった彫刻を行なっていた
シャコシャコと小刻みにナイフを動かして木を削っていた
手元には数種類のナイフやヤスリなどの工具が置かれており、長い間誰かが使ってあった形跡が残っていた
(ダメ元でも話してみるものね庭師のお爺さんの工具を頂けるなんて後でお礼を持っていかなくちゃね)
(父上大丈夫かなあ…さっき仕事の電話が来てそのまま部屋から出て行っちゃったけど)
(母上のあの顔何か企んでたよ…父上頑張ってください!)
そんなことを考えながら削っていると作っていた物の原型がわかってきた
スカーレットが作っていたのは自分の稽古用の軽めの木刀である
しかしずっと寝ていたスカーレットには十分重いものである
「うーん。結構時間かかった割にあんまり良いものが出来ませんでしたわ」
「筋力も足りないし手も小さくて思い通りにナイフが使えないわね」
「まぁ仕方ないわ…この年齢で初めて作ったにしては上出来でしょ」
今の自分が作った物に不満を持っていたが、死ぬ前のスカーレットは達人と同じくらいの技術を持っていた
今回作った物にしても市場に流せば買い手がいくらでもいるものである
自分の腕前を知らないのは密かに行っていたことと作ったものは全て屋敷の地下倉庫の見えない所に隠していたことと、
使用人や家族に見られないようにやっていたからである
「うーん、芯もずれてるし握り心地も悪いなぁ」
「この木刀は基礎鍛錬が始まる時に使う奴にしよ」
木刀を部屋の端に立て掛けると木屑の処理を始める
バサッバサッとホウキでひと纏めにするとそれを暖炉の中に入れて燃やした
「よし!これで掃除終わり!ご飯食べに行かないと」
掃除が終わった後の部屋は作業していたとはわからないくらいに綺麗になっていた
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