【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

文字の大きさ
165 / 718
淫魔編:ダンジョン巡り@ルアン

【185話】結界魔法で隠された部屋

しおりを挟む
モニカが淫魔に連れ去られた45分後、アーサーは廃墟の最上階最奥へ辿り着いた。だが…

「なにもない…」

1階の最奥では扉があった壁に何もない。そこで行き止まりになっていた。

「つ、杖!何もないよ…!ここには部屋がない!!」

《いや、この奥からモニカの気配がする。…おそらく、結界魔法をかけているな》

「杖、場所間違えたんじゃないの?!」

《ちがう!ここで間違いない!しかしまずいな。結界魔法を解くには反魔法、もしくは結界を壊すほどの攻撃魔法を打たねばならん。モニカなしの我ではこの結界を壊せるほどの魔法を使えん…》

「もう!なんとか言ってよ杖ぇ!」

《いや我ものすごく喋っておるからな?!お前が聞こえんだけだろうがこの阿呆め!!》

「もういい!僕は僕で探すよ!とりあえず最上階から探してみる!」

《お、おい何を言っておる!!待たんか!!》

アーサーが踵を返して一番近い扉へ向かおうとしたので、杖は慌ててまたアーサーを吹き飛ばした。力加減を間違えたのか、アーサーが数メートル先まで吹っ飛んでしまう。その衝撃でアイテムボックスが開き、所持品が床に散らばった。アーサーは「なにするんだよ!杖のばか!」とぷんぷんしながら所持品をかき集める。散らばった所持品の中にはモニカ特製の火魔法液が入った瓶があった。

《そ、それだ!!モニカの魔法が込められた魔法液と我の力があれば結界を壊せるかもしれん!!アーサー、それを矢じりに付けて射るのだ!!…なんて言っても聞こえんよなあ…。はあ、我だけで魔力を使うのはたいそう疲れるのだが…》

「ん?」

杖から風が吹き、アーサーがかき集めた所持品が遠くへ飛ばされる。たったひとつ、火魔法液だけが手元に残った。

「火魔法液?これがどうしたの?」

杖の先端が最奥の壁を指す。そして何度か弧を描くように動いた。アーサーは杖の伝えたいことを汲み取ろうと杖の動きをじっと見る。

「えーっと…。火魔法液、壁、上下運動…。壁に…火魔法液をかけるの?」

《惜しいぞアーサー!かけるのではない。射るのだ!力いっぱい!弓矢を使うのだアーサー!》

杖が左右に揺れる。アーサーの背中から弓矢が浮き、火魔法液の横に並べられた。それを見たアーサーは杖の意図を完全に汲み取ることができた。

「分かった!火魔法液を付けた矢を射るんだね!!」

杖が前後に揺れた。肯定と受け取り、アーサーは壁に向かって弓を構えた。火魔法液を付けた矢を引き、本気の一矢を壁に放った。その矢じりに杖の魔法を上乗せする。矢は壁まで届かず、空中で突然止まったように見えた。

「あれ?!壁まで届かずに止まっちゃったよ?!」

《それでいい…。あそこが結界の境目だ。結界が破壊されると本来の姿が現れるはずだ…》

杖の予想通り、アーサーの矢の威力によって叩きこまれた、モニカと杖の魔法攻撃により、結界にひびが入った。そのひびめがけて杖が重ねて魔法を放つ。杖に一筋の長いひびが入った。結界は衝撃に耐えられず、パリンと砕け散った。アーサーの目には、急に視界がぼやけてなかったはずの扉が突然現れたように見えた。

「わ…!扉がでてきた!杖すごい!」

《ああ、良かった…》

「この奥にモニカがいるんだね!よし、今助けに行くよモニカ…!」

アーサーはドアノブを回し扉を開けた。豪華な家具ばかり置かれた広い部屋に飛び込みモニカを探す。部屋の隅に置かれた天蓋付きベッドから物音がしたので駆け寄った。

「モニカ?!モニカいる?!」

ベッドのカーテンを勢いよく開けたアーサーは、目の前の光景に頭が真っ白になった。
しおりを挟む
感想 494

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。