394 / 718
合宿編:二週目・基礎特訓
【413話】攻撃力強化魔法の練習
しおりを挟む
「リアーナただいまあー!」
「おー!戻って来たか!ってなんかいい汗かいてんなあ?剣術の特訓でもしてたのか?ぎゃはは!」
「ううん!アーサーとダンスしてたー!」
「なんでだよっ!だはははは!!」
森へ戻ってきたモニカは髪がしっとりするほど汗をかいていた。まだ踊りたいないのかターンをしながらリアーナの元へ近づく。恭しく頭を下げながら差し出されたリアーナの手を握り、ダンスの終わりにする礼をした。楽し気に笑う二人を、ライラは虚ろな目で眺めている。
(なんでそんな元気なんだろう…)
ライラは自主練習の時間となり、リアーナは少し離れた場所でモニカの話を聞いた。
「で?歌は決まったか?」
「うん!この曲!」
モニカは軽快な曲を口ずさんだ。リアーナも知っていた曲だったのか「おー!それか!」と顔を輝かせた。
「カトリナがよく家でかけてる曲だ!」
「うん!カトリナが好きな曲!」
「いいじゃねーか!じゃあそれで歌は決まったから、次はイメージだな。攻撃力強化は、一時的に筋力を上げて普段以上の力を出す魔法だ。あたしはいつも、体中に血と酸素がすげー速度で駆け巡って、筋肉がぐあーって成長してムキムキィッってなるような感じを頭の中で考えてる!」
「ぐあーでムキムキィッね!…ムキムキになった自分を想像しなきゃいけないのぉ?!やだぁっ!」
「じゃあムキムキになったアーサーでも想像しとけ!」
「ムキムキのアーサーねぇ…それもあんまり想像したくないけど、自分よりマシだわ…」
「まずは弱い魔物とか動物で練習だ!ちょっと捕まえてくる!」
リアーナは近くにいた小さな魔物を捕まえ、氷魔法でケージを作り閉じ込めた。モニカがドキドキしながら杖を持つ。歌を歌い、頭の中でムキムキになったアーサーをイメージした(カミーユの体の上にちょこんとアーサーの頭が乗っているだけのお粗末なイメージだ)。はじめての身体強化魔法の出来栄えは…。
「……」
「ま、一発目から発動するなんて誰も思ってねえよ」
不発。杖から一滴の魔力も放たれなかった。難解な魔法だと分かっていたモニカも驚いた素振りはない。うーん、と考えながら杖に話しかけた。
「ねえ藍。今のどうだった?」
《だめだな。主の中で魔法のイメージが固まっておらん。どんな魔法を放ちたいのか自分でも分かっておらんだろう。迷いがあれば魔法など発動しない》
「そうだよねえ」
「モニカ。ちょっと杖の振り方変えてみろ。なんかしっくりこねえ」
それからモニカとリアーナ、そして藍と3人(?)で試行錯誤を繰り返した。彼女たちはまずイメージと杖の振り方を考える。他の魔法の杖の振り方は、モニカの頭の中のイメージを表していた。例えば火魔法であれば燃えさかる炎をイメージして弧を描きながら振り上げ、水魔法であれば流れる滝をイメージして杖を真っすぐ振り下ろす、などだ。まだ攻撃力強化のイメージがしっかりできていないモニカは、杖も適当に前に突き出すだけだった。
「モニカ、さっき頭の中でどんなイメージをした?」
「えーっと、カミーユみたいにムキムキになったアーサー」
「ぶふっ!うわー想像したくもねえー!」
「わたしもぉ…」
「こんなのはどうだ?はじめにイメージするのは普通のアーサー。で、不思議なパワーがアーサーの中に入っていって、ジルくらいの細マッチョになる!あ、背丈はアーサーのままにしとけよ!余計なイメージしたら変な身体強化かかりそうだ」
「おー!いいわね!ジルくらいなら許せるわ!やってみる!」
「杖の振り方は…そうだな。不思議なパワーをアーサーに注ぐイメージで!」
「分かった!」
モニカは目を瞑り、歌いながら先ほどリアーナが提案してくれたイメージを頭の中でしてみた。杖を水を注ぐように小さく下へ傾ける。
「お」
「ん~…」
杖からはプスっとおならのような魔力が漏れただけだった。1回目よりは良くなっているが、まだまだイメージのすり合わせが必要なようだ。
リアーナがライラを教えている間、モニカは何度も何度も杖を振った。だがなかなかうまくいかず、変わらずおならのような魔力が出るだけだった。こんなに魔法がうまく使えないことは初めての事で、モニカは「はぁぁぁん…」とうなだれながら地面に寝転んだ。
《なかなかうまくいかんな》
「思ってたよりずーっと難しいわ…」
《主のことだ。どうせ2,3度でできると思っていたのであろう》
「う…」
《正直に言えば我もそう思っていた》
「ねー。今のイメージじゃだめなのかなあ」
森の中で寝ころび、空を見上げながら考え事をしていたモニカは、いつの間にかうたた寝をしてしまっていた。
「おー!戻って来たか!ってなんかいい汗かいてんなあ?剣術の特訓でもしてたのか?ぎゃはは!」
「ううん!アーサーとダンスしてたー!」
「なんでだよっ!だはははは!!」
森へ戻ってきたモニカは髪がしっとりするほど汗をかいていた。まだ踊りたいないのかターンをしながらリアーナの元へ近づく。恭しく頭を下げながら差し出されたリアーナの手を握り、ダンスの終わりにする礼をした。楽し気に笑う二人を、ライラは虚ろな目で眺めている。
(なんでそんな元気なんだろう…)
ライラは自主練習の時間となり、リアーナは少し離れた場所でモニカの話を聞いた。
「で?歌は決まったか?」
「うん!この曲!」
モニカは軽快な曲を口ずさんだ。リアーナも知っていた曲だったのか「おー!それか!」と顔を輝かせた。
「カトリナがよく家でかけてる曲だ!」
「うん!カトリナが好きな曲!」
「いいじゃねーか!じゃあそれで歌は決まったから、次はイメージだな。攻撃力強化は、一時的に筋力を上げて普段以上の力を出す魔法だ。あたしはいつも、体中に血と酸素がすげー速度で駆け巡って、筋肉がぐあーって成長してムキムキィッってなるような感じを頭の中で考えてる!」
「ぐあーでムキムキィッね!…ムキムキになった自分を想像しなきゃいけないのぉ?!やだぁっ!」
「じゃあムキムキになったアーサーでも想像しとけ!」
「ムキムキのアーサーねぇ…それもあんまり想像したくないけど、自分よりマシだわ…」
「まずは弱い魔物とか動物で練習だ!ちょっと捕まえてくる!」
リアーナは近くにいた小さな魔物を捕まえ、氷魔法でケージを作り閉じ込めた。モニカがドキドキしながら杖を持つ。歌を歌い、頭の中でムキムキになったアーサーをイメージした(カミーユの体の上にちょこんとアーサーの頭が乗っているだけのお粗末なイメージだ)。はじめての身体強化魔法の出来栄えは…。
「……」
「ま、一発目から発動するなんて誰も思ってねえよ」
不発。杖から一滴の魔力も放たれなかった。難解な魔法だと分かっていたモニカも驚いた素振りはない。うーん、と考えながら杖に話しかけた。
「ねえ藍。今のどうだった?」
《だめだな。主の中で魔法のイメージが固まっておらん。どんな魔法を放ちたいのか自分でも分かっておらんだろう。迷いがあれば魔法など発動しない》
「そうだよねえ」
「モニカ。ちょっと杖の振り方変えてみろ。なんかしっくりこねえ」
それからモニカとリアーナ、そして藍と3人(?)で試行錯誤を繰り返した。彼女たちはまずイメージと杖の振り方を考える。他の魔法の杖の振り方は、モニカの頭の中のイメージを表していた。例えば火魔法であれば燃えさかる炎をイメージして弧を描きながら振り上げ、水魔法であれば流れる滝をイメージして杖を真っすぐ振り下ろす、などだ。まだ攻撃力強化のイメージがしっかりできていないモニカは、杖も適当に前に突き出すだけだった。
「モニカ、さっき頭の中でどんなイメージをした?」
「えーっと、カミーユみたいにムキムキになったアーサー」
「ぶふっ!うわー想像したくもねえー!」
「わたしもぉ…」
「こんなのはどうだ?はじめにイメージするのは普通のアーサー。で、不思議なパワーがアーサーの中に入っていって、ジルくらいの細マッチョになる!あ、背丈はアーサーのままにしとけよ!余計なイメージしたら変な身体強化かかりそうだ」
「おー!いいわね!ジルくらいなら許せるわ!やってみる!」
「杖の振り方は…そうだな。不思議なパワーをアーサーに注ぐイメージで!」
「分かった!」
モニカは目を瞑り、歌いながら先ほどリアーナが提案してくれたイメージを頭の中でしてみた。杖を水を注ぐように小さく下へ傾ける。
「お」
「ん~…」
杖からはプスっとおならのような魔力が漏れただけだった。1回目よりは良くなっているが、まだまだイメージのすり合わせが必要なようだ。
リアーナがライラを教えている間、モニカは何度も何度も杖を振った。だがなかなかうまくいかず、変わらずおならのような魔力が出るだけだった。こんなに魔法がうまく使えないことは初めての事で、モニカは「はぁぁぁん…」とうなだれながら地面に寝転んだ。
《なかなかうまくいかんな》
「思ってたよりずーっと難しいわ…」
《主のことだ。どうせ2,3度でできると思っていたのであろう》
「う…」
《正直に言えば我もそう思っていた》
「ねー。今のイメージじゃだめなのかなあ」
森の中で寝ころび、空を見上げながら考え事をしていたモニカは、いつの間にかうたた寝をしてしまっていた。
21
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。