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合宿編:三週目・ダンジョン掃討特訓
天才なんだけど…ちょっとアレなんだよなあ
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モニカに攻撃しようとするアントをアーサーが叩き落とし続けていたので、今ではモニカよりもアーサーの方がアントに付けられた匂いが強くなったようだ。アントはモニカを攻撃することをやめてアーサーに這い上り噛みついた。20匹ほどにしがみつかれているモニカに対し、今やアーサーの体には100体以上のアントがへばりつき、体中を噛まれ血が流れている。
「アーサー…」
「大丈夫だよ。噛まれてるだけだから。それより早くどうにかしないと」
これ以上アントに援軍を呼ばれそうだったので下手に動けない。考えがまとまるまで二人はじっと痛みに耐えた。
(手で払っただけでも匂いをつけられちゃう。殺してもしたいから匂いが出るみたいだし…)
(匂いを付けられないように引きはがして、味方を呼べない状態にするには…)
「「これしかない!!」」
二人は同時に叫び、アーサーはアイテムボックスからすり鉢と乳棒を、モニカは杖を取り出した。言葉が被ったので二人は目を合わせてにぱっと笑う。
「あ!モニカもなにか思いついたのー?!」
「うん!思いついたー!その感じだと私とアーサー同じこと考えてる!」
「ほんと?!でも、じゃあどうしてモニカ杖を構えてるの?モニカそんな魔法使ったことないよね?」
「うん!いけるかなーって!だって藍は状態異常魔法が得意だし~」
「おぉ~。じゃあ僕が薬作ってる間おねがいするねー」
「はぁーい!やってみるー」
《モニカ。睡眠魔法に挑戦するのか?》
「わ!さすが藍~!味方を呼ばれずに体から引き離すには眠ってもらうしかないわ!」
《そうだな。では、やってみるがよい》
「うん!…アーサー、どんな歌がいいと思う?」
「うーん、シャナに歌ってもらった子守唄かなあ」
アーサーは薬草をすりつぶしながら歌を口ずさんだ。幻想的でありながら優しい、フォントメウの民謡。モニカはしばらく歌に聞き入ったあと、コクコクと頷いた。
「うん!それでいきましょう!」
モニカは歌いながら自分の体にへばりついているアントに向けて杖を振った。星空のような小さな光がぱらぱらと杖から降り注ぎ、アントの力が徐々に抜けていく。ぽとりぽとりと地面に仰向けになって落ちていくアントを見て、モニカはぴょんぴょん飛び跳ねた。
「きゃー!!やったぁ成功したわー!」
「すごいモニカー!!」
「よぉーしっ!このままやっちゃうわよぉー!!」
わーわー騒ぎながらも順調にアントに対処していく双子を見て先輩冒険者たちはホッと胸をなでおろした。リアーナは感心して「ヒュー」と口笛を吹く。
「おいおいおい。睡眠魔法を一発で成功させやがったぞ?あの状況で?」
「あら。そんなにすごいことなのォ?」
「新しい魔法を習得するのって結構大変なんだよ。普通であれば呪文と杖の振り方を覚えて魔法発動の理論を理解して、脳内で魔法のイメージを思い浮かべて、適度な魔力を杖に送り込まなきゃいけねえからさ。コツを掴んだら簡単な魔法でも、それまではなかなか難しい。特に状態異常系なんて魔力の配分が難しいしなー」
「そんな難しいことをモニカは一発でやったってことですか…?」
「いや。あいつは呪文も杖の振り方も覚えなくていいし、魔法発動の理論も理解してねえ。あとモニカの杖は状態異常が得意なやつらしいから、たぶん杖がかなりサポートしてると思う。だから手順的にはもっと楽なんだろうけど…。そもそも自己流であんな質の良い魔法使えること自体おかしいんだよなあ」
「まさに天賦の才を持って生まれし者ねェ。ふふ。あの子、自分がとんでもないことをしてるって気づいていないんでしょうね」
「ま、あいつは聖魔法を半日で習得してたし、攻撃力強化魔法だって数時間で発動は成功させてたしな…。そもそもあいつははじめっから、誰に教わるわけでもなく自分ひとりで魔法を覚えてったんだもんなあ。睡眠魔法みたいな上級魔法、即習得できたって不思議じゃねえか」
先輩冒険者が見守る中、楽しくなってきたモニカはキラキラ輝く光をまき散らしていた。
「見てアーサー!この光キラキラしててきれいじゃないー!?」
「わーほんとだきれいだねー!」
「なにこれたのしいー!ずっとやってたいー!」
《おいモニカ。魔法を放ちすぎて光が主にもかなりかかっておる気がするのだが…》
「……」
杖が声をかけたときにはもうモニカの瞼がとろんと垂れていた。だんだんと呂律もまわらなくなり、足元がふらついている。杖は慌ててアーサーに呼びかける。
《アーサー!おい、アーサー!!》
「ん?どうしたの藍」
《モニカが自身の放った睡眠魔法にかかってしまった!》
「えぇ?!」
《このままでは倒れてアントを潰してしまうぞ!!》
「えぇー?!」
アーサーは乳棒を放り投げてふらふらしているモニカの元へ駆け寄った。妹の体を支えると、モニカの体から力が抜けてずしっと重くなった。
「…寝ちゃったよ」
《モニカァ…》
遠くで見ていた先輩冒険者も異変に気付き身を乗り出している。
「あ?!モニカどうした?!」
「おかしいわ…。ツヴァイアントには毒がないはずだけど…」
「いや、あれ…寝てませんか?」
「えっ?」
「もしかしてあいつ…自分にも睡眠魔法かけたのか…?」
「わー!モニカちょっと待っててね!いま目覚め薬作るからぁぁぁっ」
「…寝てるな」
「寝てるわねえ」
「寝てますね」
アーサーがすり鉢の薬素材を入れ替え、大急ぎで薬を調合し直している。隣でモニカがアントを貼り付けたまま気持ちよさそうに眠っていた。イェルドは「モニカらしいな…」と呟き、リアーナは爆笑しており、カトリナは苦笑いしながら呟いた。
「モニカは天賦の才を持っているけれど…ちょびっとだけおバカさんなのよねェ…」
「アーサー…」
「大丈夫だよ。噛まれてるだけだから。それより早くどうにかしないと」
これ以上アントに援軍を呼ばれそうだったので下手に動けない。考えがまとまるまで二人はじっと痛みに耐えた。
(手で払っただけでも匂いをつけられちゃう。殺してもしたいから匂いが出るみたいだし…)
(匂いを付けられないように引きはがして、味方を呼べない状態にするには…)
「「これしかない!!」」
二人は同時に叫び、アーサーはアイテムボックスからすり鉢と乳棒を、モニカは杖を取り出した。言葉が被ったので二人は目を合わせてにぱっと笑う。
「あ!モニカもなにか思いついたのー?!」
「うん!思いついたー!その感じだと私とアーサー同じこと考えてる!」
「ほんと?!でも、じゃあどうしてモニカ杖を構えてるの?モニカそんな魔法使ったことないよね?」
「うん!いけるかなーって!だって藍は状態異常魔法が得意だし~」
「おぉ~。じゃあ僕が薬作ってる間おねがいするねー」
「はぁーい!やってみるー」
《モニカ。睡眠魔法に挑戦するのか?》
「わ!さすが藍~!味方を呼ばれずに体から引き離すには眠ってもらうしかないわ!」
《そうだな。では、やってみるがよい》
「うん!…アーサー、どんな歌がいいと思う?」
「うーん、シャナに歌ってもらった子守唄かなあ」
アーサーは薬草をすりつぶしながら歌を口ずさんだ。幻想的でありながら優しい、フォントメウの民謡。モニカはしばらく歌に聞き入ったあと、コクコクと頷いた。
「うん!それでいきましょう!」
モニカは歌いながら自分の体にへばりついているアントに向けて杖を振った。星空のような小さな光がぱらぱらと杖から降り注ぎ、アントの力が徐々に抜けていく。ぽとりぽとりと地面に仰向けになって落ちていくアントを見て、モニカはぴょんぴょん飛び跳ねた。
「きゃー!!やったぁ成功したわー!」
「すごいモニカー!!」
「よぉーしっ!このままやっちゃうわよぉー!!」
わーわー騒ぎながらも順調にアントに対処していく双子を見て先輩冒険者たちはホッと胸をなでおろした。リアーナは感心して「ヒュー」と口笛を吹く。
「おいおいおい。睡眠魔法を一発で成功させやがったぞ?あの状況で?」
「あら。そんなにすごいことなのォ?」
「新しい魔法を習得するのって結構大変なんだよ。普通であれば呪文と杖の振り方を覚えて魔法発動の理論を理解して、脳内で魔法のイメージを思い浮かべて、適度な魔力を杖に送り込まなきゃいけねえからさ。コツを掴んだら簡単な魔法でも、それまではなかなか難しい。特に状態異常系なんて魔力の配分が難しいしなー」
「そんな難しいことをモニカは一発でやったってことですか…?」
「いや。あいつは呪文も杖の振り方も覚えなくていいし、魔法発動の理論も理解してねえ。あとモニカの杖は状態異常が得意なやつらしいから、たぶん杖がかなりサポートしてると思う。だから手順的にはもっと楽なんだろうけど…。そもそも自己流であんな質の良い魔法使えること自体おかしいんだよなあ」
「まさに天賦の才を持って生まれし者ねェ。ふふ。あの子、自分がとんでもないことをしてるって気づいていないんでしょうね」
「ま、あいつは聖魔法を半日で習得してたし、攻撃力強化魔法だって数時間で発動は成功させてたしな…。そもそもあいつははじめっから、誰に教わるわけでもなく自分ひとりで魔法を覚えてったんだもんなあ。睡眠魔法みたいな上級魔法、即習得できたって不思議じゃねえか」
先輩冒険者が見守る中、楽しくなってきたモニカはキラキラ輝く光をまき散らしていた。
「見てアーサー!この光キラキラしててきれいじゃないー!?」
「わーほんとだきれいだねー!」
「なにこれたのしいー!ずっとやってたいー!」
《おいモニカ。魔法を放ちすぎて光が主にもかなりかかっておる気がするのだが…》
「……」
杖が声をかけたときにはもうモニカの瞼がとろんと垂れていた。だんだんと呂律もまわらなくなり、足元がふらついている。杖は慌ててアーサーに呼びかける。
《アーサー!おい、アーサー!!》
「ん?どうしたの藍」
《モニカが自身の放った睡眠魔法にかかってしまった!》
「えぇ?!」
《このままでは倒れてアントを潰してしまうぞ!!》
「えぇー?!」
アーサーは乳棒を放り投げてふらふらしているモニカの元へ駆け寄った。妹の体を支えると、モニカの体から力が抜けてずしっと重くなった。
「…寝ちゃったよ」
《モニカァ…》
遠くで見ていた先輩冒険者も異変に気付き身を乗り出している。
「あ?!モニカどうした?!」
「おかしいわ…。ツヴァイアントには毒がないはずだけど…」
「いや、あれ…寝てませんか?」
「えっ?」
「もしかしてあいつ…自分にも睡眠魔法かけたのか…?」
「わー!モニカちょっと待っててね!いま目覚め薬作るからぁぁぁっ」
「…寝てるな」
「寝てるわねえ」
「寝てますね」
アーサーがすり鉢の薬素材を入れ替え、大急ぎで薬を調合し直している。隣でモニカがアントを貼り付けたまま気持ちよさそうに眠っていた。イェルドは「モニカらしいな…」と呟き、リアーナは爆笑しており、カトリナは苦笑いしながら呟いた。
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