RPG「テクノポリスSF」

第一章「起動」

第四話「君の名は」

「ゴォォ～～」
ジェット機に乗った俺は、初めて「テクノポリスSF」の世界に突入した。
その世界は、闇夜の中、そびえ立つ摩天楼、輝くネオン、飛行する浮遊物体が特徴的だった。
例えるなら(わかる人にしかわからない例えかもしれないが…)映画「ブレードランナー」の世界観に近いかもしれない。

「これは、ウズウズするな。」
彼《オレ》は、内心、ワクワクが抑えらなかった。

そして、「テクノガジェット999」という名称のネオンが光った、目的の酒場に到着した。
「ここか。入ろう」
酒場の扉は999と印字された、古い鉄の重々しいものだった。
中からは、ガヤガヤと、このゲームの住人たちのにぎわう声が聴こえてきた。
「キィ～～」
扉を開けると…？
あたりがシーンとなった。
見ると、普通の人間の他に、犬のような人間や、耳が異様に長い美しい人間、背の小さい小人？と思われるような酒場の住人が、目を点にしてこちらを見つめている。
ちょうど乾杯の途中で俺が入ってきた模様で、皆、ジョッキをくっつけたまま、停止していた。
そして酒場の主らしき人間族の女の主人が、
「あなた、新入りね？」
と話しかけてきた。
「あ、はい」
俺はたじろいで答えた。
「ここは、もう聞いてるだろうけど、「テクノガジェット999」。この世界の住人の憩いの場であり、旅の始まりの場。」

「ところで、君、名前はなんていうの？」

名前、そうだ、名前…。最初の案内人も、うさ耳娘の案内人にも聞かれなかったな…。
本名…、いや、ここはゲームだから匿名でいいか…。よし、思いつきで…！
「ロトです」
場の空気が沈黙から一変した。
「ロトだとォ～～～！？」
失敗した…！？彼は直感的にそう思った。
「ふざけんなァ！！！」
犬のような顔をした、人間ではない大男が彼に向って叫んだ。
「このゲーム以外のゲーム界の中でも伝説の男の名を、カンタンに口にすんなァァァッ！！」
「ご、ごめんなさい」
そう、彼は昔プレイしたRPGゲームの金字塔の某ゲームの「伝説の勇者」ロトの名を軽々しく口にしてしまったのだ。「テクノポリスSF」の世界で反感を買うのも無理もない。
すると、酒場の主人の女性が、
「ちょっと、今の名前はまずかったわね…。他の名前はないの？本名でもいいいのよ？」
「えぇ～っと」
……。
「トシオです」

続く