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少女の真実
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放課後は小雨の中を傘もささずに学校を飛び出した。
時間は充分にある。りんごのキーホルダーがついた鍵。これで、開かずの間に入る事ができる。葛曰くそこに翠の知りたい情報があるというのだ。制服を着替える時間も惜しかった。リュックを自室に投げ出し制服のまま開かずの間へ。鍵穴に鍵をさす。ぴたりとはまる感覚があって、そのままゆっくりと鍵を回した。がちゃんという鍵が開いた音。鍵を引き抜いて翠はドアに手をかけた。ついに知りたい事が全てはっきりする。期待と恐怖を胸に翠はついに扉を開いた。
そこはまるで誰かが暮らしているような部屋だった。置かれたベッドは中途半端に布団が捲られ、まるで朝誰かが寝て過ごしそのまま起き上がったかのように。それから開け離れたクローゼットには女性用の服がいくつもかかっている。足元には以前見かけた黒いショッパー。この服も葛が用意したものなのだろうか? 小さなテーブルの上にはノートが幾つか積み上げられている。カラーボックスには小説や雑誌が詰め込まれ、棚の上にはCDがいくつか飾られていた。
(この匂い……)
部屋に入った時から感じていた香り。それは葛の車に乗った際に感じたものと同じだった。CDの横に飾られた香水瓶。持ち上げてそっと香ってみれば葛と全く同じ香りがした。フローラルブーケの、甘い香り。
開かられたカーテンからオレンジ色の光が部屋に差し込む。雨はやんでいた。オレンジ色の空を背にして部屋を見渡す。一番気になるのはテーブルの上のノートだったが、それ以上に本棚の雑誌や飾ってあるCDが最近のものであると気が付く。この部屋の住人はとっくに存在していない筈なのに、まるで存在しているかのように最新の状態が保たれているのだ。葛が鍵を持っているという事は葛がこの部屋を常に掃除し、アップデートを重ねていたのだろうか。そしてそれはパパの指示で行われていたに違いない。
テーブルの上に重ねられたノート。その一番上に白い厚みのある封筒が置かれていた。中を覗くとそこには写真の束が入っていた。翠はその写真を取り出した。
それは旅行の写真だった。いちばん大きな集合写真には十名程の人が写っている。何かの団体の旅行だろうかと翠は次の写真に目を通す。
二人の若い女性がラベンダー畑を背景にピースサインをして写っている写真。その写真の右側の女性を見た時、直感的に翠はこの女性がママだと思った。
何故ならその女性は長い黒髪で肌は陶器のように白く、それでいて人形のように機械的ににこりと微笑んでいて――まるで、そう。紅にそっくりだった。
翠と紅は顔がよく似ているが、表情や仕草は当たり前のように別人だ。その後写真を捲っていっても写っている女性は同じで、そして全ての写真に写る雰囲気は紅の生き写しのようだった。
逆だ。紅がこの女性、ママの生き写しのようなのだ。
(紅がママにそっくりなら、どうして……ううん、パパから見た紅はママに似ていなかった?)
母親と娘が似ているというのなら、それは普通微笑ましい事ではないだろうか。尚更、パパの行動が理解できなかった。
写真は旅行のものが全てだった。写真を封筒に戻し、ノートの束に取り掛かる。しかし上から順にノートを確認してもほとんどノートはママの仕事用ノートのようで、雑誌の切り抜きが貼られているだとか記事に関するメモやまとめが記されているものばかりだった。
葛が話していた翠の知りたい情報というのはこのノートではなくどこか別の場所に隠されているのだろうか? 翠は部屋をぐるりと見渡したが、何かが隠されていそうな場所は本棚ぐらいしか見当たらなかった。ノートをチェックし終えたら次は本棚を探す事に決め、再びノートのチェックに取り掛かる。
一番最後にあったのはノートではなくルーズリーフで纏められたバインダーだった。そしてそれを開くと視界に飛び込んできたのは日記。今までのノートの筆跡から察するに、これはママの日記だった。
ママの日記。ここに翠の知りたい事が書いてある。確信を持った。
『?玲怦?托シ先律
翠がウサギのぬいぐるみを欲しがった。祐二さんはつみ木やパズルを与えるよう言っていたけど、ひとつくらいはぬいぐるみを与えても良いと思ったので買ってあげることにした。翠はずっとぬいぐるみを手放さない、気に入ってくれたみたいで良かった』
一ページ目にはそう書かれていた。中途半端な年月から始まっている事を見るとこのノートが始まりではないのだろうかと翠は疑問に思う。この部屋のどこかにこれよりも以前の日記はあるのか――ひとまずこのノートを読もうとしたが、ぱらぱらと捲っただけでもこのノートが一冊丸々日記帳である事がわかった。読むのには時間がかかりそうだ。
読めるところまでは読んでしまおうと翠は手を進める。
『?玲怦?托シ第律
朝起きるとぬいぐるみの耳が取れていた。寝ている間に何かあったのかな? 不良品だったのかもしれない。後で縫ってあげよう』
その後は日常を書き連ねた日記が続く。自分のこと、紅のこと、ママのことや幼い自分の事が詳しく知ることができるような、そんな事が書かれていないか翠はよく探した。
『?玲怦?抵シ第律
何度縫い直しても翠はぬいぐるみの耳を噛みちぎったり引っ張ったりと壊してしまう。遊び方がわからないのかと思ったけれど何度言い聞かせてもダメ。ぬいぐるみは取り上げることにした』
言葉を探した。
『?呎怦?托シ疲律
翠の噛み癖が直らない。赤ちゃんの頃からずっとだ。私や祐二さんを噛むのはいいけど今後保育園に入れる予定なのに直らなかったらと思うとどうしたらいいのか。検診の時に相談しないと』
情報を求めた。
『?托シ先怦?玲律
天気が良かったから公園に行った。翠が泣かないか心配だったけれど翠は積極的に他のこどもの輪に入っていった。良かった。楽しそうだった』
それからしばらく、平穏な日常が続いた。ほんの四、五行だけで紡がれていく日記。その日に起きた特出した出来事を抜粋して書いているようで、一冊だけでもかなりの日数の出来事が綴られている。
『?托シ呈怦?匁律
やっぱりダメだった』
かなりのページを捲った時、その一言だけで終わっているページがあった。今までとは違い、走り書きをされたような荒々しい字。この日に一体何が起こったのかは記されていない。しかしその日からの日記は毎日の事ではなく何かが起きた日に限られて綴られている。そしてそれは一か月ごとから二週間ごとに、更に一週間ごとにと段々と期間が短くなっている。元の平穏な日記に戻ったのではない、問題の起きる頻度がどんどん増えているのだ。字も段々と荒々しく変化して行き、解読できない文字列も多々存在した。日記の変わりように翠は全身から汗が噴き出すように、焦りと動悸が止まらなかった。ノートを捲る手も汗に濡れ、意識がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられているような感覚だった。それでも、翠は読み進めることを止められない。
ノートの一番最後の記述。
『豁サ縺ォ縺溘>
私のせいだ。私が悪いんだ。ごめんなさい。本当は翠と離れたくない。でも私が悪い。ごめんなさい鄙?縺梧判謦?噪縺ェ縺ョ縺ッ逕溘∪繧後▽縺阪↑繧薙°縺倥c縺ェ縺??∫ァ√′謔ェ縺』
前半は元の丁寧な字でそう綴られていたが最後の方の文字だけは荒れていて何と書いてあるのかわからなかった。
このノートを読み切った翠は汗でぐっしょりで、すぐにでも着替えるべきであったが、翠はそのノートを片手にふらふらと部屋を出た。
自室へ戻った翠は汗で全身が気持ち悪いのもお構いなしにノートを抱えたままベッドへ倒れ込んだ。
(そうだ……どうして忘れていたんだろう……)
パパやママ、そして葛。それに柚希も。翠は他人に記憶の片鱗を求めてばかりだった。紅に頼ってばかりだと思っていた。自分は今までただ流されるがままに大人しく、控えめに生きてきた。でも紅と出会った事で、自分は変わろうと決意した。しかしそれは間違いであるとついさっき気が付いた。否、思い出したのだ。
(だめだよ……ぼくは変わろうとしてはいけない。紅に、鄙?に憧れちゃだめなんだ……こんな大事なこと、なんで忘れていたんだろう)
淘汰された日常に、すべてを忘れていた。
(でも、ぼくは)
悪魔の囁きが自らの奥深くから聞こえてくるようだった。悪魔ですらない、むしろ自分自身が悪魔なのかと心の内に問いかける。
湧き上がるのは恐怖だった。恐怖が全身を支配するようで、翠はそれに抗うべく壁に思い切り頭を打ち付けた。鈍い痛みが回って来る。痛いという事は生きているという事。翠は安堵した。自分がまだ痛みを感じられるという事に。
その日記は何もかもが記されていた。決して今の翠が思い出してはいけないとある事象への引き金にもなっていた。
事実と推測。すべての辻褄がひとつの現実に基づいて構築される。翠は今すぐにでもクローゼットの扉を蹴破って彼女と話をしなければならなかった。
時間は充分にある。りんごのキーホルダーがついた鍵。これで、開かずの間に入る事ができる。葛曰くそこに翠の知りたい情報があるというのだ。制服を着替える時間も惜しかった。リュックを自室に投げ出し制服のまま開かずの間へ。鍵穴に鍵をさす。ぴたりとはまる感覚があって、そのままゆっくりと鍵を回した。がちゃんという鍵が開いた音。鍵を引き抜いて翠はドアに手をかけた。ついに知りたい事が全てはっきりする。期待と恐怖を胸に翠はついに扉を開いた。
そこはまるで誰かが暮らしているような部屋だった。置かれたベッドは中途半端に布団が捲られ、まるで朝誰かが寝て過ごしそのまま起き上がったかのように。それから開け離れたクローゼットには女性用の服がいくつもかかっている。足元には以前見かけた黒いショッパー。この服も葛が用意したものなのだろうか? 小さなテーブルの上にはノートが幾つか積み上げられている。カラーボックスには小説や雑誌が詰め込まれ、棚の上にはCDがいくつか飾られていた。
(この匂い……)
部屋に入った時から感じていた香り。それは葛の車に乗った際に感じたものと同じだった。CDの横に飾られた香水瓶。持ち上げてそっと香ってみれば葛と全く同じ香りがした。フローラルブーケの、甘い香り。
開かられたカーテンからオレンジ色の光が部屋に差し込む。雨はやんでいた。オレンジ色の空を背にして部屋を見渡す。一番気になるのはテーブルの上のノートだったが、それ以上に本棚の雑誌や飾ってあるCDが最近のものであると気が付く。この部屋の住人はとっくに存在していない筈なのに、まるで存在しているかのように最新の状態が保たれているのだ。葛が鍵を持っているという事は葛がこの部屋を常に掃除し、アップデートを重ねていたのだろうか。そしてそれはパパの指示で行われていたに違いない。
テーブルの上に重ねられたノート。その一番上に白い厚みのある封筒が置かれていた。中を覗くとそこには写真の束が入っていた。翠はその写真を取り出した。
それは旅行の写真だった。いちばん大きな集合写真には十名程の人が写っている。何かの団体の旅行だろうかと翠は次の写真に目を通す。
二人の若い女性がラベンダー畑を背景にピースサインをして写っている写真。その写真の右側の女性を見た時、直感的に翠はこの女性がママだと思った。
何故ならその女性は長い黒髪で肌は陶器のように白く、それでいて人形のように機械的ににこりと微笑んでいて――まるで、そう。紅にそっくりだった。
翠と紅は顔がよく似ているが、表情や仕草は当たり前のように別人だ。その後写真を捲っていっても写っている女性は同じで、そして全ての写真に写る雰囲気は紅の生き写しのようだった。
逆だ。紅がこの女性、ママの生き写しのようなのだ。
(紅がママにそっくりなら、どうして……ううん、パパから見た紅はママに似ていなかった?)
母親と娘が似ているというのなら、それは普通微笑ましい事ではないだろうか。尚更、パパの行動が理解できなかった。
写真は旅行のものが全てだった。写真を封筒に戻し、ノートの束に取り掛かる。しかし上から順にノートを確認してもほとんどノートはママの仕事用ノートのようで、雑誌の切り抜きが貼られているだとか記事に関するメモやまとめが記されているものばかりだった。
葛が話していた翠の知りたい情報というのはこのノートではなくどこか別の場所に隠されているのだろうか? 翠は部屋をぐるりと見渡したが、何かが隠されていそうな場所は本棚ぐらいしか見当たらなかった。ノートをチェックし終えたら次は本棚を探す事に決め、再びノートのチェックに取り掛かる。
一番最後にあったのはノートではなくルーズリーフで纏められたバインダーだった。そしてそれを開くと視界に飛び込んできたのは日記。今までのノートの筆跡から察するに、これはママの日記だった。
ママの日記。ここに翠の知りたい事が書いてある。確信を持った。
『?玲怦?托シ先律
翠がウサギのぬいぐるみを欲しがった。祐二さんはつみ木やパズルを与えるよう言っていたけど、ひとつくらいはぬいぐるみを与えても良いと思ったので買ってあげることにした。翠はずっとぬいぐるみを手放さない、気に入ってくれたみたいで良かった』
一ページ目にはそう書かれていた。中途半端な年月から始まっている事を見るとこのノートが始まりではないのだろうかと翠は疑問に思う。この部屋のどこかにこれよりも以前の日記はあるのか――ひとまずこのノートを読もうとしたが、ぱらぱらと捲っただけでもこのノートが一冊丸々日記帳である事がわかった。読むのには時間がかかりそうだ。
読めるところまでは読んでしまおうと翠は手を進める。
『?玲怦?托シ第律
朝起きるとぬいぐるみの耳が取れていた。寝ている間に何かあったのかな? 不良品だったのかもしれない。後で縫ってあげよう』
その後は日常を書き連ねた日記が続く。自分のこと、紅のこと、ママのことや幼い自分の事が詳しく知ることができるような、そんな事が書かれていないか翠はよく探した。
『?玲怦?抵シ第律
何度縫い直しても翠はぬいぐるみの耳を噛みちぎったり引っ張ったりと壊してしまう。遊び方がわからないのかと思ったけれど何度言い聞かせてもダメ。ぬいぐるみは取り上げることにした』
言葉を探した。
『?呎怦?托シ疲律
翠の噛み癖が直らない。赤ちゃんの頃からずっとだ。私や祐二さんを噛むのはいいけど今後保育園に入れる予定なのに直らなかったらと思うとどうしたらいいのか。検診の時に相談しないと』
情報を求めた。
『?托シ先怦?玲律
天気が良かったから公園に行った。翠が泣かないか心配だったけれど翠は積極的に他のこどもの輪に入っていった。良かった。楽しそうだった』
それからしばらく、平穏な日常が続いた。ほんの四、五行だけで紡がれていく日記。その日に起きた特出した出来事を抜粋して書いているようで、一冊だけでもかなりの日数の出来事が綴られている。
『?托シ呈怦?匁律
やっぱりダメだった』
かなりのページを捲った時、その一言だけで終わっているページがあった。今までとは違い、走り書きをされたような荒々しい字。この日に一体何が起こったのかは記されていない。しかしその日からの日記は毎日の事ではなく何かが起きた日に限られて綴られている。そしてそれは一か月ごとから二週間ごとに、更に一週間ごとにと段々と期間が短くなっている。元の平穏な日記に戻ったのではない、問題の起きる頻度がどんどん増えているのだ。字も段々と荒々しく変化して行き、解読できない文字列も多々存在した。日記の変わりように翠は全身から汗が噴き出すように、焦りと動悸が止まらなかった。ノートを捲る手も汗に濡れ、意識がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられているような感覚だった。それでも、翠は読み進めることを止められない。
ノートの一番最後の記述。
『豁サ縺ォ縺溘>
私のせいだ。私が悪いんだ。ごめんなさい。本当は翠と離れたくない。でも私が悪い。ごめんなさい鄙?縺梧判謦?噪縺ェ縺ョ縺ッ逕溘∪繧後▽縺阪↑繧薙°縺倥c縺ェ縺??∫ァ√′謔ェ縺』
前半は元の丁寧な字でそう綴られていたが最後の方の文字だけは荒れていて何と書いてあるのかわからなかった。
このノートを読み切った翠は汗でぐっしょりで、すぐにでも着替えるべきであったが、翠はそのノートを片手にふらふらと部屋を出た。
自室へ戻った翠は汗で全身が気持ち悪いのもお構いなしにノートを抱えたままベッドへ倒れ込んだ。
(そうだ……どうして忘れていたんだろう……)
パパやママ、そして葛。それに柚希も。翠は他人に記憶の片鱗を求めてばかりだった。紅に頼ってばかりだと思っていた。自分は今までただ流されるがままに大人しく、控えめに生きてきた。でも紅と出会った事で、自分は変わろうと決意した。しかしそれは間違いであるとついさっき気が付いた。否、思い出したのだ。
(だめだよ……ぼくは変わろうとしてはいけない。紅に、鄙?に憧れちゃだめなんだ……こんな大事なこと、なんで忘れていたんだろう)
淘汰された日常に、すべてを忘れていた。
(でも、ぼくは)
悪魔の囁きが自らの奥深くから聞こえてくるようだった。悪魔ですらない、むしろ自分自身が悪魔なのかと心の内に問いかける。
湧き上がるのは恐怖だった。恐怖が全身を支配するようで、翠はそれに抗うべく壁に思い切り頭を打ち付けた。鈍い痛みが回って来る。痛いという事は生きているという事。翠は安堵した。自分がまだ痛みを感じられるという事に。
その日記は何もかもが記されていた。決して今の翠が思い出してはいけないとある事象への引き金にもなっていた。
事実と推測。すべての辻褄がひとつの現実に基づいて構築される。翠は今すぐにでもクローゼットの扉を蹴破って彼女と話をしなければならなかった。
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