妻の秘密

kana_01

文字の大きさ
17 / 21

第17話 先の事

しおりを挟む
 僕は、金田社長、中田社長に挨拶をした後、薫と一緒に社長室を後にした。社長秘書の方が、セキュリティゲートの外まで、送ってくれた。

「本日は、ありがとうございました」
「いえ、こちらこそ」

簡単な挨拶で薫と一緒に金田物産のビルを出た。

「さっきの社長秘書の人、来た時と帰る時で態度が変わっていたような」
「ふふっ、それが普通のサラリーマンです。康人さん」
「……」

「康人さんには一生分からないかもですね。ところで、ねえ康人さん。今日は二人の日ですよね。もう七時半です。ホテルで食事して、ねっ」
「うん、分かっている」



「金田。面白い男を見つけたな」
「ああ、薫から聞いた時は、眉唾かと思ったが、どうして中々」
「まだ、未知数だが、使ってみる価値はありそうだ。価値が有れば良し。なければ元に戻るだけ。彼にとっても悪い話ではない」
「そうだな。楽しみが、また一つ増えたな」
「はは、金田は、好きだな。人の人生を見て行く事が」
「中田もだろう」
「そうだな」



「はっ、くしょん」
「どうしたの。康人」
「いや、急にくしゃみが出て」
「はい、じゃあ、もっと側にいないと」
「ああ」
思い切り腕に寄りかかれながら、ホテルに向かった。
ふふっ、これで、香澄さんとは、五分五分に戻せたかな。



「ただいま、香澄」
「お帰りなさい。あなた。どうでした。金田物産社長とのお話」
「ああ、なんか話が大きくて。食事終わったら話そう」
「分かったわ。でもその顔では、悪い話では無かった様ね」
「そうだな」


食事も終わり、ウィスキーのロックを口にしながら
「会社、変わりそうだ」
「えっ、首に……」
「いや、中田産業の社長付になる」
「……」

「中田社長の仕事の手伝いをしながら会社の仕事を覚えて行けと言われた」
その後の社長云々は、言わずにおいた。

「良く分からないんだけど」
「僕もだ。でも良い事もある。年収が今の三倍になる」
「えーっ。それじゃ、このマンションのローンの返済も早くできるし。私欲しい洋服ある」
「まだ、勤め始めて仕事が出来るか判断されてからの事だ」
「……」

「今度、園で薫さんに会ったらお礼言った方がいいかな」
「いや、一切触れないでくれ。この事、薫さんは知っているが、私的な事ではない」
「分かりました」



一か月後、
出向していた会社の同僚からは、親会社に戻ると思われているらしく、戻った後も、声を掛けさせてくれと頼りにされていた証を言葉で言ってくれていた。



中田産業に入社した日だけは、色々な手続きの説明だけだったが、翌日の出社後からは、紹介もそこそこに、仕事に就いた。仕事は慣れない事もあったが、多忙を極めた。

酷い時は、前日、いや当日の朝午前二時まで仕事をしながら、五時には出社しないといけない日もあった。

 普通でも、朝六時から夜十時が通常時間。社長という仕事がいかに激務か良く分かった。
だが、偶に休暇もどきがある。中田社長は、ゴルフをする。僕は出来なかったので、送迎車手配と同行以外は、休むことが出来た。スケジュールは、然り決まっているが。
 土日出勤も当たり前だった。

だが、薫とのは時は、何故か仕事に一部にされているようにその日だけは、早く帰れた。
多分、金田社長からの入知恵だろう。
 香澄は、少し不満げだったが。

「金田、一年前に紹介して貰った河西という男。良いものを見つけたようだ。まだまだ原石だが、我が社の要職に就けるだけの器量を一年で身につけた」
「失敗したな。逃がした魚は大きかったか」
「そういうことだ。礼をいう」

「しかし、あの男、これだけ忙しい中で薫さんと家族と上手く過ごしていけるなんて、我々には無い才能が有るのかもしれないな」
「おれもそう思うよ。薫はあいつと会った翌日の嬉しそうな顔といったら。単に体合わせた位で、あの笑顔は生まれないだろう。美香ともうまく過ごしているらしい。その辺はこちらが教えて欲しいものだ」
「はははっ、そうだな。そこでだ。社長付を外して、専務職につけようと思う」
「あの若さでか。社内は付いてくるか」
「ここ一年、私と一緒に仕事をして、役員連中や周りの奴らは舌を巻いていた。文句を言うやつはいない。それに元々洋二が付くポストだった。それに比べれば格段にいい」
「そうか」



「香澄、今度専務になる」
「えっ、たった一年しか仕事していないですよ」
「まあ、役員会の反対も無く決まった」
「そっ、そうなんですか。でもここ一年忙しかったですからね」

「仕事が忙しいのは、皆同じだ。だが拝命した以上、今まで以上にがんばる必要がある」
「あなた、出世なさったことも、収入が増えた事も、妻としてはとても喜ばしく思います。でも、私との約束は忘れないで下さいね」

「うんっ?」
「一年前に言いましたよね。二人目は薫さんより私が先だって。まさか忘れていないですよね」
「忘れてない。忘れてない」

「じゃあ、証明して下さい」
「うっ、わ、分かった」
「いやなんですか」
「ソンナコトナイヨ」

「なぜ棒読みなんですか」
「いや……」

返事する前に唇を塞がれた。

今日も努力あるのみ。ファイトー!何発?!


―――――

このままでは、済みませんよ。

次回をお楽しみに。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。


しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

処理中です...