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最初の知識
新生活2
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「さて…」
妖精用の色々な物を扱っているとすれば魔導具屋だろう。しかし、自分が妖精と契約したのは数十年前の話なので、今、どのような物が置いてあるかは解らない。場合によっては、新たに作らねばならないかもしれないな。そんな事を考えつつ、店まで急ぎ足で向かう。
(それにしても…)
古代魔術言語を使う新種族とは。一体どの大陸のどの辺りでどんな生活をしていたというのか。大陸のどの種族とも交流が無かったのだろうか。それとも過去に滅んだ何処かの種族とは交流があったのだろうか。それとも記述されていないだけで、ひっそりと口伝でもあったのだろうか。いや、外に出た事が無いと言っていた彼女が、いきなりこの周辺に突然呼び出されたかのような状態だった事を考えれば、全く知られていないというのはやはり有り得ない、か。口伝のみで伝わっている存在、そしてその存在を何がしかの理由でこの周辺に呼び出した…もしくは手元に呼び出そうとして失敗してのあの場所だった、というところだろうか。誰が何の為にそんな事をしたのか。彼女が目的の人物だったのか。それともニンゲンという種族であれば誰でも良かったのか。理由はどうであれ大問題だ。交流も無い、どのような種族であるかも知られていない種族をこの国が治めている土地にいきなり呼び出してのあの状況。その時の彼女を取り巻く環境。元の場所に帰そうにもその場所も解らず、仮に帰せたとして、彼女が自国でこの事をどう報告するのか。不幸の最中にいきなり誰とも解らぬ者に、これまたよく知らぬ国の何処ぞに呼び出された、などと言われたら。それがこの国の者によって行われたと誤解されたら。下手すれば我が国との種族間の戦争も起きかねない。いや、状況を思えばその可能性が高いとも言える。…古代魔術言語を日常言語として使うような古い種族と戦争になるかもしれないなどと、考えただけで末恐ろしい。そんな事は絶対に避けねば。
彼女に対しては、なるべく此の国に不信や不満を持たれる事がないように過ごしてもらい、且つ疑われないようニンゲンと言う種族に関しての知識を得るようにし、それでいて出来るだけ早く帰る為の手立てを探さねば。
…………………。
溜息が出る。
不信や不満をもつ事がないように、それでいてニンゲンの事を聞く、それは問題ないだろう。だが、出来るだけ早く帰す、これに関してはハッキリ言って無理なのだ。そもそも彼女が住んでいた場所が解らないのも問題だが、例えば転移魔法で帰すとしたら、最低でも転移魔法を使用する者が、その場所か、もしくはその周辺の何処かに行った事がなければならない。転移魔法は行った事がない所には行けないのだ。そして魔法を使わないでとなると、それが何処であろうと結構な日数がかかってしまう。何しろ、此処ニヴルスト魔導公国はヨーツィルダル大陸のほぼ中央に位置している。少なくともこの大陸で彼女以外のニンゲンに出逢った事は無いので、このヨーツィルダル以外の大陸まで送る事になる…と考えると、海路であったり、山脈だったりを越えなければならない。そうなると一番近いところに最も早い方法で休みなく移動したとしても、一週間から十日はかかるのだ。どう考えても早いとは言えない。しかもこれが真逆の位置にあるアールヴ大陸などだと数ヶ月はかかるのだ。そして最悪なのはこのアールヴ大陸が最も可能性が高いという事。何故なら、アールヴ大陸には古代魔術言語を使う古代竜が住むと言われているテュルク山とハイエルフの集落があるガラナ樹海があるからだ。一応、最悪を考えて出来る限りの最善の方法を考えねば。
……………………。
またも溜息が出る。
問題はまだある。この状況を作ったのが誰なのか。この国の者なのか、それとも他の国の者なのか。その真意が何であるのか。
そんな事をつらつらと考えていたら、魔導具屋に着いた。さて必要な物を探さなければ。彼女が日常的に使うだろう物をチェックして、それらをどんどん購入していく。ある程度は揃っただろうか。足りない物があったなら、それはもう作るしかないだろう。何しろ妖精サイズの物など、そうは売っていないのだ。
店の外へ出ると、日はもう真上にきていた。
「屋敷へ帰ったら一先ず食事をして、それから彼女に他に必要な物がないかを確認して、追加があればそれを手配して、その後もう一度城に行って陛下に逢わねば。彼女の今後に関しての話もしなくてはならないし…やれやれ、だねぇ…」
妖精用の色々な物を扱っているとすれば魔導具屋だろう。しかし、自分が妖精と契約したのは数十年前の話なので、今、どのような物が置いてあるかは解らない。場合によっては、新たに作らねばならないかもしれないな。そんな事を考えつつ、店まで急ぎ足で向かう。
(それにしても…)
古代魔術言語を使う新種族とは。一体どの大陸のどの辺りでどんな生活をしていたというのか。大陸のどの種族とも交流が無かったのだろうか。それとも過去に滅んだ何処かの種族とは交流があったのだろうか。それとも記述されていないだけで、ひっそりと口伝でもあったのだろうか。いや、外に出た事が無いと言っていた彼女が、いきなりこの周辺に突然呼び出されたかのような状態だった事を考えれば、全く知られていないというのはやはり有り得ない、か。口伝のみで伝わっている存在、そしてその存在を何がしかの理由でこの周辺に呼び出した…もしくは手元に呼び出そうとして失敗してのあの場所だった、というところだろうか。誰が何の為にそんな事をしたのか。彼女が目的の人物だったのか。それともニンゲンという種族であれば誰でも良かったのか。理由はどうであれ大問題だ。交流も無い、どのような種族であるかも知られていない種族をこの国が治めている土地にいきなり呼び出してのあの状況。その時の彼女を取り巻く環境。元の場所に帰そうにもその場所も解らず、仮に帰せたとして、彼女が自国でこの事をどう報告するのか。不幸の最中にいきなり誰とも解らぬ者に、これまたよく知らぬ国の何処ぞに呼び出された、などと言われたら。それがこの国の者によって行われたと誤解されたら。下手すれば我が国との種族間の戦争も起きかねない。いや、状況を思えばその可能性が高いとも言える。…古代魔術言語を日常言語として使うような古い種族と戦争になるかもしれないなどと、考えただけで末恐ろしい。そんな事は絶対に避けねば。
彼女に対しては、なるべく此の国に不信や不満を持たれる事がないように過ごしてもらい、且つ疑われないようニンゲンと言う種族に関しての知識を得るようにし、それでいて出来るだけ早く帰る為の手立てを探さねば。
…………………。
溜息が出る。
不信や不満をもつ事がないように、それでいてニンゲンの事を聞く、それは問題ないだろう。だが、出来るだけ早く帰す、これに関してはハッキリ言って無理なのだ。そもそも彼女が住んでいた場所が解らないのも問題だが、例えば転移魔法で帰すとしたら、最低でも転移魔法を使用する者が、その場所か、もしくはその周辺の何処かに行った事がなければならない。転移魔法は行った事がない所には行けないのだ。そして魔法を使わないでとなると、それが何処であろうと結構な日数がかかってしまう。何しろ、此処ニヴルスト魔導公国はヨーツィルダル大陸のほぼ中央に位置している。少なくともこの大陸で彼女以外のニンゲンに出逢った事は無いので、このヨーツィルダル以外の大陸まで送る事になる…と考えると、海路であったり、山脈だったりを越えなければならない。そうなると一番近いところに最も早い方法で休みなく移動したとしても、一週間から十日はかかるのだ。どう考えても早いとは言えない。しかもこれが真逆の位置にあるアールヴ大陸などだと数ヶ月はかかるのだ。そして最悪なのはこのアールヴ大陸が最も可能性が高いという事。何故なら、アールヴ大陸には古代魔術言語を使う古代竜が住むと言われているテュルク山とハイエルフの集落があるガラナ樹海があるからだ。一応、最悪を考えて出来る限りの最善の方法を考えねば。
……………………。
またも溜息が出る。
問題はまだある。この状況を作ったのが誰なのか。この国の者なのか、それとも他の国の者なのか。その真意が何であるのか。
そんな事をつらつらと考えていたら、魔導具屋に着いた。さて必要な物を探さなければ。彼女が日常的に使うだろう物をチェックして、それらをどんどん購入していく。ある程度は揃っただろうか。足りない物があったなら、それはもう作るしかないだろう。何しろ妖精サイズの物など、そうは売っていないのだ。
店の外へ出ると、日はもう真上にきていた。
「屋敷へ帰ったら一先ず食事をして、それから彼女に他に必要な物がないかを確認して、追加があればそれを手配して、その後もう一度城に行って陛下に逢わねば。彼女の今後に関しての話もしなくてはならないし…やれやれ、だねぇ…」
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