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最初の知識
魔法とは
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出された古代魔術言語の本は『魔術の心得(中級)』『古代魔術言語集』『四字成語』の三冊。『魔術の心得』に関しては小学校の国語の教科書みたいな感じだった。『古代魔術言語集』は国語辞典と言うか漢字辞典と言うかそんな感じで、『四字成語』は何と四字熟語辞典だった…。四字熟語辺りなら眼鏡さんでもイケるんじゃなかろうか。日本語って言うより、中国語っぽい感じだし、発音もこっちのがしやすそう。意味とかイメージは難しいかもしれないけど。眼鏡さんの場合、頭は良さそうだから意味とかイメージは大丈夫そう。問題なのは発音だろうし。別に眼鏡だから頭が良さそうって訳じゃないよ?話し方とか雰囲気とかが頭良さそうに思うって事だよ?
「あ、そう言えば」
さっき、私は魔法を使う時にわざわざ(格好つけたかったから)英語の発音で言ったのに、魔法発動したんだよねぇ?でも眼鏡さんはまんま日本語で言ってた。どういう事だろう?……………。もう一度日本語で試してみよっかな。呪文は…
「灯り」
発動したソレは翳した掌の中に収まりきらない巨大な眩しいナニカとして現れ、そのままフワフワと天井へと上がっていった。さっきと同じかと言われたら、全然違うソレ。大きさも眩しさも段違いで。日本語で発音したらこんな風になるなんて。
「どうなってるの、これ…」
英語で発音した時と日本語で発音した時の差、凄すぎ。日本語のほうが強く発動するのは、この世界だからなのか、それとも理解力や発音のせいなのか。でも英語でも魔法が発動するのは何でなんだろう。日本語は古代魔術言語だった。英語も何かの言語って事だろうか?だとしたら、渋メンさんが話してたのももしかしたら何処かの国の言葉と同じだったりするんだろうか。てことは…何処かに日本人みたいな種族がいるのかも?
…………………。
流石に都合良く考えすぎな感じがする。ラノベ脳でゴメンナサイ。
取り敢えず後で眼鏡さんにまた魔法の事を聞いてみよう。自分で、というかラノベ知識で勝手に判断するのは危険だろうし。先ずは出来る事が何なのかを見つけないと、だよね。その為にはやっぱり日本語で魔法ってのが何処までをさしてるのかを知らないと。でも『灯り』でこんなふうになっちゃうくらいだから、何かこう、バリアみたいの欲しいよね。うっかり何処かを破壊しちゃったりしたら大変だし。弁償だって出来ないし!バリアか…日本語だと結界とか、障壁かな?結界だと何か悪いモノを排除する的な感じだから、障壁かな?取り敢えずやってみるか。
イメージ…周りとの繋がりを断ち、独自の空間を保持する、外部への影響は無いものと考える…こんな感じかな?
『障壁』
何処からかパキンと高い金属音が聴こえた。見た感じはどうもなってはいない。でもあの何かが抜けるような感覚があったので発動はしてるハズ…。たぶんだけど。
よし!発動した事にする!そして続けてイメージする。透明、無味無臭、液体。
『水』
目の前の空間がクニャリと歪む。が、それだけだった。何も出てこない。失敗かな?意味やイメージが足りないのだろうか。よし、もう一度。
透明、無味無臭、液体、空気中にも含まれ、全ての生きる源─
『水』
目の前の空間が今度は大きくグニャリと歪む。水滴だろうか、何かの粒が渦を巻いて段々と大きな水の球を作っていく。
「やった!成功───
…………って、え、待って?」
どんどん大きさを増していく水球。既に私よりも二~三倍は大きい。しかしそれでも止まらない。
「ちょっ、待って、待って、いやーーー!ちょっ、待って、止まってぇぇえ!」
どうすれば止まるのコレ!?
「ちょっと止まってーーーー!」
焦って、つい、目の前の水球を叩いてしまった。その瞬間、ドパンッと勢いよく破裂する水球。
…………………。
「…わあ~…、すご~い。
障壁張ってるとこうなるんだ~~…」
見えない壁に阻まれた水が膝丈いっぱいまでの巨大な池を作っていた。言うまでもないが、全身ズブ濡れ状態だ。魔法は止まったようだが、絶対に正しい止め方ではないと思う。…どうしよう、この水。障壁消したらエライコッチャになる。いやそれよりも障壁の消し方が解らんかったわ。いやいやそれよりも、自動で消えちゃったらどうしよう?机の上がビシャビシャになるのは確実。机の上には本やら私の部屋やらあるのに!水量を考えたら、机の上だけには留まらない可能性大!何とか!何とかしなきゃ!どうしよう。どうしたら良い?落ち着け、私!冷静に考えるんだ!水だから、気化させれば良いんじゃない?こう、蒸発させれば─って、障壁張った中でそんなんしたら、私がどうにかなっちゃうわ!アホか、私!落ち着けーーー!
プチパニックしてる場合か。
何とかこの水を消す方法を考えなきゃ。うーん、水を消す方法、水を消す方法…。水。
「あ、そうか」
わざわざ蒸発させる必要なんかないのか。魔法が使えるんだったわ。必要なのは、意味を知る事、成り立ちを知る事、イメージする事。水は…酸素に触れ、光に晒され、やがて気化して空気に融ける。濃い水分を含んだ空気は光を屈折させ虹を作る。虹は空の蛇。
『虹』
発しつつ、足下の水を手で空中へと掬い投げる。すると足元から細かい水の粒がユラユラと上がり始め、そのまま上空で虹を象っていく。大きな大きな虹が出来た頃には、足下の水はすっかり無くなっていた。
「よし!」
やるじゃん、私。あとは…自分か。このズブ濡れ状態をどうにかしないとね。乾かすには…乾燥?うーん、服は兎も角、髪は乾燥じゃあダメだよね。メッチャ傷みそう。乾かす…天日干し?やだ、日焼けとかしたくない。うーみゅ、乾かす…あ、ドライヤー的なのどうだろう?温風とか。こう、ま~るく、ふんわりとした春風や南風って言う感じで。ちょっとやってみよう。
『温風』
おっ、何かフワ~っとした風が…きたきた🎵やるじゃん、私ぃ🎵うん、温かい………うん?おや?…………。確かに温かい風だけど…これじゃあ乾くまでにメッチャ時間かかるんじゃね?んん~?これはアカンヤツー!いや成功っちゃ成功なんだけど、コレじゃない感。何がダメなの?もっとこう…サクッと乾かせないもんだろうか?ドライヤーがダメなのかな?あと乾燥させるのって何?出来るだけ効率が良い感じの…あっ、乾燥機!いやあんなグルグル回らせられるのダメでしょ。あっ!下から扇風機!洗濯物の下から集中的に風を当てて乾かす感じの!アレ、良いんじゃない?このフワ~っと流れてるだけの風を、身体に万遍なくまとわりつくように集中させるイメージでやってみたらどうだろう?よし、イメージして~、イメージして~、いくぞ~。
『温風』
肌にピッタリとくっついていた服が温かい風を含んで膨らんでいく。今度こそ成功~🎵滑らかに流れる風が全身を包んでいく。これはすぐ乾きそう!ちょっとくすぐったいけど、まぁ良し。
温かい風に包まれて少しの間、ほっこりとした時間を楽しむ。気持ち良い。
「風のお風呂って感じ~🎵」
時間としては本当に少しの間だけで綺麗に乾いた。魔法の方も乾いたとほぼ同時に止まっている。コレは…自分を含め、服を乾かす事を強くイメージしたせいだろうか。それに風の動き自体もイメージによって変化している。
つまり、魔法がおこす事象はイメージに作用されてるって事…かな。
「あ、そう言えば」
さっき、私は魔法を使う時にわざわざ(格好つけたかったから)英語の発音で言ったのに、魔法発動したんだよねぇ?でも眼鏡さんはまんま日本語で言ってた。どういう事だろう?……………。もう一度日本語で試してみよっかな。呪文は…
「灯り」
発動したソレは翳した掌の中に収まりきらない巨大な眩しいナニカとして現れ、そのままフワフワと天井へと上がっていった。さっきと同じかと言われたら、全然違うソレ。大きさも眩しさも段違いで。日本語で発音したらこんな風になるなんて。
「どうなってるの、これ…」
英語で発音した時と日本語で発音した時の差、凄すぎ。日本語のほうが強く発動するのは、この世界だからなのか、それとも理解力や発音のせいなのか。でも英語でも魔法が発動するのは何でなんだろう。日本語は古代魔術言語だった。英語も何かの言語って事だろうか?だとしたら、渋メンさんが話してたのももしかしたら何処かの国の言葉と同じだったりするんだろうか。てことは…何処かに日本人みたいな種族がいるのかも?
…………………。
流石に都合良く考えすぎな感じがする。ラノベ脳でゴメンナサイ。
取り敢えず後で眼鏡さんにまた魔法の事を聞いてみよう。自分で、というかラノベ知識で勝手に判断するのは危険だろうし。先ずは出来る事が何なのかを見つけないと、だよね。その為にはやっぱり日本語で魔法ってのが何処までをさしてるのかを知らないと。でも『灯り』でこんなふうになっちゃうくらいだから、何かこう、バリアみたいの欲しいよね。うっかり何処かを破壊しちゃったりしたら大変だし。弁償だって出来ないし!バリアか…日本語だと結界とか、障壁かな?結界だと何か悪いモノを排除する的な感じだから、障壁かな?取り敢えずやってみるか。
イメージ…周りとの繋がりを断ち、独自の空間を保持する、外部への影響は無いものと考える…こんな感じかな?
『障壁』
何処からかパキンと高い金属音が聴こえた。見た感じはどうもなってはいない。でもあの何かが抜けるような感覚があったので発動はしてるハズ…。たぶんだけど。
よし!発動した事にする!そして続けてイメージする。透明、無味無臭、液体。
『水』
目の前の空間がクニャリと歪む。が、それだけだった。何も出てこない。失敗かな?意味やイメージが足りないのだろうか。よし、もう一度。
透明、無味無臭、液体、空気中にも含まれ、全ての生きる源─
『水』
目の前の空間が今度は大きくグニャリと歪む。水滴だろうか、何かの粒が渦を巻いて段々と大きな水の球を作っていく。
「やった!成功───
…………って、え、待って?」
どんどん大きさを増していく水球。既に私よりも二~三倍は大きい。しかしそれでも止まらない。
「ちょっ、待って、待って、いやーーー!ちょっ、待って、止まってぇぇえ!」
どうすれば止まるのコレ!?
「ちょっと止まってーーーー!」
焦って、つい、目の前の水球を叩いてしまった。その瞬間、ドパンッと勢いよく破裂する水球。
…………………。
「…わあ~…、すご~い。
障壁張ってるとこうなるんだ~~…」
見えない壁に阻まれた水が膝丈いっぱいまでの巨大な池を作っていた。言うまでもないが、全身ズブ濡れ状態だ。魔法は止まったようだが、絶対に正しい止め方ではないと思う。…どうしよう、この水。障壁消したらエライコッチャになる。いやそれよりも障壁の消し方が解らんかったわ。いやいやそれよりも、自動で消えちゃったらどうしよう?机の上がビシャビシャになるのは確実。机の上には本やら私の部屋やらあるのに!水量を考えたら、机の上だけには留まらない可能性大!何とか!何とかしなきゃ!どうしよう。どうしたら良い?落ち着け、私!冷静に考えるんだ!水だから、気化させれば良いんじゃない?こう、蒸発させれば─って、障壁張った中でそんなんしたら、私がどうにかなっちゃうわ!アホか、私!落ち着けーーー!
プチパニックしてる場合か。
何とかこの水を消す方法を考えなきゃ。うーん、水を消す方法、水を消す方法…。水。
「あ、そうか」
わざわざ蒸発させる必要なんかないのか。魔法が使えるんだったわ。必要なのは、意味を知る事、成り立ちを知る事、イメージする事。水は…酸素に触れ、光に晒され、やがて気化して空気に融ける。濃い水分を含んだ空気は光を屈折させ虹を作る。虹は空の蛇。
『虹』
発しつつ、足下の水を手で空中へと掬い投げる。すると足元から細かい水の粒がユラユラと上がり始め、そのまま上空で虹を象っていく。大きな大きな虹が出来た頃には、足下の水はすっかり無くなっていた。
「よし!」
やるじゃん、私。あとは…自分か。このズブ濡れ状態をどうにかしないとね。乾かすには…乾燥?うーん、服は兎も角、髪は乾燥じゃあダメだよね。メッチャ傷みそう。乾かす…天日干し?やだ、日焼けとかしたくない。うーみゅ、乾かす…あ、ドライヤー的なのどうだろう?温風とか。こう、ま~るく、ふんわりとした春風や南風って言う感じで。ちょっとやってみよう。
『温風』
おっ、何かフワ~っとした風が…きたきた🎵やるじゃん、私ぃ🎵うん、温かい………うん?おや?…………。確かに温かい風だけど…これじゃあ乾くまでにメッチャ時間かかるんじゃね?んん~?これはアカンヤツー!いや成功っちゃ成功なんだけど、コレじゃない感。何がダメなの?もっとこう…サクッと乾かせないもんだろうか?ドライヤーがダメなのかな?あと乾燥させるのって何?出来るだけ効率が良い感じの…あっ、乾燥機!いやあんなグルグル回らせられるのダメでしょ。あっ!下から扇風機!洗濯物の下から集中的に風を当てて乾かす感じの!アレ、良いんじゃない?このフワ~っと流れてるだけの風を、身体に万遍なくまとわりつくように集中させるイメージでやってみたらどうだろう?よし、イメージして~、イメージして~、いくぞ~。
『温風』
肌にピッタリとくっついていた服が温かい風を含んで膨らんでいく。今度こそ成功~🎵滑らかに流れる風が全身を包んでいく。これはすぐ乾きそう!ちょっとくすぐったいけど、まぁ良し。
温かい風に包まれて少しの間、ほっこりとした時間を楽しむ。気持ち良い。
「風のお風呂って感じ~🎵」
時間としては本当に少しの間だけで綺麗に乾いた。魔法の方も乾いたとほぼ同時に止まっている。コレは…自分を含め、服を乾かす事を強くイメージしたせいだろうか。それに風の動き自体もイメージによって変化している。
つまり、魔法がおこす事象はイメージに作用されてるって事…かな。
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