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日々早々
変装
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取り敢えず自分用のテーブルセットを箱部屋の横に寄せておく。机の真ん中に近い(ように見える)位置にデンっと置いていたら邪魔だろうし。昨日、出しっ放しにしていたクッションも箱部屋にしまっておく。昨日着ていた服も洗いたいところだけど、洗う方法が無いし。さっきの『ドレッシー』だっけ?アレが使えればいいんだけど、意味や成り立ちとか解らんしねぇ。そもそも何語なのか。あ、そこはアレか。日本語でやればいいのか!…洗濯かな?洗浄とかかな?でもこれだと洗剤とか水とか必要だよね?それも込みな魔法になるんだろうか?ちょっと試して─なんて考えてたら
コンコン
おっと、ノック音ですよ。ジリスさんが戻ってきてしまいました。時間切れ~。ジリスさんに仕度はどうかと聞かれたけど、ぶっちゃけ着の身着のままでココに来た私に何を仕度する物があるというのかツッコミたい。まぁ、それは兎も角。洗濯の件は帰ってきてから一人でゆっくり考えながらやろう。
「では先ず変装魔法をかけますね」
って、変装って魔法なんかーい!
『メイクアップ』
身体全体をキラキラした粒子が覆っていく。すると─何という事でしょう!髪の毛は水色に、服も何だかヒラヒラ感がアップしてしかも肩丸出しですよ!ミニスカートですよ!何かミュール?みたいなのまで履いてますよ!何これ~!凄い!鏡!鏡で全身確認した~い!ふぅおぉぅ。その場でクルリと回ってみる。ん?お?羽根…?んんん?!私に羽根が生えちゃってませんかー?!
「羽根がー!!?」
「はい。妖精に見えるようにしてみました」
ジリスマイル。安定だね!
「もももももしかして、飛べちゃったりするんですか?!」
「あ、飛べはしません。ですから飛ばないでくださいね。あくまで見た目だけですので」
残念…。テンションがちょっと下がったわ…。でも妖精に変装ですよ?もしかしてメッチャ可愛くなっちゃってたりするのかも!見たい!鏡~、見たいよ、鏡。
「か、鏡って無いんですか?」
「あ、そうですよね。どんなふうなのか気になりますよね。えぇと…手の上に乗って頂いてもよろしいでしょうか?」
「はーい♡」
そそくさと手の上に乗って、そのまま座り込む。だって揺れるだろうしね。
「それでは…行きますよ~」
ゆっくりと部屋の外へ出ると、そのまま色々な部屋を素通りして玄関らしき扉の前まで一気に行く。扉の横には大きな姿見があり、その前で手をかざすようにして
「如何でしょう?お気に召しましたでしょうか?」
と鏡の中でいつものジリスマイルをしているジリスさんと…妖精がいた。これ…誰!?まさかの私ー?!詐欺じゃね?!そう言えちゃうくらいの美少女がいた。ま、マジかーーー!
「スッゴーーイッ!これ、この美少女妖精は誰かを参考にしてるんですか?」
「えっ?」
何故そこでそんなに驚いているのか、ジリスさん。
「えっ?もしかして妖精は皆、美少女とかなんですか?」
「え~っと…顔は弄ってませんけど…」
「え゛っ!!?」
何て言った、この人。
「顔はアイリンさんのままですよ?」
「うっそだぁぁぁ!私、こんな美少女じゃないですよ!?だがしかし!お世辞でもありがとうございます」
ブフッと吹き出してる。おかげでメッチャ手が揺れましたよ。
「んんっ。あの、本当に顔は弄ってませんよ?そのままアイリンの顔です」
なんて言ってる…けど!どう見ても私じゃないよ?ジリスさんにはこう見えてるの?目ぇ悪いのか…な…って、あれ…?そう言えば。さっきの呪文…メイクアップって言ってたよね…?まさか、まさかの化粧って事ですかーっ?!
「ふっ、ふふふっ」
「……あの…?如何かしましたか…?」
「いえ。なるほど、メイクアップか…って思って」
「???そうですけど…」
訳が解らんって顔してる。でも私は合点がいったよ。なるほど~。そう言えば知り合いがそんなメイクしてたなぁとか思ったし。そうか…私もお化粧を頑張ればこういうふうになるのか…。美少女にはなりたいけど、これは…詐欺って言われても文句言えないかも…。いや、でも美少女…う~ん。今後、ちょっと考えよう…。
「アイリンさん?大丈夫ですか?」
「あっ、はい。大丈夫です」
困ったような顔してる。デスヨネー。済みません、慣れない自分の顔が胡散臭すぎて。
「そう言えば…ジリスさんはよく〝今のこれ〟が私の顔って解りますね。本人ですら解らなかったのに」
ふと思った疑問を投げかけてみる。だっていくら魔法をかけた本人とはいえ、これだけ顔が違ってたら魔法失敗したーとか思わないんだろうか。
「…?解りますよ。顔は変わってない訳ですし」
何て言った、この人?本気?本気か?だいぶ違うと思いますけど?
「目がお悪いとかですか…?」
「え?私ですか?視力は割と良いほうですけど…」
メッチャ不思議そうな顔してる。視力良いとかマジか。えぇぇ?何それ。私が変なの?アレかな。これは、髪も目も何か水色になってるし、ゆるふわカールだし、服もフワフワヒラヒラだし、その辺で私の脳内で勝手に補正でもかかってるんだろうか?
………………………。
いや、どう見ても別人に見えるわ。まぁ、化粧で化けるっていうのは聞くし、見た事もあるし、それなのかも?…そうなの?どうなの?メイクアップって言ってたけど、化粧はしてないっぽいのに、これが私の顔そのままとか言われても……うん、勝手に脳内で補正説が濃厚かも。妖精だし。ていうか。この状態の、いつもの私とは違いすぎるこの私を見て〝顔は一緒〟って言えるジリスさんがスゴイ。
コンコン
おっと、ノック音ですよ。ジリスさんが戻ってきてしまいました。時間切れ~。ジリスさんに仕度はどうかと聞かれたけど、ぶっちゃけ着の身着のままでココに来た私に何を仕度する物があるというのかツッコミたい。まぁ、それは兎も角。洗濯の件は帰ってきてから一人でゆっくり考えながらやろう。
「では先ず変装魔法をかけますね」
って、変装って魔法なんかーい!
『メイクアップ』
身体全体をキラキラした粒子が覆っていく。すると─何という事でしょう!髪の毛は水色に、服も何だかヒラヒラ感がアップしてしかも肩丸出しですよ!ミニスカートですよ!何かミュール?みたいなのまで履いてますよ!何これ~!凄い!鏡!鏡で全身確認した~い!ふぅおぉぅ。その場でクルリと回ってみる。ん?お?羽根…?んんん?!私に羽根が生えちゃってませんかー?!
「羽根がー!!?」
「はい。妖精に見えるようにしてみました」
ジリスマイル。安定だね!
「もももももしかして、飛べちゃったりするんですか?!」
「あ、飛べはしません。ですから飛ばないでくださいね。あくまで見た目だけですので」
残念…。テンションがちょっと下がったわ…。でも妖精に変装ですよ?もしかしてメッチャ可愛くなっちゃってたりするのかも!見たい!鏡~、見たいよ、鏡。
「か、鏡って無いんですか?」
「あ、そうですよね。どんなふうなのか気になりますよね。えぇと…手の上に乗って頂いてもよろしいでしょうか?」
「はーい♡」
そそくさと手の上に乗って、そのまま座り込む。だって揺れるだろうしね。
「それでは…行きますよ~」
ゆっくりと部屋の外へ出ると、そのまま色々な部屋を素通りして玄関らしき扉の前まで一気に行く。扉の横には大きな姿見があり、その前で手をかざすようにして
「如何でしょう?お気に召しましたでしょうか?」
と鏡の中でいつものジリスマイルをしているジリスさんと…妖精がいた。これ…誰!?まさかの私ー?!詐欺じゃね?!そう言えちゃうくらいの美少女がいた。ま、マジかーーー!
「スッゴーーイッ!これ、この美少女妖精は誰かを参考にしてるんですか?」
「えっ?」
何故そこでそんなに驚いているのか、ジリスさん。
「えっ?もしかして妖精は皆、美少女とかなんですか?」
「え~っと…顔は弄ってませんけど…」
「え゛っ!!?」
何て言った、この人。
「顔はアイリンさんのままですよ?」
「うっそだぁぁぁ!私、こんな美少女じゃないですよ!?だがしかし!お世辞でもありがとうございます」
ブフッと吹き出してる。おかげでメッチャ手が揺れましたよ。
「んんっ。あの、本当に顔は弄ってませんよ?そのままアイリンの顔です」
なんて言ってる…けど!どう見ても私じゃないよ?ジリスさんにはこう見えてるの?目ぇ悪いのか…な…って、あれ…?そう言えば。さっきの呪文…メイクアップって言ってたよね…?まさか、まさかの化粧って事ですかーっ?!
「ふっ、ふふふっ」
「……あの…?如何かしましたか…?」
「いえ。なるほど、メイクアップか…って思って」
「???そうですけど…」
訳が解らんって顔してる。でも私は合点がいったよ。なるほど~。そう言えば知り合いがそんなメイクしてたなぁとか思ったし。そうか…私もお化粧を頑張ればこういうふうになるのか…。美少女にはなりたいけど、これは…詐欺って言われても文句言えないかも…。いや、でも美少女…う~ん。今後、ちょっと考えよう…。
「アイリンさん?大丈夫ですか?」
「あっ、はい。大丈夫です」
困ったような顔してる。デスヨネー。済みません、慣れない自分の顔が胡散臭すぎて。
「そう言えば…ジリスさんはよく〝今のこれ〟が私の顔って解りますね。本人ですら解らなかったのに」
ふと思った疑問を投げかけてみる。だっていくら魔法をかけた本人とはいえ、これだけ顔が違ってたら魔法失敗したーとか思わないんだろうか。
「…?解りますよ。顔は変わってない訳ですし」
何て言った、この人?本気?本気か?だいぶ違うと思いますけど?
「目がお悪いとかですか…?」
「え?私ですか?視力は割と良いほうですけど…」
メッチャ不思議そうな顔してる。視力良いとかマジか。えぇぇ?何それ。私が変なの?アレかな。これは、髪も目も何か水色になってるし、ゆるふわカールだし、服もフワフワヒラヒラだし、その辺で私の脳内で勝手に補正でもかかってるんだろうか?
………………………。
いや、どう見ても別人に見えるわ。まぁ、化粧で化けるっていうのは聞くし、見た事もあるし、それなのかも?…そうなの?どうなの?メイクアップって言ってたけど、化粧はしてないっぽいのに、これが私の顔そのままとか言われても……うん、勝手に脳内で補正説が濃厚かも。妖精だし。ていうか。この状態の、いつもの私とは違いすぎるこの私を見て〝顔は一緒〟って言えるジリスさんがスゴイ。
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