物語は突然に

かなめ

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日々早々

必要なのは

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ジリスさんの机の上に移動させてもらう。置いてあった書類をチラリと見たが、。読めないままだった。まぁ、そんなにアレもコレもと上手くはいかないもんだろう。あまり気にはしない。
「あの、ジリスさん?」
「はい、何でしょう?」
それよりも色々と聞いてみようと思ったのだ。
「さっきウォードさんと?」
話は聞いてたのだから知ってはいるが、どう答えるのかが気になったのだ。
「ウォードとですか?えぇ、まぁ、リオ…今朝の彼の事とかですね。リオと言うのですが、やっぱりと言うか、かなり怒ったみたいで」
一応、誤解だったみたいですとは伝えておきましたよとの事だった。うん、嘘では無い。
「それ以外には何も無かったんでしょうか?」
「それ以外とは?」
そう来るか。
「私の事で色々と調べてくれるって前に言ってたから…何か解った事とか無いかなって気になったので」
「そうですね…。まぁ、事情が事情ですし、あまり大袈裟に調べられない事なので時間がかかってしまうのです。申し訳ありませんが、もう暫くお待ちください」
「そうですか…。そうですね、すぐに解るようなもんじゃないですよね。済みません、せっかちな事言って」
「いえ、大丈夫ですよ。気になるのは仕方のない事だと思います」
ジリスさんのその笑顔を見て、モヤっとしたけど仕方がない。そう。仕方がないのだ。ジリスさん達にも事情があるのだから。だから私もと思う。原語変換の魔法に関しては
「あともう一つ聞きたい事があるんですけど」
出来るだけ何気ない感じで質問する。
「はい、何でしょう?」
「転移魔法に関してなんですが」
「転移魔法ですか?何を聞きたいのですか?」
「どんな感じの魔法なのかと思って。前に転移魔法が使えれば帰れるみたいな事言ってたじゃないですか。だから気になって」
「あぁ、成る程。転移魔法はですね、複合魔術なのですよ」
「複合魔術?」
「ええ。例えば〝火〟の魔法であれば、元素魔法か精霊魔法のどちらか片方使えれば使用出来ますが、転移魔法では元素魔法か精霊魔法のどちらか片方と、認知魔法か視覚魔法のどちらかと、空間魔法の三種類を使用出来なければならないのです」
「そんなに?!何でですか?!」
「転移魔法は、転移先の土地とその周りの状況の確認、それを踏まえた上で空間を飛ぶ事によって転移となるのです。ですから、転移先の場所を知るために土属性の魔法で確認をして、更に転移先に遮蔽物や人などがいないかを認知か視覚の魔法で確認をし、空間を点として結ぶ事の出来る魔法で目的地まで一気に飛ぶのです。それで三種類必要なのです」
「なるほど…」
「これを同時に並列させて使用するには、かなり高度な技術が要るので、実際には転移魔法を使える者自体が少ないのです」
なるほど、三種類、しかも同時に使用しなくちゃいけないと。
「へ~……。ジリスさんは使えるんですか?」
「ええ、使えます」
やっぱりなと思った。知らなければこの説明も出来なかっただろうし。
「ただ、私の魔力量ではあまり遠くまでは飛べませんが」
「魔力量?」
「えぇ。ご存知かと思いますが、魔力は量や質が使用する魔法の大小や強弱を決めます。私の場合、質は問題ないのですが量が…まぁ、一般の方より少し多い程度なものですから」
「それって、何で解るもんなんですか?」
変な質問だっただろうか?驚いた表情をしている。
「えっと…測定球で測りますが…ニンゲンの方々は違うんですか?」
測定球。それで測るのが一般的なのか。がどこまでを指しているかはしらないけど。
「私達はいちいち測ったりはしないので」
「はぁ…そうなんですね。流石は古代魔術言語を日常言語で使用すると言うだけはありますね」
今度は感心したというような顔をしている。測る必要もないという事なのでしょうか…とか独り言を言ってる。何というか…人間という種族がドンドン誤解されていってるけど……まぁ、害もないだろうし、イイか。
「あの…例えば、転移魔法の上級版みたいな魔法は無いんですか?」
「転移魔法の上級ですか?!」
目を剥いて驚いてる。これは…この反応はもしかして。
「あ~…っと…。転移魔法の上級と言いますと、時空魔法になりますが…」
「はい?」
「在る、とは言われてますが、それは伝説のようなものでして、実際の使用者がいるという話は聞いた事がありません」
「伝説…何かあるんですか?」
「ええ、まぁ…」
何か濁している感じがする?何だろう、そんなに話しにくい何かがあるんだろうか。
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