物語は突然に

かなめ

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神とは

誤解、勘違い

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メッッッッッチャ見られてる。
誤解が誤解を生んでスゴイことになってそうだよ、どうしよう。誤解じゃないところもあるにはあるけど、それも意味無いくらいに誤解が膨れ上がってる気がする。頭の中で誤解を

       解く   or   解かない

の選択肢が出てるよ。解いたほうがイイ感じはするけど、一体何処から解けばいいのか。取り敢えず人間は神様ではないって事は言っとこう。これ、大事。オノタカムイは…知らぬ存ぜぬ…は無理そうだな~。無難に似た人を知ってるくらいにしとこうかな。うん、それでいこう。それでさっきの考えをジリスさんに話して、意見聞いてみよう。大体、古代竜云々の件もオノタカムイ関連って考えたほうがしっくりくる気がするし。ジリスさんがオノタカムイは人間じゃないかって考えたくらいだから、おかしくはないよね?
「あの~」
「はい」
「一応、断っておきますが人間は神様じゃないですよ?」
「それは…オノタカムイとニンゲン族には関係が無いと言う事ですか?」
念を押してきた。まぁ、ジリスさん達は絶対確認しときたいところなのかもね。
だがしかし!
「解りません!」
「えっ!?」
誤魔化す事なく本音ぶっちゃけ。あっ。ジリスさんてばスッゴイ顔してる。
「実際、オノタカムイなる人は知らないんです。ただ…」
「ただ?」
「冥府の神の使者。
これには聞き覚えがあります」
「では、やっぱり…」
思いっきり前のめりだ。顔色も今にも倒れそうなくらい悪い。まぁ、そりゃそうか。神様の知り合いかもしれないのが不当に拉致られて此処にいる、とかジリスさん達の立場から考えたら、正にシャレにならんってな感じだろうし。取り敢えず助け船、になるかは解らないけど
「あのですね。私の知ってる冥府の神の使者は名前が違うんです」
「…名前が違う…?」
「オノタカムイという名前ではないんです」
「あの、それは…どういう…?」
「だから別人の可能性もあるんじゃないかと思います」
「別人…ですか…」
視線が泳いでる。可能性を考えてる感じかな?
「冥府の神の使者が、名前が違うという事は別人の可能性が高いのではないかと思って」
目を見開いた後、また顎に手を当てて考え始めてる。
よし!上手くいった。だって普通に考えたら使者が一人とか有り得ないでしょ。世界中で一日に死ぬ人間(とは限らないかもしれないけど)が何人いると思ってるのか。裁きを下すのが閻魔様だとしても、そのフォローを一人で全部出来る訳ないよね?下手すりゃ閻魔様だって一人じゃないかもしれんし。
ジリスさんが考え込みながらも、たまに此方をチラチラ見てくる。たぶん、真偽はどうなのか考えてるんだろうな~。
だがしかし。嘘は何も言ってないのだ!
自分的解釈を〝可能性がある〟として言ってるだけで。
ふふふ…。悩んでるね?大丈夫!嘘ではない!でも本当かどうかは二の次だけどね。という事でたたみこみ。
「あの~、もしかしてなんですけど」
「はい?何でしょう…?」
まだ何かあるのかって反応はヤメてほしい。
「ジリスさんが今、みたいに、私を召喚した人も私とオノタカムイが同種族だと勘違いした…なんて事はないですかね…?」
「勘違い…勘違い?!
勘違い…ですか。な、成る程、確かにその可能性もありますが…その、それは」
「召喚の条件はなんですか?」
「えっ?」
「例えば召喚するのに必要な条件。
例えばそれが〝古代魔術言語を使う、未知の種族〟だったりしたら?」
「古代魔術言語を使う未知の種族…」
「さっき言ってましたよね。オノタカムイは何処の種族にも属していなかったって。そして古代魔術言語を伝えた人であるって」
「……………」
言葉がない、そんな雰囲気だ。
「まぁ、他にも条件はあったのかもしれないし。例えば冥府に関係のある者だとか、成人してないほうがイイだとか?」
「あ、アイリンさんは冥府の神に関係があるのですか?!」
なんでやねん。
「いや、冥府の神には関係ないですけど。私の場合は両親の死が冥府に関係してるのかもって思っただけです」
「な、成る程」
明らかにホッとしてる。神様とは関係ないって言ったのに。あ、神様じゃないだったっけ?ま、いいや。
「もう一度言いますけど、他にも何か細かい条件があったのかもしれないけど、たまたま条件に近かったのが私だったんじゃないかなと。…どう思いますか?」
「どう………と言われましても…。その、少し考える時間を頂けますか?その…なんというか、その、少々混乱してまして…」
まぁ、そうなっちゃうかも。ゴメンね、ジリスさん。ジリスさんを困らせようとか思ってる訳じゃないんだよ。私を召喚したヤツが悪いんであって。

ついでにオノタカムイも。何したのか知らんけど、異世界で神様とかやってないでほしい。マジで。




文句言っちゃってるけど、祟らないでください。お願いします。
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