物語は突然に

かなめ

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神とは

只今、妖精中につき

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考えさせてくださいって言いながら、仕事をまた始めるジリスさん。いや、仕事の時間内だしそれはそうなんだろうけど。そんな真っ青な顔で仕事してるのってどうなの。休んだほうが良くない?私のせいなんだろうけど、なんていうか…大丈夫かな…。何だか落ち着かなくてソワソワしていたら
「大丈夫ですか?お茶でも淹れましょうか?」
って…おいぃ!
流石、MAX気配り上手な人だなぁ!スゴいを通り越してちょっと呆れるよ!?
「いや、お茶とかよりジリスさんの顔色が悪すぎて気になるんですけど…」
「えっ!」
言われて顔をペタペタしてる。
「…大丈夫ですか?」
なぜ驚いた顔してるし。あ~とか言って天を仰ぎ見始めましたよ?大丈夫なの、本当に?
「はぁ……。いけませんね。私もまだまだです」
ナニが?
「大丈夫です。心配をかけて済みません」
「あの、本当に大丈夫ですか?無理せず休んだほうが…」
「ありがとうございます。大丈夫です。
…貴女のほうが大変な想いをしているというのに、私は…なんと情けない事か」
え、ちょっと待って。
「そんな事はな…」
「このような事で動揺してしまって不安に思われたかもしれませんが…大丈夫です。必ず。貴女を元の場所まで送りますから」
いや、そうじゃなくて。
って、聞いてないな、これは。事情はどうあれ、すべき事は変わらないのに~とか何とかブツブツ言ってる。真面目か!?いや、真面目なんだろうけど。なんていうか。意外にも結構アツイ性格してるのかもしれない、この人。
まぁ、私的には助かるし、イイんだけど。イイんだけどね?何か早死にしちゃいそうで心配になるよね。あ、でもお爺ちゃんっぽいから問題ないのか?いや、問題あるわ。私のせいで心労が溜まってポックリとかなっちゃったら!そんなそんな、お世話になってる人にそんなアナタ、恩を仇で返す的で落ち着かないんですけど。肩でも叩いてあげようかな…って、このサイズじゃ出来ねーわ!
無理しないでほしいです、マジで。
作戦名は、命大事に、でお願いします。








結局、あの後もバリバリ仕事してた。勤務中だし、それが普通なのかもしれないけど…マジで大丈夫だろうかと心配になります。その当人はというと、今は何処かに出かけてますが。保健室みたいなところは無いのかな?ちょっと寄ってきたらイイのに。

コンコン

誰か来た。
「ジリス、いるか?」
あ、ウォードさんだ、これ。解りやすいな~、この人の声。見た目通りの渋くてイイ声なんだよね。
じゃなくて。まだ魔法効いてる!?いつまで有効なの、これ?!
再度ノック音がしたと思ったら、ほぼ同時にウォードさんが入ってきた。ノックの意味なくない?!
「うん?いないのか」
そりゃ返事も無かったハズだし、いないでしょ。あっ、目が合った。しかもウォードさんだけかと思ったら、後ろに誰かいるし。後ろにいる人に気を取られていたら、ウォードさんが手を上げながら何か話しかけてきた。
「▼◉=09#2々$」
何語だし。話しながらクイっと後ろを指さし、また何か話しかけてくる。
「〒=>°4*91〆|\€→6-☆8」
だから何言ってるのか解らないって。困惑してる私を無視して、後ろにいる人が前に出てきて話しかけてくる。
あれ、この人…
「5…5\%7#23^-*○」
何を言ってるのかは解らなかったけど、解った。昼間の事を謝りにきたんだ。
この人──リオさんだったっけ?私を鷲掴みにした人だ。何を言ってるのかは解らなかったけど、私に向かって深くお辞儀をしたのだ。その角度、正に90度。
って事は、今、話してるこの言葉は妖精語…かな?
「+61〆\2$75°#、5\%7#23^-*○」
…今、さっきと同じ発音だったのがあった…つまりは〝ごめんなさい〟とかの謝罪の言葉!よしきた!

『言語変換』

小さく囁くように口にする。どうかな?
「エっ?モシかシテ、許スって言っタノか?」
──成功っ!リオさんは不正解っ!とかやってる場合ではなくて。聞き取りにくい。参考にしたのが謝罪の言葉だけだったせいかな?
「5メン…。そノ、聞こエなカッタんダけド、許シてくレルって事デいイノかナ?」
うん、聞き取りにくい。頭をカキカキ、申し訳なさそうに話しかけてくるお兄さん、いや、リオさん?チラッとウォードさんを見ると口元に指を当てて、シーっとかやってる。まぁ、私、話せない事になってるしね。首だけを縦に振っておく。リオさんはホッとした顔で
「アりがトウ。本当にゴめンな。もウ二°#しナいかラ」
って言ってきた。今、何か変な変換されたところがあったような…。まぁ、もう少しすれば普通になるかもしれないし、気にしないどこ。
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