物語は突然に

かなめ

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神の書を求めて

ガルシア神国への道中3

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食事が終わってまた馬車に揺られてます。私はジリスさんの胸ポケの中で揺られてるんだけど。
森を抜けてからは街道沿いを真っ直ぐ、だだっ広い草原の中を移動中。さすがに森の中ほどは魔物に襲われてはいないけど、それでも何処からかドカドカ走ってやってくる、もしくは飛んできたりするので、侮れないな異世界。
安心安全な場所が少なすぎじゃないだろうか。まぁ、でも、この感覚は異世界だから云々じゃなくて、日本人だからかもしれないけど。
おかけでせっかくの胸ポケなのに、おちおち寝てもいられないし。おかげで暇なので頭だけ出して景色を眺めてたりする。
「君は大人しいな」
突然、声をかけられて顔を上げたら、レオンと目が合った。
いきなり何?
まぁ、確かにレオンが連れてる妖精二人よりは大人しいと思うけど。そんな事を考えていたらレオンが
「君みたいな子なら契約してあげてもイイぞ?」
とか、のたまってきた。
何この人、何故にこんなに偉そうなのか。
「いや、ご遠慮します」
「えっ!?」
目を剥いて信じられないものを見たってな感じの顔してるんですけど、何その驚きかた。
「僕が契約してもイイって言ってるんだぞ?何故、断るんだ?」
「何故も何も…別に契約したいとか思ってないし」
「ぼっ、僕と契約したくないって……っ。君、何処かおかしいんじゃないのか!?」
何でやねん!
驚きすぎてツッコミの声すら出せなかったわ!
「あの、レオン?アイリンさんは…」
ジリスさんが気を遣って事情説明をしようにもレオンは聞いてないらしく、被せ気味に
「あっ!そう言えば病気だったんですよね?病気のせいですか?だから僕と契約したくないなんて言ってるんですか?」
なんて言ってる…。
何を言ってるのか本当に。
「いえ、あの、アイリンさんはですね…」
ジリスさんがもう一度説明しようとするも尚も聞く気がないのか、そういうなのか
「だとしたら、なんて控え目な性格なんだろう…。ますます気に入ったよ!大丈夫、僕は病気なんて気にしないよ!だから」
とまた自分本位に話を続けてきたので、
「お断りします」
こっちも構わず、しかしキッパリとお断りの言葉を告げる。人の話を聞けないヤツの話なんて聞く必要なしだよね。
「何で!?」
逆にこっちが何でだよ。なんなの、シツコイな。
もういっそ殴りたい。
その様子を見ていた妖精二人が吹き出しながら、フラれただのなんだのとレオンを冷やかしている。ジリスさんなんか苦笑いしてるし。これ、ジリスさんだからコレで済んでるけど、普通はかなり怒られるんじゃないかと思う。
「わ、解った。病気のせいで解らないのかもしれないね。僕は〝祝福〟のギフトを持っているんだよ?だから」
「知ってるし」
確か精霊とか妖精に好かれるんだったっけ?それが何だと言うのか。
「知ってる!?じゃあ何で!?」
「ウザイから?」
「ウザイ…から?」
「「ウザイってなーにぃ?」」
おっと、ウザいって言葉が通じなかった。
「うざったい、シツコイ、面倒臭い。で、ウザイ」
「んなっ!ぼ、僕はうざったくもシツコくもないし、面倒臭くもない!ウザくない!」
「「ウザーい♫」」
「ウザイよ?」
「ウザくなーい!」
暫くコレを四人でループしてたら、見兼ねたジリスさんが、まぁまぁと執り成してきた。まぁ、ここはジリスさんの顔を立てようと口を閉じたのだが、向こうの三人はまだ止まる気配がない。
何だかなぁ。
直属ではないにしろ、上司と思われる人ジリスさんの手を煩わせるような事してるのに、聞く耳持たないとかどうなの、それ?!ジリスさんはもっと怒っていいと思う。本当に。
そう呆れつつ、ふと、視線を横に流したら。
が目に入ってきた。
こっちに──?!
「三人とも落ち」
「ジ、ジリスさん!」
宥めているジリスさんに急いで声をかける。はヤバいんじゃなかろうか。もし、本当に
「え?あ、はい?何でしょう?」
見てください!このままだとマズくないですか?!」
「え?…?」
私が示したほうへと視線を向けたジリスさんの表情から。いつもニコニコと常に笑顔を絶やさない人なのに。
「ガイ!レオン!迎撃態勢を取りなさい!」
ジリスさんの言葉にガイさんとレオンが剣を抜きながら、辺りを素早く見廻して──ある一点を見て動きが止まる。
「大変!」
「大変なの!」
「「何でこんな所に?!」」
を見た妖精達が騒ぎ出す。ガイさんとレオンは…静かだった。でもその表情は驚きとに彩られている。

「何で……こんな所にがいるんだ…」

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