62 / 77
神の書を求めて
初めての野営
しおりを挟む
あの後、妖精達が小さな竜巻みたいなのを作ってレオンの髪の毛だけをグシャグシャにしてるのを、器用だな~とメッチャ他人事のように思いながら見てた。
何故、止めないのかって言われたら、止める間がなかったとしか言いようがない。まぁ、お尻に火をつけられるよりはマシなんじゃなかろうか。
喧嘩…いや、ジャレ合い?が勃発してたけど(妖精と喧嘩ってどうなの?)、ジリスさんに止められてた。ジリスさんの慣れてる感がスゴイ。さっきの妖精達の話を聞くにまぁ、いつもの事っぽいし、実際慣れてるのかもしれない。
つまりは年がら年中、あんな身体を張ったイタズラされてると…。
妖精もスゴイがレオンもスゴイな。年がら年中アレとか…。
あっ、だから魔術師にはなりたくなかったとか、そういう事だろうか。大変だなぁ…どうでもイイけど。
妖精達とレオンの愉快なやりとりはチョイチョイあったけど、それ以外は平和だった。竜が出てくるまでのあの怒濤の魔物ラッシュは何だったのかと思うほどに。
まぁ、ソレも竜のせい、いや、おかげ?かもしれない。おかげって言うのはどうかと思うような目にはあったけど、その後が平和なんだから、まぁ、これもヨシなのか。
「この辺りで一泊しましょう」
ジリスさんが皆に聞こえるようにそう言うと馬車が止まる。
「では野営の準備を始めますね」
サッと馬車から飛び降りたレオンが、馬車から荷物を下ろそうと手を伸ばす。
「あ、済みません。レオンには別にお願いしたい事があるのですが、宜しいでしょうか?」
ジリスさんが声をかけた。
「お願い…ですか?」
「はい。先ほど魔力回復薬を全部使ってしまったので、もしもの時の為に薬草を準備しておいたほうが良いかと思いまして」
魔力回復薬…?
あ、あれか。何かジリスさんが飲んでたあの小瓶か。あれ、魔力回復薬だったのか…。て言うか、そんな物もあるのか。
「なるほど。薬草を集めてくれば良いのですね?」
ジリスさんのはい、お願いしますの返答にレオンが直ぐに何処かに向かって走っていく。薬草って、その辺に生えてるもんなんだろうか。
て言うか…薬草って。
ゲームとかでもお馴染みっちゃあ、お馴染みだけども、薬草って言うからには草だよね?草でしょ?それ取ってきたところで、もしもの時はそれ食べるんだろうか?草を?生で?草を?いや、薬草って言ってるけども、草を?
え~……。
マズそう。
絶対ヤダ。
そんなの食べたくない。
怪我しないように気を付けよう。
どうでもいい事に考えを巡らせてる間に、野営の準備が出来上がっていく。お昼休憩の時も思ったけど、手馴れてるな~。こういうのも訓練とかするんだろうか。でもガイさんやレオンは料理は出来ない(いやマズイんだったっけ?)とか言ってたから、訓練とかはないのかな。ああ、そんな事より…ヤバイ。このいい匂いのせいでお腹鳴りそう。毎回毎回、それはヤメてよ、私のお腹。
罠か!?
罠なのか!?
お腹をギュッと押さえて鳴らないようにと無駄かもしれない努力をしてたら、レオンが帰ってきた。手には草が。いや薬草か。意外にその辺にあるもんなんだ…。
「ジリス様、このぐらいで大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です、ありがとうございました。今後の使用回数によっては、またお願いするかもしれませんが、その時はまたよろしくお願いします」
野営の場所には灯りがあるとはいえ、それほど煌々と照されている訳ではない。なので、薬草の形までは解らず、小さな花束のような形で薬草がモッサリと握られている程度しか見えない。
しかし薬草…やっぱり草だね。
「調合はどうしますか?僕が…あっ、いえ、私がやりましょうか?」
レオンが何故か口調を直してる。何だろう。騎士は一人称が〝私〟なんだろうか?それなら普段からそうすればイイのに。
て言うか調合って何?
やっぱりと言うか、当たり前と言うか、流石に草のまま食べたりはしないのか。
「う~ん…そうですね…。えぇ、調合もお願いします」
味見しながらそう答えてるジリスさん。
調合ってどうやるんだろう?ちょっと見てみたい。だがジリスさんはご飯を作っているので、胸ポケからだとレオンの調合とやらは見えない。少しだけ身を乗り出してみたけど、結構、鍋の蒸気が熱かったのですぐに引っ込んだ。
(ちぇっ)
まぁ、そのうちにまた見る機会もあるかもしれないし。
その後は特に何かがあるでもなく、ご飯を食べてからすぐ就寝したのだった。
ちなみにあの小さな花束くらいの薬草から、三個の回復薬が出来てた。多いのか、少ないのか…どっちなんだろう。
何故、止めないのかって言われたら、止める間がなかったとしか言いようがない。まぁ、お尻に火をつけられるよりはマシなんじゃなかろうか。
喧嘩…いや、ジャレ合い?が勃発してたけど(妖精と喧嘩ってどうなの?)、ジリスさんに止められてた。ジリスさんの慣れてる感がスゴイ。さっきの妖精達の話を聞くにまぁ、いつもの事っぽいし、実際慣れてるのかもしれない。
つまりは年がら年中、あんな身体を張ったイタズラされてると…。
妖精もスゴイがレオンもスゴイな。年がら年中アレとか…。
あっ、だから魔術師にはなりたくなかったとか、そういう事だろうか。大変だなぁ…どうでもイイけど。
妖精達とレオンの愉快なやりとりはチョイチョイあったけど、それ以外は平和だった。竜が出てくるまでのあの怒濤の魔物ラッシュは何だったのかと思うほどに。
まぁ、ソレも竜のせい、いや、おかげ?かもしれない。おかげって言うのはどうかと思うような目にはあったけど、その後が平和なんだから、まぁ、これもヨシなのか。
「この辺りで一泊しましょう」
ジリスさんが皆に聞こえるようにそう言うと馬車が止まる。
「では野営の準備を始めますね」
サッと馬車から飛び降りたレオンが、馬車から荷物を下ろそうと手を伸ばす。
「あ、済みません。レオンには別にお願いしたい事があるのですが、宜しいでしょうか?」
ジリスさんが声をかけた。
「お願い…ですか?」
「はい。先ほど魔力回復薬を全部使ってしまったので、もしもの時の為に薬草を準備しておいたほうが良いかと思いまして」
魔力回復薬…?
あ、あれか。何かジリスさんが飲んでたあの小瓶か。あれ、魔力回復薬だったのか…。て言うか、そんな物もあるのか。
「なるほど。薬草を集めてくれば良いのですね?」
ジリスさんのはい、お願いしますの返答にレオンが直ぐに何処かに向かって走っていく。薬草って、その辺に生えてるもんなんだろうか。
て言うか…薬草って。
ゲームとかでもお馴染みっちゃあ、お馴染みだけども、薬草って言うからには草だよね?草でしょ?それ取ってきたところで、もしもの時はそれ食べるんだろうか?草を?生で?草を?いや、薬草って言ってるけども、草を?
え~……。
マズそう。
絶対ヤダ。
そんなの食べたくない。
怪我しないように気を付けよう。
どうでもいい事に考えを巡らせてる間に、野営の準備が出来上がっていく。お昼休憩の時も思ったけど、手馴れてるな~。こういうのも訓練とかするんだろうか。でもガイさんやレオンは料理は出来ない(いやマズイんだったっけ?)とか言ってたから、訓練とかはないのかな。ああ、そんな事より…ヤバイ。このいい匂いのせいでお腹鳴りそう。毎回毎回、それはヤメてよ、私のお腹。
罠か!?
罠なのか!?
お腹をギュッと押さえて鳴らないようにと無駄かもしれない努力をしてたら、レオンが帰ってきた。手には草が。いや薬草か。意外にその辺にあるもんなんだ…。
「ジリス様、このぐらいで大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です、ありがとうございました。今後の使用回数によっては、またお願いするかもしれませんが、その時はまたよろしくお願いします」
野営の場所には灯りがあるとはいえ、それほど煌々と照されている訳ではない。なので、薬草の形までは解らず、小さな花束のような形で薬草がモッサリと握られている程度しか見えない。
しかし薬草…やっぱり草だね。
「調合はどうしますか?僕が…あっ、いえ、私がやりましょうか?」
レオンが何故か口調を直してる。何だろう。騎士は一人称が〝私〟なんだろうか?それなら普段からそうすればイイのに。
て言うか調合って何?
やっぱりと言うか、当たり前と言うか、流石に草のまま食べたりはしないのか。
「う~ん…そうですね…。えぇ、調合もお願いします」
味見しながらそう答えてるジリスさん。
調合ってどうやるんだろう?ちょっと見てみたい。だがジリスさんはご飯を作っているので、胸ポケからだとレオンの調合とやらは見えない。少しだけ身を乗り出してみたけど、結構、鍋の蒸気が熱かったのですぐに引っ込んだ。
(ちぇっ)
まぁ、そのうちにまた見る機会もあるかもしれないし。
その後は特に何かがあるでもなく、ご飯を食べてからすぐ就寝したのだった。
ちなみにあの小さな花束くらいの薬草から、三個の回復薬が出来てた。多いのか、少ないのか…どっちなんだろう。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる