物語は突然に

かなめ

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神の書を求めて

気になる話

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どうしよう…。
気になるけど…気になるけど、簡単に聞いちゃイカンやつよね、これ。
孤児院出身とかヘビーな話題を好奇心だけで話題にしちゃダメだよね?!
たがしかし!
メッッッチャ気になる!
どこをどうやったら、今の状態になるというのか。
孤児院出身で、昔は冒険者で、今は賢者…じゃなくて司祭、しかもお城勤めの偉い人。何この人、勇者?勇者かなんかなの?
…いや、それは無いか。勇者ってこう、なんか暑苦しい感じの正義感っていうかなんというかそんな感じ…だよね?
無いわ。流石にそれは無いわ。
ウォードさん辺りなら顔も言動もカッコイイし、元勇者って言われても納得出来る雰囲気だけど。
でもジリスさんて、どう見ても神官って感じだし。いや、でもハイパーマルチな人だし、賢者だし…。いやいや、神官も賢者も勇者じゃないだろ。いや、いやいや、ここは異世界だし、もしかしたら賢者な勇者もいるのかも…。いやいやいや、よく考えたら勇者なんて者がいるのかも解らんかったわ。
しかし。
しかし!
気になるぅぅぅっ!
ものすごく聞きたいぃっ!
「あの…っ」
「はい?」
いつもの笑顔キターー!
聞いても怒られはしない!と思う!
どうする?聞いちゃう?
「あのっ、ジリスさんて勇者ですか!?」
「……は?」
ヤバい、思いっきり聞き方間違えた。
「え…あの、勇者…では無いですね…」
ですよねー、済みません、変な質問してー。
「す、済みません!なんかホラ、ジリスさんて何でも出来るから、こう、ホラ、勇者っぽいなーなんて、思っちゃったりして…済みません、変な質問して…」
声がドンドン小さくなっていく。アホの子みたいな質問してしまった。マジ、穴があったら入りたい。あ、穴じゃないけど、もう胸ポケに入ってたわ。
「いえいえ、良いんですよ、それぐらい…。いや、勇者だなんて初めて言われたので…流石に驚きました」
両手をフリフリして笑いながら答えてくれる。しかし笑いが止まらない。余程おかしかったのかクスクス笑い通しである。て言うか笑いすぎやろー!
「そんなに笑わないでください!
ゆ、勇者っていないんですか?」
ぶすくれながらそう言うと、咳払いで笑いを誤魔化しつつ
「昔話ならヴェロー山の邪竜を倒した勇者や、魔獣ギガントザウルスを倒した勇者などがいましたが、今の代で勇者の話は聞いた事がありませんねぇ」
と教えてくれた。
一応、勇者はいるのか。今はいないらしいけど。
勇者ねぇ…。
自分で話を振っておいてなんだけど、勇者って何だろう?ゲームじゃないんだから、魔王を倒す為に旅立て、とか王様に無茶振りとかされる訳じゃないだろうし、そもそも勇者って…職種なんだろうか?でもさっきの話だと面倒臭そうなラスボスチックなのを倒したら勇者って感じにも聞こえるな…。うーん?
「あの~…」
「はい?」
「そもそも勇者って何なんでしょう?」
「えっ!?」
何言ってるんだ、コイツって顔された…。何故だ。
「えぇっと…どういう意味でしょう?」
ん?聞き方がおかしかったのかな?
「えっと…勇者って職業じゃあ無いですよね?」
「そうですね」
「じゃあ勇者って何かなって思って」
「えぇっと………称号……ですね…」
「ん?」
「え?」
「称号?」
「あれ?そういう事じゃなかったですか?あっ、じゃあ、あの…何についての話ですかね…?」
凄い疑問系の表情してるところ悪いんですが、勇者って称号なの!?
「あー…っと…、その、勇者って、その~、なんていうか、何したら勇者になるんでしょうかって言うか…?」
「あぁ、なるほど…。ん~…そうですねぇ……うん、いや、そう言われると何でしょうね?」
「それに、その称号って誰が決めるんですか?王様?」
「え?いえ、称号は天啓によってですね。王が与えるのは勲章とかですよ」
「天啓!?」
え、何それ!?予想外!
「神託のギフトを保っている者に、ある日告げられるらしいです」
なるほど、天啓とか言うぐらいだもんね、神様からのお告げってヤツですね!それにしても神託のギフトか…。ギフトってのも何なのかいまいち解らないし…。て言うか、勇者って神様からのご指名なのか…。指名されたほうは堪ったもんじゃないな。でも神様からのご指名じゃあ逃げられないだろうし…。大変だな、勇者って。て言うか、
「勇者が天啓による称号だとすると、他には称号って無いんですか?」
「ありますよ」
あるのか。
「魔王も天啓らしいですし、後は賢者もそうですね。変わったものだと、導く者とか旅人とか」
魔王やら賢者も天啓なの!?
え、何、魔王を決めるの神様なの!?どういう事!?何したいの、神様。
いや、それも気になるけど旅人って。
「導く者はともかく…旅人って何ですか?」
考える時の癖なのか、ジリスさんはいつものように顎に手を当てながら
「それなんですよね…」
「それ?」
「導く者も旅人も実はよく解らないんです」
導く者って、勇者を導くとかそういうのじゃないのか。違うのかな?
「よく解らないって…何でですか?」
「結構、意味の解らない称号が多いんですよ。例えば、導く者なんて勇者を勇者として導く人がなるのかと思いがちなのですが、実は全く関係の無い人がなる時もあるんです」
「そうなんですか?」
「ええ。旅人とかも、実際に旅に出る者がなる訳ではないですし。そもそもその称号に何の意味があるのかも解ってませんし」
「称号の意味?」
「ええ。称号には意味があるんですよ」
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