69 / 77
神の書を求めて
線路、じゃなくて道は続くよ、何処までも
しおりを挟む
ご飯の後、流石に森の中で野営はしないらしく、そのまま一晩馬車を走らせ、宣言通り翌日の昼過ぎには森を抜けました。
森の中は鬱蒼としてたせいか、抜けたら何やら世界が眩しい。
ガタゴトと揺られながら、たまに魔物を撃退しながら、何も無い草原をただただ進んでいます…。
今日は朝も昼も馬車の中で済ませたから、流石にそろそろ休みが欲しいです。
いや、何もしてない私が言うのも何だけど、ずっと馬車に揺られるのって結構キツイよ?キツイのよ?
戦ってるガイさんやジリスさんはきっともっとシンドかろうなぁっていう、こう、思い遣りからであって別に私が休みたいからじゃないよ?
……。
ごめんなさい、本当は私が休みたいからです。
軟弱で済みません。
いや、だって馬車がこんなにシンドイなんて思わなかったんだもん。仕方ないじゃん。馬車の旅なんて経験無いし。
でもなぁ…明らかに私より疲れてるだろう、ジリスさん達が休むって言わないのに、私が休みたいって言えないしなぁ…。馬車ってツライ。
グッタリしつつも馬車に揺られること数時間、日も落ちはじめ薄暗くなってきた頃、街が、いや村かな?が見えてきた。
「今日はあの村で一泊しましょう」
「「はい」」
「「わーーーい♫」」
その言葉に、思わずエンドレアと一緒に万歳しちゃったよ。
村、キターーーー!
やった!ゆっくり休めるぅ!
う、嬉しい…。
ゆっくり休めるとか最高かよ。
エンドレアと一緒にウキウキしているたら、ガイさんやジリスさんが何故か神妙な面持ちで辺りを見回している。
何だろう、どうしたのかな?
「…停めてください」
御者のボリアスさんに声をかけつつ、ガイさんに何やらアイコンタクト。ガイさんも解っているという動きでソッと馬車から降りつつ、辺りを窺っている。
何だろう。
何かおかしなところがあるんだろうか。
「調べてきますので、少々お待ちください」
「お願いします」
特に説明も無いままの小声でのやりとり。ガイさんは言葉通り、辺りを窺いつつ静かに何処かへと消えていった。
二人のそんなやりとりを見ていたら、先程のウキウキ気分も何処かへ吹っ飛んでしまった。エンドレアも静かに御者台の近くで辺りを見回している。
何なのだろう。気になるけど声をかけてイイものか悩んで…かけられないままでいる。
どれほどそうしていただろうか。
日は完全に落ちてしまった。
いつまでこうしてるのか、いい加減、それを口にしようかとした頃、ガイさんが戻ってきた。
「どうでした?」
直ぐに声をかけるがガイさんは
「先に宿を取りましょう。話はそれからにした方が良いかと」
明らかに行きよりも警戒を強めた状態でそう告げてきた。その様子を見てジリスさんも問いつめる事はせずに、直ぐに宿屋へ向かう。
幸いにも部屋は空いていて、直ぐに通された。荷物を置いて、窓から外の様子を窺って、そこで一息吐いてから、改めてガイさんに問う。
「何があったんです?」
「はい。先程、酒場の方に行ってきたのですが──」
「アンデッド?」
「はい。しかもそれが…なんというか、ちょっと特殊だそうで…」
ガイさんの話によると、この村にはここ数日、夜になると何処から来るかは不明だが、アンデッドが徘徊するらしい。既に何人かが犠牲になっており、出所を調べるべく村の外れにある墓場を当たってみたが、それらしき跡は無かったという。では目的は何なのかというと、これまた不明だと。ただ、必ずこの村の北東にある唯一の井戸の周りに集まるとの事。最初は毒物でも混入されたかと心配したが、そういった事も無い。そしてこれまた意味が解らないが、アンデッドが徘徊している時に外にいると襲われるが、家の中までは入って来ないらしい。
「確かに妙な話ですね…」
いつものポーズで考え込んでるジリスさん。まぁ、そうよね。だってこの村の周りって草原ですよ?村の中の墓場からって言うならともかく、何処にアンデッドが沸く要素があるって言うのか。それだけでもおかしな話だ。
「はい。村の方でも目的も何処からか来るかも不明なので手のうちようがないと言う事でした」
「手の打ちようが無い?」
「はい」
「待ってください。この村の神官は何をしているんですか?仮に浄化魔法が使えなくとも、聖水があるでしょう?」
おお。浄化魔法とか聖水とか…流石は神官様、そうよね、アンデッドから見たら神官って天敵みたいな感じよね。
「それが…」
何故か言いにくそうに。
「先に特殊なアンデッドと言いましたが、まさにそれが特殊でして、浄化魔法は解らないらしいのですが、聖水が…その、効かないそうです…」
「聖水が効かない!?」
「「なにそれ!?」」
苦虫を噛み潰したような顔のガイさんに、信じられないといった顔のジリスさん。いや、たぶん私もジリスさんと変わらん表情してると思う。エンドレアもそんな顔してるし。
いや、だって。
聖水が効かないアンデッドとかアリなの、それ!?
森の中は鬱蒼としてたせいか、抜けたら何やら世界が眩しい。
ガタゴトと揺られながら、たまに魔物を撃退しながら、何も無い草原をただただ進んでいます…。
今日は朝も昼も馬車の中で済ませたから、流石にそろそろ休みが欲しいです。
いや、何もしてない私が言うのも何だけど、ずっと馬車に揺られるのって結構キツイよ?キツイのよ?
戦ってるガイさんやジリスさんはきっともっとシンドかろうなぁっていう、こう、思い遣りからであって別に私が休みたいからじゃないよ?
……。
ごめんなさい、本当は私が休みたいからです。
軟弱で済みません。
いや、だって馬車がこんなにシンドイなんて思わなかったんだもん。仕方ないじゃん。馬車の旅なんて経験無いし。
でもなぁ…明らかに私より疲れてるだろう、ジリスさん達が休むって言わないのに、私が休みたいって言えないしなぁ…。馬車ってツライ。
グッタリしつつも馬車に揺られること数時間、日も落ちはじめ薄暗くなってきた頃、街が、いや村かな?が見えてきた。
「今日はあの村で一泊しましょう」
「「はい」」
「「わーーーい♫」」
その言葉に、思わずエンドレアと一緒に万歳しちゃったよ。
村、キターーーー!
やった!ゆっくり休めるぅ!
う、嬉しい…。
ゆっくり休めるとか最高かよ。
エンドレアと一緒にウキウキしているたら、ガイさんやジリスさんが何故か神妙な面持ちで辺りを見回している。
何だろう、どうしたのかな?
「…停めてください」
御者のボリアスさんに声をかけつつ、ガイさんに何やらアイコンタクト。ガイさんも解っているという動きでソッと馬車から降りつつ、辺りを窺っている。
何だろう。
何かおかしなところがあるんだろうか。
「調べてきますので、少々お待ちください」
「お願いします」
特に説明も無いままの小声でのやりとり。ガイさんは言葉通り、辺りを窺いつつ静かに何処かへと消えていった。
二人のそんなやりとりを見ていたら、先程のウキウキ気分も何処かへ吹っ飛んでしまった。エンドレアも静かに御者台の近くで辺りを見回している。
何なのだろう。気になるけど声をかけてイイものか悩んで…かけられないままでいる。
どれほどそうしていただろうか。
日は完全に落ちてしまった。
いつまでこうしてるのか、いい加減、それを口にしようかとした頃、ガイさんが戻ってきた。
「どうでした?」
直ぐに声をかけるがガイさんは
「先に宿を取りましょう。話はそれからにした方が良いかと」
明らかに行きよりも警戒を強めた状態でそう告げてきた。その様子を見てジリスさんも問いつめる事はせずに、直ぐに宿屋へ向かう。
幸いにも部屋は空いていて、直ぐに通された。荷物を置いて、窓から外の様子を窺って、そこで一息吐いてから、改めてガイさんに問う。
「何があったんです?」
「はい。先程、酒場の方に行ってきたのですが──」
「アンデッド?」
「はい。しかもそれが…なんというか、ちょっと特殊だそうで…」
ガイさんの話によると、この村にはここ数日、夜になると何処から来るかは不明だが、アンデッドが徘徊するらしい。既に何人かが犠牲になっており、出所を調べるべく村の外れにある墓場を当たってみたが、それらしき跡は無かったという。では目的は何なのかというと、これまた不明だと。ただ、必ずこの村の北東にある唯一の井戸の周りに集まるとの事。最初は毒物でも混入されたかと心配したが、そういった事も無い。そしてこれまた意味が解らないが、アンデッドが徘徊している時に外にいると襲われるが、家の中までは入って来ないらしい。
「確かに妙な話ですね…」
いつものポーズで考え込んでるジリスさん。まぁ、そうよね。だってこの村の周りって草原ですよ?村の中の墓場からって言うならともかく、何処にアンデッドが沸く要素があるって言うのか。それだけでもおかしな話だ。
「はい。村の方でも目的も何処からか来るかも不明なので手のうちようがないと言う事でした」
「手の打ちようが無い?」
「はい」
「待ってください。この村の神官は何をしているんですか?仮に浄化魔法が使えなくとも、聖水があるでしょう?」
おお。浄化魔法とか聖水とか…流石は神官様、そうよね、アンデッドから見たら神官って天敵みたいな感じよね。
「それが…」
何故か言いにくそうに。
「先に特殊なアンデッドと言いましたが、まさにそれが特殊でして、浄化魔法は解らないらしいのですが、聖水が…その、効かないそうです…」
「聖水が効かない!?」
「「なにそれ!?」」
苦虫を噛み潰したような顔のガイさんに、信じられないといった顔のジリスさん。いや、たぶん私もジリスさんと変わらん表情してると思う。エンドレアもそんな顔してるし。
いや、だって。
聖水が効かないアンデッドとかアリなの、それ!?
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる