物語は突然に

かなめ

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アンデッドの村

徘徊する者

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「聖水が効かないとなると…そのアンデッドはリッチ以上という事になりますが…そんなのが複数体という事ですか?」
リッチ?お金持ち?
いや、違うか。
「いえ、それが…聞いたところでは知性がある様では無いとの話なので、リッチではないのではないかと思います」
二人が何やら真剣に話し込み始めた。
リッチって…アレか、骸骨…スケルトンより、ちょっと面倒くさい感じのやつ。魔法とか唱えちゃうヤツだよね?ゲームではそんな感じだったと思うけど…この世界でもそうなんだろうか。
ていうか。
リアルホラーかよ。
お化け屋敷も真っ青だな、おい。…あの時は好奇心に任せて、逆追いした挙句にガッツリ観察してしまって済みません。反省してます。次回からはちゃんと怖がる事にします。そう、今まさにリアルホラー体験でキャーですよ。まだ体験はしてないけど、キャーで済ませてほしいです。
…本物ってどんな感じなんだろう…。
いやいや、そうじゃなくて。
今晩、泊まろうかって村にそんなのが徘徊してるのが問題なのか。
…問題かなぁ?
よく考えたら屋内には入ってこないって言うんだから、それ程問題じゃないような?あ、でもジリスさん達には問題なのか。お城に勤めてるくらいだもんね。それ以前にジリスさんは司祭様だし、アンデッドとか無視出来ない問題なのか。民の安全は自分達が守る的な?
お城に勤めるって大変だなぁ。

二人はまだ真剣に話し合っている。
話に入る事も出来ずポヤ~っとしてると、エンドレアがいきなり叫びだした。
「ねえ!アレ、アレ!見て!」
そう言って窓の外を指差している。
ジリスさん達も窓辺に寄り、外を見ると──ソレはいた。
がアンデッド…。
骸骨だ。それも、いっぱいいる。パッと見では何体いるのか解らない。手に剣らしき物を持ってるのもいる。何処で手に入れるんだろう、なんてどうでもいい疑問が浮かんだが、取り敢えず放置で。もっとフラフラと歩くかと思っていたら、意外にも足取りはシッカリとしている。イメージ的にはスケルトンだよね、これ。あ、骨以外のヤツもいた。なんかフラフラ歩いてるのもいるなと思ったら、あれはゾンビか。
こういうのって、廃墟とか迷宮とかにいるイメージのせいか、どう見ても長閑な雰囲気の村に似合わなすぎて違和感が半端ない。
ていうか…さっきの話だと村の北東の井戸に集まるって話じゃなかったっけ?ここ、北東?井戸なんて近くにあったっけ?
「ガイ…アンデッドはに集まると言う話だったと思うのですが…」
ジリスさんも同じ事を思ったらしい。
「そ、そう聞いています…」
ですよねー、そう言ってたー。
しかし次のジリスさんの言葉に全員が同じ反応を返した。
「…迎え討つ準備をしてください」
「「「え?」」」
え?待って待って、何で?
あ、司祭様だから?
村を助けましょう的な?
「まっ、お待ちください!アレらの殲滅には同意しますが、今晩は動向を探るのみで、後日に決行のほうが安全で確実かと思います」
で、ですよねー。理由が何なのかも判明させないと今後もあるかもしれないし!
ですよね?
「出来れば私もそう望みますが…此処から見る限り、アレらは宿ように思えるので…念の為というやつです」
骨はともかく、ゾンビとか生で見たくないよ!腐ってるんだよ!?メッチャ臭いそうじゃん!?
じゃなくて!
いや、それもあるけど!
此処に向かってきてるとか?
え、嘘でしょ?
………………………。
彼方此方から宿ここを目指して集まってきて…うん、これは確かに此処に向かってきてるっぽいね……。
何でぇぇ!?
もしかして天敵司祭様がいるからとか!?られる前にっちまえ的なヤツですか!?
……いや無いな~。流石にその考えはそれは無理があるよね。大体、アンデッドアレがそんなのを見分けてるとも思えないし。
じゃあ何で宿ここに集まってきてるんだっていうね。
井戸が此処から近いとか?
いやでも、さっきのジリスさんの言い方だと方向が違うっぽいよねぇ?
どうなの?
アンデッドアレの目当てになる物を私達が持ってる…とか?
……何をだよ。
村には無くて私達が持ってるなんて…妖精とか?アンデッドって妖精を食べるとかなの?……いや、妖精に限らない気がするけど。
アレか!魔力が沢山あるものに惹かれるとかいう…スケルトンとかゾンビって魔力欲しいんだろうか?リッチならあるかもだけど。
大体、アンデッドって確か生者が嫌いなんじゃなかったっけか?でもこの村の話だと屋内までは襲ってこないとか…意味解らんね?屋内でも生者は生者やん。
どういう事?
狙いは何?
何で普段は井戸なのに、今回は宿屋なの?
普段と違うところは何?
私達?いや、それを言ったら他にも泊まり客はいるでしょ。いるよね?いたっけ?あれ?いなかったっけ?


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