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アンデッドの村
魔族の事情
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さっきのジリスさんのセリフの後、沈黙が続いてるんだけど、どうなっているんだろう。怖い。この沈黙怖い。
そう思ってたら
「……それで、貴方にその探し物とやらを命じたのは誰なんです?魔王ですか?それとも他の誰かですか?」
…魔王が何故にそんなの命じるんだろうか。そんな大事な物を探してるの?そしたらコソコソ探さずにそれこそ国を通して依頼でもしたら良いんじゃないの?出来ないの?出来ないような物なんだろうか?それに他の誰かってのも何?誰よ?そんな命令できる人、いや魔族がいるんだろうか?そもそもコソコソしてるって事は何かいわくつきってヤツなのか。
「…………………」
魔族からの返答は無い。
何だろう。何故にダンマリなのか。言えないようなヤバイ事情があるんだろうか。
「アンデッドを使役している事から考えれば、貴方は死霊術師か霊媒師と言った職種でしょう?相反する神官職、しかも最高位の司祭である私とでは貴方に勝ち目は無いと思いますが…どうしますか?」
そうなんだ?!
ていうか、強気っ!めっちゃ強気だっ!
いつものジリスさんと全然違う…何かカッコイイ………って、何?!何かゾワゾワっときた!いきなり何これ!?鳥肌たったんですけど!?
「…………………」
「…………………」
またしても沈黙が長い!鳥肌も消えないし、何なの?どうなってんの?見えないから余計に怖い!
ポケットの中で動く事も出来ずに静かに震えていると、底冷えするような低い声が聞こえてきた。
「…大事にするつもりはねぇっつってんだろ」
「此方も既に大事になっていると言いましたよ?」
間を置かない返答に
「……クソが!」
さっきの低い声に更に怒りを乗せたようなセリフが聞こえてきた。
(こっわ。怖い、何この人、怖い。いや、人じゃないんだっけか。魔族だから?魔族だからこんなんなの?)
何かもう魔族がヤ〇〇なイメージ。いやだって、そこは見えないからしようがないでしょ。怖い。魔族、怖い。
………あれ?
何かジリスさんが動いてる…。なんだろう。何してるんだろう?
「ま、待てっ!待ってくれ!」
ん?
「何でしょう?」
「だからっ!大事にするつもりはねぇっつってるだろうがっ!」
焦ったような声が聞こえる。なんだろう…ジリスさんが何かしたんだろうか?何してたのかは解らないけどなんか動いてたし。何かしたのかもしれない。
「…さて、どうでしょうね?」
言いながら身体が揺れている。何してるんだろう?見えないのってもどかしい…っと?
「───っ!!
……………ま、魔王様じゃ、ない……」
おおー!
すごい!
ジリスさんの押し勝ち!
って、命令したのって魔王じゃないの?じゃあ誰よ!?
「…それで?誰なんですか?
密入国させてまでの探し物…そんな命令を、魔王以外の誰が出せるんです?」
「─知らねぇよ」
「は?」
(は?)
「知らねぇヤツだっつってんだよ!」
「………何を言ってるんですか?」
いやマジで。
何、言ってるんだろうか、この人。
「っ!!
俺だってなぁ!
ワケが解らねぇんだよっ!確かに俺を指名したのは魔王様だったが、その命令を口にしたのは知らねぇヤツだった!魔族でもねぇ!何で魔王様がそんなヤツの言い分を聞いてたのかも解んねぇし!意味が解んねぇのはこっちも同じだっつーんだよ!」
「…魔王でも魔族でも無い…?」
「ソイツが!自分と同じ羽根の無い妖精を探して連れてこいって言ったんだ!」
───っ!?それって…まさか。
「羽根の無い妖精──」
ジリスさんも同じ事を考えたんだろう。それ以上の言葉は出てこない。魔族はそんなジリスさんに気付かないのか、言葉を続ける。
「何で!あんなヤツの言い分を聞いてんのかは解らねぇが…っ、魔王様に指名された以上はやる。…それだけだ。探してるのは羽根の無い妖精。ソイツを連れていけば用は終わりだ。それだけで、あとは何も言われちゃあいない。だから手前ぇら相手に何かするつもりも毛頭無い!……これでいいかよ!」
叫ぶような声。
ジリスさんに押し負けただけが理由じゃない、納得がいかない、そんな気持ちがあるのが解る声だった。
「………その、羽根の無い妖精を探してどうするつもりなんです?何をしたいんですか?」
「─知らねぇよ。聞いてはみたが、教えちゃあくれなかったしな。俺にとっちゃぁ、あんな野郎、どうだっていいんだよ!クソが!」
「………………」
……魔族はまだ「クソが!クソが!羽根無しが偉そうにしやがって!」とか言っている。ソイツとやらに何を言われたのか、鬱憤が相当溜まっているらしい。
羽根の無い妖精──ソイツとやらは、私と同じ異世界人って事だろうか?そんな都合の良い話があるんだろうか。仮にそうだとしても何故、私がこの世界にいる事を知ってるのだろう。何故、私を連れてこいなんて言ってるのだろう。何故、魔族と一緒にいるんだろう。どうして魔王は協力してるんだろう。
訳が解らなすぎて混乱しそうになる。
それに──
これを聞いたジリスさんはどう思っているんだろう。
そう思ってたら
「……それで、貴方にその探し物とやらを命じたのは誰なんです?魔王ですか?それとも他の誰かですか?」
…魔王が何故にそんなの命じるんだろうか。そんな大事な物を探してるの?そしたらコソコソ探さずにそれこそ国を通して依頼でもしたら良いんじゃないの?出来ないの?出来ないような物なんだろうか?それに他の誰かってのも何?誰よ?そんな命令できる人、いや魔族がいるんだろうか?そもそもコソコソしてるって事は何かいわくつきってヤツなのか。
「…………………」
魔族からの返答は無い。
何だろう。何故にダンマリなのか。言えないようなヤバイ事情があるんだろうか。
「アンデッドを使役している事から考えれば、貴方は死霊術師か霊媒師と言った職種でしょう?相反する神官職、しかも最高位の司祭である私とでは貴方に勝ち目は無いと思いますが…どうしますか?」
そうなんだ?!
ていうか、強気っ!めっちゃ強気だっ!
いつものジリスさんと全然違う…何かカッコイイ………って、何?!何かゾワゾワっときた!いきなり何これ!?鳥肌たったんですけど!?
「…………………」
「…………………」
またしても沈黙が長い!鳥肌も消えないし、何なの?どうなってんの?見えないから余計に怖い!
ポケットの中で動く事も出来ずに静かに震えていると、底冷えするような低い声が聞こえてきた。
「…大事にするつもりはねぇっつってんだろ」
「此方も既に大事になっていると言いましたよ?」
間を置かない返答に
「……クソが!」
さっきの低い声に更に怒りを乗せたようなセリフが聞こえてきた。
(こっわ。怖い、何この人、怖い。いや、人じゃないんだっけか。魔族だから?魔族だからこんなんなの?)
何かもう魔族がヤ〇〇なイメージ。いやだって、そこは見えないからしようがないでしょ。怖い。魔族、怖い。
………あれ?
何かジリスさんが動いてる…。なんだろう。何してるんだろう?
「ま、待てっ!待ってくれ!」
ん?
「何でしょう?」
「だからっ!大事にするつもりはねぇっつってるだろうがっ!」
焦ったような声が聞こえる。なんだろう…ジリスさんが何かしたんだろうか?何してたのかは解らないけどなんか動いてたし。何かしたのかもしれない。
「…さて、どうでしょうね?」
言いながら身体が揺れている。何してるんだろう?見えないのってもどかしい…っと?
「───っ!!
……………ま、魔王様じゃ、ない……」
おおー!
すごい!
ジリスさんの押し勝ち!
って、命令したのって魔王じゃないの?じゃあ誰よ!?
「…それで?誰なんですか?
密入国させてまでの探し物…そんな命令を、魔王以外の誰が出せるんです?」
「─知らねぇよ」
「は?」
(は?)
「知らねぇヤツだっつってんだよ!」
「………何を言ってるんですか?」
いやマジで。
何、言ってるんだろうか、この人。
「っ!!
俺だってなぁ!
ワケが解らねぇんだよっ!確かに俺を指名したのは魔王様だったが、その命令を口にしたのは知らねぇヤツだった!魔族でもねぇ!何で魔王様がそんなヤツの言い分を聞いてたのかも解んねぇし!意味が解んねぇのはこっちも同じだっつーんだよ!」
「…魔王でも魔族でも無い…?」
「ソイツが!自分と同じ羽根の無い妖精を探して連れてこいって言ったんだ!」
───っ!?それって…まさか。
「羽根の無い妖精──」
ジリスさんも同じ事を考えたんだろう。それ以上の言葉は出てこない。魔族はそんなジリスさんに気付かないのか、言葉を続ける。
「何で!あんなヤツの言い分を聞いてんのかは解らねぇが…っ、魔王様に指名された以上はやる。…それだけだ。探してるのは羽根の無い妖精。ソイツを連れていけば用は終わりだ。それだけで、あとは何も言われちゃあいない。だから手前ぇら相手に何かするつもりも毛頭無い!……これでいいかよ!」
叫ぶような声。
ジリスさんに押し負けただけが理由じゃない、納得がいかない、そんな気持ちがあるのが解る声だった。
「………その、羽根の無い妖精を探してどうするつもりなんです?何をしたいんですか?」
「─知らねぇよ。聞いてはみたが、教えちゃあくれなかったしな。俺にとっちゃぁ、あんな野郎、どうだっていいんだよ!クソが!」
「………………」
……魔族はまだ「クソが!クソが!羽根無しが偉そうにしやがって!」とか言っている。ソイツとやらに何を言われたのか、鬱憤が相当溜まっているらしい。
羽根の無い妖精──ソイツとやらは、私と同じ異世界人って事だろうか?そんな都合の良い話があるんだろうか。仮にそうだとしても何故、私がこの世界にいる事を知ってるのだろう。何故、私を連れてこいなんて言ってるのだろう。何故、魔族と一緒にいるんだろう。どうして魔王は協力してるんだろう。
訳が解らなすぎて混乱しそうになる。
それに──
これを聞いたジリスさんはどう思っているんだろう。
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