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恩返し
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「服を着た方がいい」
「えっ、あ…こんな格好でごめん!」
上半身裸でズボンも前が開いた状態で、俺も少年からしたら変態に見えるよな。
慌てて服を着替えていたら、律儀に背中を向けていた。
もう見られているし、そこまでしなくてもいいのに…
育ちがいいんだな、貴族か?服も庶民とは何処か違う。
俺の首輪の命令を少年が掻き消した。
しかも少年は俺に命令していないのに、男の言葉の魔術を解いた。
本当に何者なんだ?この子は…
少年は袋の中を確認していて、俺は少年の方に近付いた。
「さっきは助けてくれてありがとう」
「別に助けてはいない、本当に邪魔だったから…退いてくれないから退かした」
「そうだとしても、結果的に助かったから…なにかお礼…」
どんな状況でも助けられたら恩返しがしたいと思ったが、今の俺は何もない。
持ってるとしたらペンダントだけだ、でもペンダントは渡せない。
何処かで働けば、なにか返せるかもしれない。
首輪を隠せば誤魔化せると思う。
恩を返すためだ、仕事は選ばない!
自分の身長と同じくらいの袋を簡単に掴んで運ぼうとしている少年がいる。
あの男を倒したほどだし、かなりの力持ちだな。
俺の助けがむしろ邪魔だったみたいだ。
「働いてお礼を返すから待っててくれ」
「働く?罪人奴隷を雇うところがあるのか?」
「首を隠せば、誤魔化せるかも」
「首を隠せば、罪人首輪をしていようがしてまいが罪人奴隷だと思われる、だから首を隠すものは誰もしていない」
確かに言われてみれば、マフラーとかしている人はいなかったな。
首を隠す服でも、首輪をしていたら着れない服だから疑われる事はない。
知らなかった、そこまでは本に書いていなかった。
さすがに罪人奴隷になった時の本なんて勉強に必要ない。
悪い事をしろと言っているようなものだ。
働く事も出来ないのか、どうしよう。
少年は俺を気にしないで、袋を持って歩いていた。
これだ、これくらいなら首輪付きの俺でも出来る。
「その袋、持つよ!」
「必要ない、俺の事を気にしていないで自分の事を気にしたらどうだ…さっきみたいな奴が多いと聞くぞ」
少年は俺の方を向いた瞬間、片目を目を手で覆っていた。
苦しげに小さく唸って、膝を付いていた。
なにがあったのか少年の前でしゃがみ、肩を掴んだ。
目が痛いなら病院に行った方がいい。
そう思って少年の顔を覗き込んだ。
さっきまで真っ黒だった瞳が、真っ赤になっていた。
もしかして、目が充血しているのか?だとしたら大変だ。
しかし、少年は俺の手を振り払った。
「大丈夫か?なんか目が…」
「君は…なにか持っているのか?」
「俺は何も…」
少年は手を伸ばして、俺の服から覗いている鎖を掴んだ。
ペンダントが視界に映った。
それを少年が掴んで見ていた。
研究室とは関係ないとは思うが、誰が研究者か分からない。
万が一の事を考えて、すぐに少年の手を掴んでペンダントを返してもらう。
強く握られていなかったから、返してもらうのは簡単だった。
「えっ、あ…こんな格好でごめん!」
上半身裸でズボンも前が開いた状態で、俺も少年からしたら変態に見えるよな。
慌てて服を着替えていたら、律儀に背中を向けていた。
もう見られているし、そこまでしなくてもいいのに…
育ちがいいんだな、貴族か?服も庶民とは何処か違う。
俺の首輪の命令を少年が掻き消した。
しかも少年は俺に命令していないのに、男の言葉の魔術を解いた。
本当に何者なんだ?この子は…
少年は袋の中を確認していて、俺は少年の方に近付いた。
「さっきは助けてくれてありがとう」
「別に助けてはいない、本当に邪魔だったから…退いてくれないから退かした」
「そうだとしても、結果的に助かったから…なにかお礼…」
どんな状況でも助けられたら恩返しがしたいと思ったが、今の俺は何もない。
持ってるとしたらペンダントだけだ、でもペンダントは渡せない。
何処かで働けば、なにか返せるかもしれない。
首輪を隠せば誤魔化せると思う。
恩を返すためだ、仕事は選ばない!
自分の身長と同じくらいの袋を簡単に掴んで運ぼうとしている少年がいる。
あの男を倒したほどだし、かなりの力持ちだな。
俺の助けがむしろ邪魔だったみたいだ。
「働いてお礼を返すから待っててくれ」
「働く?罪人奴隷を雇うところがあるのか?」
「首を隠せば、誤魔化せるかも」
「首を隠せば、罪人首輪をしていようがしてまいが罪人奴隷だと思われる、だから首を隠すものは誰もしていない」
確かに言われてみれば、マフラーとかしている人はいなかったな。
首を隠す服でも、首輪をしていたら着れない服だから疑われる事はない。
知らなかった、そこまでは本に書いていなかった。
さすがに罪人奴隷になった時の本なんて勉強に必要ない。
悪い事をしろと言っているようなものだ。
働く事も出来ないのか、どうしよう。
少年は俺を気にしないで、袋を持って歩いていた。
これだ、これくらいなら首輪付きの俺でも出来る。
「その袋、持つよ!」
「必要ない、俺の事を気にしていないで自分の事を気にしたらどうだ…さっきみたいな奴が多いと聞くぞ」
少年は俺の方を向いた瞬間、片目を目を手で覆っていた。
苦しげに小さく唸って、膝を付いていた。
なにがあったのか少年の前でしゃがみ、肩を掴んだ。
目が痛いなら病院に行った方がいい。
そう思って少年の顔を覗き込んだ。
さっきまで真っ黒だった瞳が、真っ赤になっていた。
もしかして、目が充血しているのか?だとしたら大変だ。
しかし、少年は俺の手を振り払った。
「大丈夫か?なんか目が…」
「君は…なにか持っているのか?」
「俺は何も…」
少年は手を伸ばして、俺の服から覗いている鎖を掴んだ。
ペンダントが視界に映った。
それを少年が掴んで見ていた。
研究室とは関係ないとは思うが、誰が研究者か分からない。
万が一の事を考えて、すぐに少年の手を掴んでペンダントを返してもらう。
強く握られていなかったから、返してもらうのは簡単だった。
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