リツのつよつよ冒険譚

chocochoco

文字の大きさ
3 / 4
Prologue

3

しおりを挟む
目指す冒険者になるためには10歳以上という規定がある。どんなに事情があろうとそれは覆ることはない、と知ったのは街の酒場にいた冒険者に話を聞いてからだった。
一つ、不安点を挙げるとするなら、そのことを両親が知っているかどうかだろう。知っているのだとしたら、私が10歳になるまでの間に何としても私を縛りつけようとするはずだ。それこそ、無理矢理知らない人と婚約を結ばせるなりなんなり…。

「別にエリ姉様とソウがいるんだから、ハーメルンは別にいいじゃない。私いなくても」

エリ姉様は私とは違い、両親から気に入られ溺愛されている。姉様が欲しがれば大抵のものは手に入るのだ。別に仲が悪いわけではないと思うが、1日で姉様と話す回数は指で数えるほどしかない。
ソウは弟だ。女しか生まれなかったハーメルンにやっと生まれた4つ離れた弟────なのだが、跡取りだなんだとずっと部屋に閉じ込められている印象しかない。姉弟だというのにほとんど私は会ったことがない。会わせてもらえないのだ。
まあ、大体両親の妨害のせいで姉弟間で話したり遊んだりというのは私限定でほとんどないのである。それは仕方ないことだと、冒険者という夢を諦められない自分が悪いのだと思うことにしている。

さて、家族の話はどうでもいい。私は今日、街の武器屋に来ている。椅子に座って足をぷらぷらと揺らして待つこと数分、店主が「待たせたねえ」と言って奥から出てきた。

「リツお嬢様、頼まれてたものだよ」

そう言ってカウンターの上に乗せたのは一振りのダガーだった。あれ、思ってたのと違う…。
顔に出てたのか、店主は笑っていた。

「あんな、お嬢様。いくらあんたが口で鍛えたー!とか言っても、自分より大きな剣とか扱うには、まだまだ足りないんだ。筋力の発達もまだまだこれからなんだからな。それなら小回りが効いて、比較的に軽めなこいつのがいい」

「えー……」

店主の言うことに間違いはないのだろうが、そうだとしても、憧れていたような剣でないことに対して不満は隠せない。そんな私の頭をわしゃわしゃと店主は雑に撫でた。

「そんな顔をするな。あんたが冒険者になって、でっかくなったら。その時のあんたに相応しい剣を打ってやる。今のアンタはそれで我慢しな」
「オーダー通りにしない店主にお金払いたくなーい!!」

ダガー代をカウンターに乗せながら私の叫んだが、店主は笑ってダガー代を受け取っていた。

「いつか、ダガー作ったこと後悔させてやる!」
「その意気だ!お嬢様!」

眩しいくらいのニッコニコの笑顔が店から出る私を見送ってくれ、大きな通りを一人であるく。
少しづつ、家を出る準備を進めて行く私を両親は許しはしないだろう。それでも、私は10歳になるまでに家は絶対に出るのだと、ダガーを胸に改めて決意した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

処理中です...