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Prologue
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目指す冒険者になるためには10歳以上という規定がある。どんなに事情があろうとそれは覆ることはない、と知ったのは街の酒場にいた冒険者に話を聞いてからだった。
一つ、不安点を挙げるとするなら、そのことを両親が知っているかどうかだろう。知っているのだとしたら、私が10歳になるまでの間に何としても私を縛りつけようとするはずだ。それこそ、無理矢理知らない人と婚約を結ばせるなりなんなり…。
「別にエリ姉様とソウがいるんだから、ハーメルンは別にいいじゃない。私いなくても」
エリ姉様は私とは違い、両親から気に入られ溺愛されている。姉様が欲しがれば大抵のものは手に入るのだ。別に仲が悪いわけではないと思うが、1日で姉様と話す回数は指で数えるほどしかない。
ソウは弟だ。女しか生まれなかったハーメルンにやっと生まれた4つ離れた弟────なのだが、跡取りだなんだとずっと部屋に閉じ込められている印象しかない。姉弟だというのにほとんど私は会ったことがない。会わせてもらえないのだ。
まあ、大体両親の妨害のせいで姉弟間で話したり遊んだりというのは私限定でほとんどないのである。それは仕方ないことだと、冒険者という夢を諦められない自分が悪いのだと思うことにしている。
さて、家族の話はどうでもいい。私は今日、街の武器屋に来ている。椅子に座って足をぷらぷらと揺らして待つこと数分、店主が「待たせたねえ」と言って奥から出てきた。
「リツお嬢様、頼まれてたものだよ」
そう言ってカウンターの上に乗せたのは一振りのダガーだった。あれ、思ってたのと違う…。
顔に出てたのか、店主は笑っていた。
「あんな、お嬢様。いくらあんたが口で鍛えたー!とか言っても、自分より大きな剣とか扱うには、まだまだ足りないんだ。筋力の発達もまだまだこれからなんだからな。それなら小回りが効いて、比較的に軽めなこいつのがいい」
「えー……」
店主の言うことに間違いはないのだろうが、そうだとしても、憧れていたような剣でないことに対して不満は隠せない。そんな私の頭をわしゃわしゃと店主は雑に撫でた。
「そんな顔をするな。あんたが冒険者になって、でっかくなったら。その時のあんたに相応しい剣を打ってやる。今のアンタはそれで我慢しな」
「オーダー通りにしない店主にお金払いたくなーい!!」
ダガー代をカウンターに乗せながら私の叫んだが、店主は笑ってダガー代を受け取っていた。
「いつか、ダガー作ったこと後悔させてやる!」
「その意気だ!お嬢様!」
眩しいくらいのニッコニコの笑顔が店から出る私を見送ってくれ、大きな通りを一人であるく。
少しづつ、家を出る準備を進めて行く私を両親は許しはしないだろう。それでも、私は10歳になるまでに家は絶対に出るのだと、ダガーを胸に改めて決意した。
一つ、不安点を挙げるとするなら、そのことを両親が知っているかどうかだろう。知っているのだとしたら、私が10歳になるまでの間に何としても私を縛りつけようとするはずだ。それこそ、無理矢理知らない人と婚約を結ばせるなりなんなり…。
「別にエリ姉様とソウがいるんだから、ハーメルンは別にいいじゃない。私いなくても」
エリ姉様は私とは違い、両親から気に入られ溺愛されている。姉様が欲しがれば大抵のものは手に入るのだ。別に仲が悪いわけではないと思うが、1日で姉様と話す回数は指で数えるほどしかない。
ソウは弟だ。女しか生まれなかったハーメルンにやっと生まれた4つ離れた弟────なのだが、跡取りだなんだとずっと部屋に閉じ込められている印象しかない。姉弟だというのにほとんど私は会ったことがない。会わせてもらえないのだ。
まあ、大体両親の妨害のせいで姉弟間で話したり遊んだりというのは私限定でほとんどないのである。それは仕方ないことだと、冒険者という夢を諦められない自分が悪いのだと思うことにしている。
さて、家族の話はどうでもいい。私は今日、街の武器屋に来ている。椅子に座って足をぷらぷらと揺らして待つこと数分、店主が「待たせたねえ」と言って奥から出てきた。
「リツお嬢様、頼まれてたものだよ」
そう言ってカウンターの上に乗せたのは一振りのダガーだった。あれ、思ってたのと違う…。
顔に出てたのか、店主は笑っていた。
「あんな、お嬢様。いくらあんたが口で鍛えたー!とか言っても、自分より大きな剣とか扱うには、まだまだ足りないんだ。筋力の発達もまだまだこれからなんだからな。それなら小回りが効いて、比較的に軽めなこいつのがいい」
「えー……」
店主の言うことに間違いはないのだろうが、そうだとしても、憧れていたような剣でないことに対して不満は隠せない。そんな私の頭をわしゃわしゃと店主は雑に撫でた。
「そんな顔をするな。あんたが冒険者になって、でっかくなったら。その時のあんたに相応しい剣を打ってやる。今のアンタはそれで我慢しな」
「オーダー通りにしない店主にお金払いたくなーい!!」
ダガー代をカウンターに乗せながら私の叫んだが、店主は笑ってダガー代を受け取っていた。
「いつか、ダガー作ったこと後悔させてやる!」
「その意気だ!お嬢様!」
眩しいくらいのニッコニコの笑顔が店から出る私を見送ってくれ、大きな通りを一人であるく。
少しづつ、家を出る準備を進めて行く私を両親は許しはしないだろう。それでも、私は10歳になるまでに家は絶対に出るのだと、ダガーを胸に改めて決意した。
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