8 / 10
もう1回
しおりを挟む
山菜を採っていると人の気配に振り返る。そこにはゲントと出会った日、石を投げて来た赤髪と金髪の少年二人の姿があった。
目が合うと少年達は視線を下げ、その視線をさ迷わせている。
「どうしたの?」
問いかけると赤髪の少年が勢いよく顔を上げた。
「悪かった!!」
「何が?」
「石を投げたことだよ!」
本当に思い当たるものが無かったゼーリッヒが聞き返せば、隣の少年が思わず叫ぶ。
ゼーリッヒはあぁと以前のことを思い出した。
「別になんとも思ってないよ。当たらなかったし」
「謝りに来たのになんか腹立つな...」
「でもどうして謝りに来てくれたの?」
赤髪の少年は視線を下げ、ポツリ、ポツリと小さな声で答える。
「ゲントじいさんさ...口うるさかったけど、優しかったんだよ。たまーに芋とか分けてくれてさ」
「怒られる方が多かったけどな。でも、あの葬式の日、なんか泣くのはかっこ悪いって思って泣けなかったんだ。そしたら...お前は泣いてたから。泣いていいんだって思ったら...」
途端に金髪の少年の目が涙で潤んでいく。つられて赤髪の少年の目にも涙が滲んだ。
「僕もゲントがいなくなって寂しい。もっと沢山話したいことがあったんだ。もっと...ゲントに色々してあげればよかったなって」
「ガミガミじいさんって言ったこと...謝れば良かった...っ」
「くれたお菓子が美味しくないなんて文句言わなきゃ良かった...っ」
ついに二人の目からはボロボロと涙が零れ始めた。
「だから...っ。もう後悔したくなくて、お前に謝りにきた!」
「「ごめん!!」」
二人はぐしゃぐしゃな顔で頭を下げた。
「何度も言うけど僕はなんとも思ってないよ。でも...僕のことを考えて謝りに来てくれてありがとう。ねえ、草相撲って知ってる?」
首を傾げる2人にゲントから教わった遊びを一緒にやった。
ゲントから教わっただけのことはあり、ゼーリッヒが1番強く、もう1回が何度も何度も続いた。
日が暮れてから家に戻ると、ダリルの方が先に帰っていた。
「おかえりゼーリッヒ。随分遠くまで行ってたんだな」
食事の支度をしていたようでダリルは包丁を手にしていた。
「ただいま。ううん。すぐそこの山菜をとってたんだよ」
「そうなのか?帰りが遅かったから遠くまで行ってたのかと」
「あのね。僕と同い年くらいの子達とゲントに教わった草相撲とか草笛とかしたんだ。僕が1番上手くて何度も再戦してたら遅くなっちゃって」
ダリルは呆然とし、持っていた包丁を落とすものだからゼーリッヒが慌てて掴んだ。
危ないと言おうとした刹那、ダリルが口元を覆う。
「友達が出来たのか...っ」
「友達?」
「お前ぐらいの歳だとラルクとかフィーシャか!?良かったなぁゼーリッヒ!」
名前...。そういえば。
「名前は聞いてない」
「名前も聞いてない相手とずっと遊んでたのか!なんか、子供ならではだなぁ。俺は嬉しいよ」
ダリルは笑ってゼーリッヒの頭を撫でた。
ゼーリッヒは嬉しさを覚えると同時にふと、ある人物の顔が頭に浮かんだ。
「ねぇダリル。僕...ルードに会いたい」
「え...何でまた...」
ルードがゼーリッヒに対して好意的な感情を持っていないことは明白だ。
それでも、ゼーリッヒはルードに会いたかった。
「今日、僕に石を投げてきた2人が謝ってくれたんだ。僕はなんとも思ってなかったんだけど、2人はきっと僕が傷ついたと思って謝りに来てくれた。僕も...ルードのことを傷つけたんだと思うから謝りたい」
ダリルが迷っているのが分かった。それでも、真っ直ぐ見つめてくるゼーリッヒに小さく息を吐く。
「分かった。明日一緒に行こう」
「ありがとう。ダリル」
少しずつ少しずつ、戦闘兵器だった自分が何をしてきたのかを理解してきた。
その事実は以前ダリルも言った通り変えようがない。
だからこそ、今出来ることを。後悔のないように。
目が合うと少年達は視線を下げ、その視線をさ迷わせている。
「どうしたの?」
問いかけると赤髪の少年が勢いよく顔を上げた。
「悪かった!!」
「何が?」
「石を投げたことだよ!」
本当に思い当たるものが無かったゼーリッヒが聞き返せば、隣の少年が思わず叫ぶ。
ゼーリッヒはあぁと以前のことを思い出した。
「別になんとも思ってないよ。当たらなかったし」
「謝りに来たのになんか腹立つな...」
「でもどうして謝りに来てくれたの?」
赤髪の少年は視線を下げ、ポツリ、ポツリと小さな声で答える。
「ゲントじいさんさ...口うるさかったけど、優しかったんだよ。たまーに芋とか分けてくれてさ」
「怒られる方が多かったけどな。でも、あの葬式の日、なんか泣くのはかっこ悪いって思って泣けなかったんだ。そしたら...お前は泣いてたから。泣いていいんだって思ったら...」
途端に金髪の少年の目が涙で潤んでいく。つられて赤髪の少年の目にも涙が滲んだ。
「僕もゲントがいなくなって寂しい。もっと沢山話したいことがあったんだ。もっと...ゲントに色々してあげればよかったなって」
「ガミガミじいさんって言ったこと...謝れば良かった...っ」
「くれたお菓子が美味しくないなんて文句言わなきゃ良かった...っ」
ついに二人の目からはボロボロと涙が零れ始めた。
「だから...っ。もう後悔したくなくて、お前に謝りにきた!」
「「ごめん!!」」
二人はぐしゃぐしゃな顔で頭を下げた。
「何度も言うけど僕はなんとも思ってないよ。でも...僕のことを考えて謝りに来てくれてありがとう。ねえ、草相撲って知ってる?」
首を傾げる2人にゲントから教わった遊びを一緒にやった。
ゲントから教わっただけのことはあり、ゼーリッヒが1番強く、もう1回が何度も何度も続いた。
日が暮れてから家に戻ると、ダリルの方が先に帰っていた。
「おかえりゼーリッヒ。随分遠くまで行ってたんだな」
食事の支度をしていたようでダリルは包丁を手にしていた。
「ただいま。ううん。すぐそこの山菜をとってたんだよ」
「そうなのか?帰りが遅かったから遠くまで行ってたのかと」
「あのね。僕と同い年くらいの子達とゲントに教わった草相撲とか草笛とかしたんだ。僕が1番上手くて何度も再戦してたら遅くなっちゃって」
ダリルは呆然とし、持っていた包丁を落とすものだからゼーリッヒが慌てて掴んだ。
危ないと言おうとした刹那、ダリルが口元を覆う。
「友達が出来たのか...っ」
「友達?」
「お前ぐらいの歳だとラルクとかフィーシャか!?良かったなぁゼーリッヒ!」
名前...。そういえば。
「名前は聞いてない」
「名前も聞いてない相手とずっと遊んでたのか!なんか、子供ならではだなぁ。俺は嬉しいよ」
ダリルは笑ってゼーリッヒの頭を撫でた。
ゼーリッヒは嬉しさを覚えると同時にふと、ある人物の顔が頭に浮かんだ。
「ねぇダリル。僕...ルードに会いたい」
「え...何でまた...」
ルードがゼーリッヒに対して好意的な感情を持っていないことは明白だ。
それでも、ゼーリッヒはルードに会いたかった。
「今日、僕に石を投げてきた2人が謝ってくれたんだ。僕はなんとも思ってなかったんだけど、2人はきっと僕が傷ついたと思って謝りに来てくれた。僕も...ルードのことを傷つけたんだと思うから謝りたい」
ダリルが迷っているのが分かった。それでも、真っ直ぐ見つめてくるゼーリッヒに小さく息を吐く。
「分かった。明日一緒に行こう」
「ありがとう。ダリル」
少しずつ少しずつ、戦闘兵器だった自分が何をしてきたのかを理解してきた。
その事実は以前ダリルも言った通り変えようがない。
だからこそ、今出来ることを。後悔のないように。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる