怖くていい人

明人

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突然のイベント

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帰り道、ふとカラオケのことを思い出し、藍くんに話しかける。
「山中君の歌迫力凄かったね。あぁいう曲があるって知ってたけど実際目の前で歌ってるの見ると迫力が違うねぇ」
「あれはキャラのギャップもあるだろ。逆にあぁいう性格だからこそかも知れねぇが」
「山中くんの新たな一面だよね。藍くんの歌もかっこよかったな!ラップってほとんど聞いたことなかったからすごい新鮮だった。藍くんはどうしてああいう曲聞いてみようと思ったの?」
「ふと立ち寄った店の店内で流れてたの聞いていいと思ったのが始まりだな。本物はもっとカッコいいから聞いてみろ」
「うん!藍くんに教えてもらったから、家帰ってゆっくり聞いてみるね」
もうすぐ家の前というところでばったり買い物帰りのお母さんと会った。
「お母さん!?」
「あら奇遇ね」
お母さんは私と目が合った後流れるように藍くんに視線を向ける。そして再び私に移動するお母さんの目はキラキラと輝いていた。
「今日お赤飯の方がいい!?「やめて!!お赤飯そんなに好きじゃないし!!」
明らかに何かしら勘違いしているお母さんがこれ以上変なことを口走る前に藍くんに帰ってもらおうと振り返ったが藍くんの姿はなかった。
「荷物持ちますよ」
「あらやだありがと~」
「藍くん!?」
何故かサラッとお母さんの買い物の荷物を持ってあげている藍くん。
「素敵な子ね~。イケメンだから目の保養にもなるし。若いエキス浴びて若返れそうだわ」
「その発言が年だからね!?」
親になんて口の聞き方とほっぺたをつまんで伸ばされる。地味に痛い。離してくれたと思ったらお母さんがとんでもないことを言い始めた。
「そうだ!今日ね唐揚げなんだけどよかったら食べてかない?」
「え!?」
「いいですね。唐揚げ好物です」
「良かった!うちはね塩としょうゆの2種類作るの」
「へぇ楽しみです」
当たり前のように話しながら家へと向かっていく2人。
え?これ普通なの?道で親に会って初対面の同級生家にあげてご飯食べるの?
っていうか...
藍くんがうちに!?!?
突然訪れたイベントに動揺が止まらない。
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