怖くていい人

明人

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光る危険

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放課後未来ちゃんと話しながら下駄箱の靴を手にする。
その時何か小さな物が転がる音がしたような気がした。
「それでな、うちのオトン犬が好きなんやけどうちのオカンとうちは猫派やから対立してもうて」
未来ちゃんは犬派猫派対決の話をしながら靴を下に置き、上履きから履き替えようとする。
その時未来ちゃんの靴の中で何かが光った。
「待って!!」
靴に足を入れる前に未来ちゃんを止め、未来ちゃんの靴をひっくり返す。
中からは数個の画鋲が転がり出て来た。
「今どきこんな古典的なことする奴おるんやな!そんでもって案外気付かんもんやなぁ...。って感心しとる場合ちゃうわ!どこのボケやこんなことしくさんのは!!」
未来ちゃんが怒りを露わにする中、私の靴も確認すると画鋲が入っていた。
「未明にもやと!?どこの誰や!出てこんかい!」
未来ちゃんの声で視線が集まる中逃げるように去っていく人影が一部あった。
後ろ姿だけだが、女子生徒であることは確認できた。人数は3人。
ピンと来ない以上関わりのある相手ではないだろう。
となると他のクラスの人間。こちらが何かをした訳ではなく、気に入らないという理由での攻撃の可能性が高い。
そうなると謝れば済む問題ではないため難しそうだ。
「とりあえず誰か突き止めようか」
「未明動じてなさすぎて怖いんやけど。え?慣れとるん?」
「いや、初めてだけど未来ちゃんも一括りにされてるのがちょっと腹立つから」
「もしかして未明が怒っとるんか!?初めて見た!」
「未来ちゃん嬉しそうだねぇ...」
いじめらしいことをされている二人だと言うのにはしゃいで笑っている様子はいじめをしようとした相手にとっては不快だろう。
となると次はもっと陰湿な物になる可能性が高い。
「お前らどうした?」
「大丈夫?」
騒ぎを聞いて藍くんと山中くんが声をかけてくれる。
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