直線上に僕がいる

日明

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隠す赤色

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俺は2年A組のため、隣のクラスから順番に覗いて行くことにした。あの女子生徒は案外簡単に見つかった。2年C組だ。予想通り教室に入って斜め前ほどの席で読書に勤しんでいた。どこか話しかけずらいオーラを放っている。だが、ハンカチは早く返してしまいたい。
「ちょっといいか?」
声をかけると女子生徒は本から視線を外し、流れるように顔を上げた。
「これ、ありがとう」
ハンカチを差し出せばあぁと受け取ってくれた。
「私のことご存知だったんですか?」
「いや、悪いけど知らなかった。ハンカチに名前書いてあったからそれと勘で探してたよ。苗字や行だから扉から近いだろうって。名前はきさきだっけ?」
そう言うと一瞬の間があったあと、彼女は答えた。
「はい。山鹿希咲やまかきさきです。山の鹿に希望に咲くと書きます」
「へぇ。綺麗な名前だな」
褒めたつもりだったが、山鹿は反応なく視線を本に移した。
「もうすぐ予鈴、鳴りますよ」
「あ、ほんとだ。あとで話したいことがあるから放課後時間あるか?」
同情しているならやめて欲しいという1番大事な話を出来ていない。
「ええ。なくても作りますよ」
あなたのためならと聞こえた気がした。自意識過剰だ。
「じゃ、じゃあまたあとで!」
逃げるようにその場を離れる。ほんとに彼女は読めない。読めないのにところどころに俺への思いを挟んでくる。惨めになるとは言ったが好意は素直に嬉しくて逆に困ってしまう。
「俺ちょろいのかなぁ...」
自分の思考にため息を漏らした。

祐誠がいなくなったあと、希咲は机に突っ伏した。希咲と仲のいい友人である中野叶恵なかのかなえはそんな希咲に歩み寄る。
「話せて良かったねー。きぃちゃん」
机に突っ伏したままだが、希咲が耳まで真っ赤なのが分かった。
「名前呼んで貰えて、綺麗って褒めて貰えて良かったね」
「私のこと褒めてくれた訳じゃないから...」
とは言いつつ嬉しいのだろう。顔が真っ赤だ。こういうところが本当に可愛いと思う。
「きぃちゃん緊張すると硬い口調になるとこと、顔に出さないように気ぃ使いすぎて無表情になるの直さないとねぇ」
「暫く...無理...」
恋する乙女の様子を叶恵は心底楽しみながら優しく見守るのだった。
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