美しさの中の願い

日明

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山の猛威

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「おぇっ」
山の頂上を目指し登っていくにつれ訪れる頭痛吐き気と戦っていた。草むらに胃液を吐き出し口を拭う。
「だから言っただろう。この先は厳しいと」
「大丈夫だ…」
「全くそんなんじゃ先が知れて…おぇええ」
「お前もじゃねえか!!!」
草むらに吐くエリスの背を撫で様子を伺うが、エリスの表情を見るに同じく頂上を諦める気はなさそうだ。
「なぁ。あんたが天国を目指すのは好奇心のためだけじゃないだろ」
「…私は知りたいんだ。天国と呼ばれたその場所がどんなところなのか。この目でこの肌で感じたいんだ」
また上を目指して歩き出すエリスの後ろについていく。
エリスはふと岩場に目を向けおもむろによじ登り始めた。
「何してんだ!?」
「吐いてばかりでは体力がもたない。食料は体力のあるうちにとっておくべきだ。巣穴を見つけた」
確かに岩場には穴が空いていた。腕が入るかどうかという穴だ。その穴にエリスは迷うことなく腕を突っ込む。
「その穴何がいるんだ?」
「この穴自体は兎のものだろう。だが、中には動物の巣穴を利用している毒蛇なども生息していてだな!」
「目ぇ輝かせてんじゃねぇこの馬鹿!!」
「バーカ!!」
エリスが迷いなく手を突っ込んだ時点で危険性に気付くべきだった。
エリスを羽交い締めするように巣穴から引き離せば、俺に同意したペランスもエリスに暴言を吐く。
勢いよく引き抜かれたエリスの手には大きな蛇が握られていた。
「おお!この大きさに茶色に黒の模様!シュースターだな!」
「毒はないやつか!?」
「ある!死亡例も報告されている種だ!」
「とっとと放り投げろ!!」
「アブナイワ!!」
「だが貴重なタンパク質だ!噛まれさえしなければ問題ない!」
暫く言い合いを続けたが、俺とペランスの方が先に折れた。
頭を落としてしまえば噛まれることもないと、まず頭を落として血抜きをした。
「確か蛇の毒は頭部にしかないと聞いているから、ちゃんと食べられるぞ」
「あんたほんと命知らずだな...。好奇心で本当に死にに行くんじゃねぇよ...」
「私にとって知ることはそれほど価値があるのだよ。それじゃあ薪を集めつつ野宿できる場所を探そう」
再び歩き出したエリスの後を追えば、肩にペランスが乗った。
「お前のご主人様はなんであんたに死にたがりなんだろうな」
頭を撫でればペランスは目を細めて一言答えた。
「サビシイワ」
「寂しい?」
一体どういう意味なのかと思考を巡らせた直後、前方から声が飛んできた。
「ジェッド!あそこにも巣穴のようなものがあるぞ!君の分も捕まえようじゃないか!」
「待て待て待て!俺の分はいいから!!」
「ヤメテ!!」
ペランスと二人で急いでエリスを止めに行くことになり、一瞬覚えた違和感は霧散していったのだった。
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