完全少女と不完全少年

柴野日向

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2章 小さな友人

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 それから三日間、珍しく亜希はシフトが入っていなかった。アルバイトで削られる勉強時間を取り戻そうと奮起していた三日目、自席で予習に励んでいた彼女のもとに航がやって来た。
「今日、空いてる?」
 眠たそうな顔で気怠く言うのに、亜希は咄嗟にその理由を考えた。都合が悪くなったから、今日のシフトを代わって欲しい。それが最も妥当だと思ったから、「バイトですか?」と返す。
 しかし彼は「そうじゃないけど」と言った。
「何もなかったら、八時に公園来てよ。五丁目のけやき公園」
「何の用事ですか。今じゃ駄目なんですか」
「駄目。まあ、無理ならいいよ」
「いえ、行けますけど……」
「わかった。そんじゃ待ってる」
 相変わらずマイペースな彼は、言いたいことだけを言うとさっさと自分の席に戻ってしまう。
 まったくもってわけがわからない。亜希が首をひねっていると、いそいそと子之葉が寄ってきた。
「なになに、なんの約束?」
 また彼女は、浮いた話を期待しているようだった。
「なんだろう。多分、バイトのことだと思うけど」
「それはつまらんなあ」
「変な期待しないでよ」
「しゃあないやん。気になるんやから」手に持った単語帳をぱらぱらと捲る彼女は楽しそうだ。「それにしても、亜希も変な子やな。同級生に敬語やなんて」
「けじめだから。私の」
 亜希も同じ単語帳を手にすると、はいはいと子之葉は笑った。
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