青白の覚醒 〜影を超えし者〜

相野リキ

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最終話 自我の光

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夜明け前の静けさが街を包む。
戦いの爪痕が残る屋上で、涼介は深く息を吸った。
胸の奥で蠢く力は、もう暴れず、彼自身の意思と完全に融合している。
「……俺は、俺だ」
その言葉に、昨日までの恐怖も混乱も、少しずつ溶けていく。

神崎とともに、集団失踪事件の記録や古い資料を再び見直す。
そこには、十歳の涼介が「唯一生き残った理由」として記されていた事実。
神崎が静かに語る。
「お前は確かに造られた存在だった。だが、お前自身の意思と記憶が、道具としての運命を超えさせた」
資料に書かれた文字を指でなぞりながら、涼介は思う。
──他の子供たちの魂を模倣して生まれた器。
だが、そこに本物の自我が芽生えた瞬間、運命は変わったのだ。
「俺は……道具じゃない。俺は、俺の意思で生きる」
神崎は小さく頷き、肩に手を置いた。
「……そうだ。誰かに作られたかもしれない。だが、今のお前は、間違いなく涼介佐伯だ」

街を歩くと、昼の光が優しく差し込む。
道行く人々は誰も、影が消えた男に気付かない。
だが涼介は構わない。
もう、影がないことも、過去の空白も、恐ろしくはない。
胸の奥の力は、まだ存在する。
だが、それは暴力ではなく、守る力になった。
自分自身を支え、そして人を守るために存在している。

夜。
遠くの空に、赤い瞳の幹部格の気配を感じる。
だが、もはや恐怖ではない。
「来い……どこからでも来い」
青白い光が夜空に立ち上がり、涼介の意思を示す。
自らの力と自我を受け入れた者だけが持つ、揺るぎない光。
──俺は、これからも戦うだろう。
人間として生き、妖怪の影と向き合い、力を制御しながら。
だが、それも含めて──俺は俺の人生を歩むのだ。
朝日が街を染める頃、涼介の影がゆっくりと地面に映った。
消えなかった影は、これからの戦いの証でもある。
そして、新しい一日が始まる。
誰かに作られた存在であったとしても、今ここに生きる涼介佐伯──
その意思こそが、唯一無二の光となるのだった。

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