青白の覚醒 〜影を超えし者〜

相野リキ

文字の大きさ
14 / 15

第十四話 覚醒の対決

しおりを挟む
夜の街。
屋上の冷たい風が、胸の奥でうずく力を煽る。
赤い瞳の幹部格が、遠くのビルの影からこちらを見据えている。
──ついに来た。
俺は掌に力を集め、胸の奥で意識を完全に集中させた。
青白い光が全身を包み込み、夜空を裂く勢いで溢れ出す。
「……これが俺の力だ」
光が広がると、街の影が揺れ、幹部格の形が揺らぐ。
奴もまた力を放つ。
黒い影が空間をねじり、ビルの壁を切り裂く。
「面白い……お前が、ついに自分を受け入れたか」
赤い瞳が光る。
「しかし……まだ未熟だ!」
触手のような黒影が屋上に押し寄せる。
だが、涼介は恐れない。
胸の奥で蠢く力を意志で制御し、掌から放たれる光の刃で影を打ち砕く。

幹部格が飛びかかる。
素早く、影を刃に変えて突き刺してくる。
涼介は一歩下がり、掌の光で防ぐ。
ぶつかり合う力が屋上を揺らし、瓦礫が舞う。
「──俺は逃げない!」
力を集中させるたびに、青白い光が増幅する。
掌から腕、そして全身へと光が渦巻き、幹部格の攻撃を押し返す。
胸の奥で、力が自ら意思を持ったかのように暴れる。
「……お前は、俺に勝てるのか?」
幹部格が声を震わせる。
かつて冷徹だった瞳に、焦りが映っていた。

光の渦が爆発する。
屋上の床が割れ、瓦礫が飛び散る。
だが、涼介は倒れない。
胸の奥で蠢く力が、完全に彼自身の意思と融合した瞬間だった。
「……俺は、俺の意思で戦う!」
掌から放たれた光が幹部格を直撃する。
赤い瞳が弾け、影が砕け散る。
衝撃でビルの壁が揺れ、夜空に閃光が走る。
幹部格は一瞬、地面に膝をついた。
「……まさか……器が、意思を……」
その表情は、もはや驚愕と恐怖に支配されていた。

戦いの後、屋上に残るのは青白い光の残滓と瓦礫だけ。
涼介は呼吸を整え、夜空を見上げた。
──俺の力は、俺のものだ。
誰かに造られた存在でも、俺は俺だ。
神崎が肩越しに静かに言った。
「……お前は、力を完全に受け入れた。これで、お前自身の戦いを始められる」
胸の奥で蠢いていた力は、静かに、だが確かに、彼の意思と一つになった。
夜の闇を切り裂く光は、もう誰のものでもない。
──涼介の覚醒は、ここに完成した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

完結 潔癖のリコリス

音爽(ネソウ)
ファンタジー
その出会いは奇跡だった 幼い盲目の少女は得体の知れない生命体と出会う。そして……

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...