カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

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United Japanese tea varieties of Iratsuko(5)

空中庭園にて(2)

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肥料を撒きながら何度か茶の畝を往復していると、三人が畝を挟んで一列に揃うタイミングがあった。

「フランシス、撒くのに精を出すのは結構だけれど」

アサヒはドキリとする。さっきの会話が聞こえていただろうか。

「ムサシのCS園のこと、忘れてない?」

「あ、そうだった」

そう言えばそうだ、とアサヒも思った。
ムサシさんのCS園についてはどうするのだろう。

フランシスは首元に指を当てる。

「……ああ、ムサシか? フランシスだ。お前のCS園の件だが、今いいか? ……こっちに投影すればいいんだな、了解」

フランシスは、空いている左手をCS園の向こうに伸ばした。CS園の向こうから、ドローンが浮かび上がった。どうやら床から出てきたらしい。
ドローンはそのままフランシスの左手が指す方向に従って、ジュディのCS園の端に飛んでいく。

フランシスがジュディの方を見る。ジュディは頷いた。
ジュディも首元に指を当てる。

「第三庭園、施設西端の延長をお願いします」

そう告げると床がわずかに震え、第三庭園のドローンが飛んで行った方向、施設の西端が伸び始めた。
何もないスペースが生まれる。

ドローンはその上空に浮かぶと、映像を投影し始めた。
CS園の畝が、半透明だが何本か出現した。

「投影したぞ。何? ……ああ、わかった。ハッキングとかするなよ。ドローン番号はBB1984だ」

フランシスが首から指を離す。

「やあ、アサヒ君! お久しぶり」

半透明のCS園の中に、半透明のムサシが立っていた。

「流石にFBUは茶……CS園もハイテクだな、フランシス」

「お前がいた頃には、まだその言い方だったな。古き良き時代だ」

「そうだな。さて、できればお三方を俺自慢のCS園に招待したいところだが、残念ながらチケットをお持ちじゃあないってことで、リモートワークだ。
そっちにバーチャルな俺のCS園を投影した。そこにバーチャルに肥料を撒いてもらえれば、ドローンが動きをスキャン、こっちのロボットに反映して、実際に肥料を撒いてくれるっていう寸法だ」

「資材は揃ってるのか?」

「この前の金で、高い3Dプリンターをオーダーさせてもらったよ。心配ご無用だ」

「なるほどね」

「じゃあ、アサヒ君。俺のトコはフランシスと違って、適切な量の肥料でいいぞ。あと、間違っても覆いをすることだけは勘弁してくれな」

「わかりました」

ムサシは両手を前に出すと、振りをつけてアサヒを軽く指さすような動作をした。ムサシの、独特の別れの挨拶だ。
そのまま、ムサシの幻影が消えた。CS園だけが残る。

「アサヒ、覆いを使いたくなったらいつでも言ってくれ」

フランシスの一言に、思わず吹き出すアサヒだった。
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