カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

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シュロッス・イン・デル・ゾーネ(8)

接近遭遇(3)

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「どういう意味ですか?」

ツヅキが問う。

「ツヅキ殿の再召喚は確かにオートラグが決定した。だが、オートラグは何も私が独裁しているワケではない。安心してもらいたくて言うのだが、私はツヅキ殿の再召喚には反対票を投じさせてもらったよ」

「でも、オートラグ内でトップである大法官の意見は他のメンバーより大きいはずです」

メイが意見を差し挟む。

「ソレでも、過半数をひっくり返す力などない」

「というコトは、俺の再召喚とやらにオートラグの過半数以上が反対したってワケですか。随分、嫌われてますね。そんなコトした覚えないけど」

「私も、その点が不思議なのだ」

ヴァーシュは、懐から葉巻を取り出した。
ツヅキは何となく、ヴァーシュが煙を薫らせるとすればパイプのイメージだったので、少し違和感を覚えたが、口から大きく煙を吐き出す様を見てそんな違和感もどこかへ行ってしまった。

「苦手だったかね?」

「いえ……」

メイも首を振る。

「気を悪くしないでほしいのだが、ツヅキ殿の再召喚が決定した大きな理由は、元いた世界が魔術に関して進んでいなかったからだ」

「ええ、らしいですね。確かに、俺の元いた世界では魔術だの魔法だのってのは、フィクションの道具でしたよ」

「クトゥルーに関する書物まで存在するのにな。不思議なコトだ。一歩間違えるだけで、世界というのは魔術や魔法をフィクションとしてしまうというワケか」

ヴァーシュがまたも大きく煙を吐き出す。何やら思うトコロがあるようだ。
だがすぐに、話を元に戻した。

「いずれにせよ、この国では魔術回路の扱いに長けているコトは、人間の素質を判断する上で重要な要素なのだ」

「でも、この国ではそうであっても、今回の“旅”には必要不可欠なワケではないはずです。十分条件ではあるかもしれませんが」

またもメイが意見を差し挟む。

「その通りだ。そして私のような年寄りでもソレぐらいのコトはわかる。だからこそ、オートラグ内でアレだけ反対意見が強かったのは意外だった。現在、信頼できる者に外部からの干渉がなかったかを調査させている」

「他国からの妨害工作?」

「流石はペイルンオーリン家だな。その通りだ。少なくとも、国内の組織による妨害は認められなかった。“再召喚”決定後は別だが」

「決定後?」

「決定後は龍騎士団茶舗の妨害があったからな。私としては、応援したい妨害だったが」

「バレていたんですか?」

「私にはね。どうしてかは明かせないが」
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