カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

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シュロッス・イン・デル・ゾーネ(10)

接近遭遇(18)

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「メイ、何が起きた?」

ツヅキが腕にかかる力に顔を歪めながらも、目の前のメイに問いかける。

「多分だけど、コッチの貴方に触れた結果、私は横向きに落ちていくみたい。私だけ、重力の方向が変わっているわ」

「ワケのわからんトラップだな」

「で、でもっ、そのおかげでしゅ、収穫はありましたっ!」

カップがツヅキの腕を必死で引っ張りながら言った。

「どんな収穫?」

「め、メイさんが向こうのツヅキさんに触れてこの状況が発現した時に、ま、魔術回路が露出しました。お、おかげでこの部屋のコトはおおよそ把握しました」

「お、おっけー」

流石にツヅキに余裕が無くなってきた。

「で、ですので」

カップが杖を遠くのメイに向けて振る。

「ちょ、ちょっとカップ?」

「だ、大丈夫です! メイさん!」

カップは直接、遠くのメイに向けて言った。
と、ツヅキの腕が急に軽くなった。

「お?」

カップもツヅキから手を離す。

「ツヅキさん、もうメイさんから手を離しても大丈夫です」

「わ、わかった」

少し不安ながら、しかしメイの重さを全く感じなくなったので、ツヅキは手を離した。
メイは宙に浮いたままの格好となった。

「わ、私の得意技はじゅ、重力操作です」

「そう言われれば、そうだったわね。能力審査の時に恥ずかしがる必要ないぐらい、立派じゃあないの」

「ホントだぜ。おかげで忘れてたけど、この上なく今の状況には助かる技だ」

カップはフードを深くかぶり直した。

「よし。カップ、とりあえず説明頼む」

「は、はい」

ツヅキはドアに背を預けた。

「め、メイさんが向こうのツヅキさんに触れた時にこ、この部屋の魔術回路のソースコードが露出しました。……あ、よ、要は仕組みがわかったんです」

「なるほど」

「こ、この部屋の最初のし、試練は繰り返しなんです。部屋を繰り返すごとに部屋が少しずつ短くなっていって、その短さが一定に達するとつ、次の部屋に移行します」

「ソレがこの薄暗い部屋か」

「は、はい。そうです。
そしてこの部屋に続いていると、扉を最初に開いた人物のゴーレムが、向こう側に出現します。そ、ソレが向こうのツヅキさんです」

「じゃあ、このメイもそうなのか?」

ツヅキが目の前のメイを顎で示す。

「は、はい。だ、団茶で構成されたゴーレムです」

「コレがお茶とはね」

「ま、魔術的なコーティングが施されていますので……」
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