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カメリア・シネンシス・オブ・キョート Part 1.3
幕のあとで(3)
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「冗談はさておき、事態の収拾は全てついたようですね」
「ソレこそ冗談じゃあない。我々にとってはいささか損失だ」
「全てが、例の機械のせいになったコトでですか?」
「その通りだ。もちろん誰を責めても始まる話じゃあない。“鍵”の記憶改竄と、“蜘蛛”が各国の国民に目撃された結果の、相乗効果の賜だからな。今のトコロは」
「裏で糸を引いていた者がいないかは、やっぱり調査されているんですね」
「とは言え、今回はそういう存在は可能性薄だと私ですら思うよ。いずれにせよ、アレをすぐには使いにくくなった」
「使う予定があったんですか?」
「いや、ない」
「キミは依然、“鍵”の効果に抵抗し続けるつもりかね?」
「ええ、そのつもりです」
「記憶改竄と言えば聞こえは悪いが、新たな視点、かつ有益な視点で皆が一丸となって協力できる世界が新生される効果でもある。何故ソコまで抵抗を続ける?」
「旅をした面々や、彼らの関係者たちが何をしたかは、誰にも知られません。良いんですか?」
「良いとは言わんが、そんなコトは世の中に数多あるだろう」
「その通りです。ですが、私が知った以上は、そして手を加えられる以上はそうはいかない」
「真面目だな」
「わざわざ自ら現場に赴かれる大統領には言われたくないですね」
「何故、此度の旅団から結成されるチームに『Tea Hound』と名付けた? キミの犬だからか?」
「“狩人(ハンター)”より“猟犬(ハウンド)”の方が先に獲物に到達するからですよ」
「では、やはりキミがハンターかね?」
「いいえ、ハンターは顧客の方々ですよ。私などはあくまで駄犬ですから。ハウンドの皆は違いますがね」
「ならば私などはさしずめハイエナかな?」
「ソレ、“私たち”に変更可能ですか?」
「ハウンドたちで、次はどうするのかね?」
「円卓の騎士たちを捜そうと思ってます」
「……聖杯の騎士かね?」
「ええ」
「キミも物好きだな。埃の積もった、誰も興味のないジジババをわざわざ異世界人を使って捜すのかね?」
「埃の積もったものが好きなのはお互い様でしょう? あの機械」
「まあ、確かに」
「話したいコトはコレぐらいかな。そうだ、最後に聞きたいコトがある」
「私にお答えできるコトとは思えませんが」
「ソレだ。どうもこの世界はおかしくないか?」
「何を今更ですよ」
「いや、そういう意味ではない。何故、キミらの世界と我々の世界の間には“歴史”に相関がある? 何故、キミらの世界で起きたコトがコチラで起こるのだ? 今回だってそうだ。キミらの世界で揉み茶が針のように形成されるようになる時代変化があり、そして我々の世界もそうなった」
「ソレなのですが、もしくは逆かもしれませんよ。この世界の歴史が我々の世界の歴史に影響しているのかもしれない。異世界間で、どちらが先でなければならないという因果関係の順行性は必須ではありませんし」
「我々の時間的認識と、異世界間での因果関係の順番は別だというコトか? 現時点で認識できないコトを論理的な議論に提出するのは好ましくないな」
「あくまで、可能性を提示しただけですよ」
「ソレを言いだせば、あるいはこの世界が誰かの夢に過ぎないというコトだってありうる。どちらの世界にも多かれ少なかれ、影響力を持った夢だ」
「貴方がその夢の主かもしれませんね」
「もしくはキミかもしれんね」
「まあ、この類の話は嫌いではありませんよ。私たちの世界についてはかなりお詳しいですよね? バートランド・ラッセルは嫌いですが、ラッセルのティーポッドは好きです」
「エンドロールは私が流しておこうか?」
「いいえ、私が流しますよ」
「わかった、ソレではまた」
「お元気で。大統領」
この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物とのいかなる類似も必然の一致です。
「ソレこそ冗談じゃあない。我々にとってはいささか損失だ」
「全てが、例の機械のせいになったコトでですか?」
「その通りだ。もちろん誰を責めても始まる話じゃあない。“鍵”の記憶改竄と、“蜘蛛”が各国の国民に目撃された結果の、相乗効果の賜だからな。今のトコロは」
「裏で糸を引いていた者がいないかは、やっぱり調査されているんですね」
「とは言え、今回はそういう存在は可能性薄だと私ですら思うよ。いずれにせよ、アレをすぐには使いにくくなった」
「使う予定があったんですか?」
「いや、ない」
「キミは依然、“鍵”の効果に抵抗し続けるつもりかね?」
「ええ、そのつもりです」
「記憶改竄と言えば聞こえは悪いが、新たな視点、かつ有益な視点で皆が一丸となって協力できる世界が新生される効果でもある。何故ソコまで抵抗を続ける?」
「旅をした面々や、彼らの関係者たちが何をしたかは、誰にも知られません。良いんですか?」
「良いとは言わんが、そんなコトは世の中に数多あるだろう」
「その通りです。ですが、私が知った以上は、そして手を加えられる以上はそうはいかない」
「真面目だな」
「わざわざ自ら現場に赴かれる大統領には言われたくないですね」
「何故、此度の旅団から結成されるチームに『Tea Hound』と名付けた? キミの犬だからか?」
「“狩人(ハンター)”より“猟犬(ハウンド)”の方が先に獲物に到達するからですよ」
「では、やはりキミがハンターかね?」
「いいえ、ハンターは顧客の方々ですよ。私などはあくまで駄犬ですから。ハウンドの皆は違いますがね」
「ならば私などはさしずめハイエナかな?」
「ソレ、“私たち”に変更可能ですか?」
「ハウンドたちで、次はどうするのかね?」
「円卓の騎士たちを捜そうと思ってます」
「……聖杯の騎士かね?」
「ええ」
「キミも物好きだな。埃の積もった、誰も興味のないジジババをわざわざ異世界人を使って捜すのかね?」
「埃の積もったものが好きなのはお互い様でしょう? あの機械」
「まあ、確かに」
「話したいコトはコレぐらいかな。そうだ、最後に聞きたいコトがある」
「私にお答えできるコトとは思えませんが」
「ソレだ。どうもこの世界はおかしくないか?」
「何を今更ですよ」
「いや、そういう意味ではない。何故、キミらの世界と我々の世界の間には“歴史”に相関がある? 何故、キミらの世界で起きたコトがコチラで起こるのだ? 今回だってそうだ。キミらの世界で揉み茶が針のように形成されるようになる時代変化があり、そして我々の世界もそうなった」
「ソレなのですが、もしくは逆かもしれませんよ。この世界の歴史が我々の世界の歴史に影響しているのかもしれない。異世界間で、どちらが先でなければならないという因果関係の順行性は必須ではありませんし」
「我々の時間的認識と、異世界間での因果関係の順番は別だというコトか? 現時点で認識できないコトを論理的な議論に提出するのは好ましくないな」
「あくまで、可能性を提示しただけですよ」
「ソレを言いだせば、あるいはこの世界が誰かの夢に過ぎないというコトだってありうる。どちらの世界にも多かれ少なかれ、影響力を持った夢だ」
「貴方がその夢の主かもしれませんね」
「もしくはキミかもしれんね」
「まあ、この類の話は嫌いではありませんよ。私たちの世界についてはかなりお詳しいですよね? バートランド・ラッセルは嫌いですが、ラッセルのティーポッドは好きです」
「エンドロールは私が流しておこうか?」
「いいえ、私が流しますよ」
「わかった、ソレではまた」
「お元気で。大統領」
この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物とのいかなる類似も必然の一致です。
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