夜の動物園の異変 ~見えない来園者~

メイナ

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第2章

第6話『封印の正体』

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 夜の動物園は、昼間とはまるで別の場所のように静まり返っていた。

 シマウマたちは檻の奥で身を寄せ合い、ロイはじっと檻の隅に座っている。
 その目は暗闇の奥に向けられ、何かを待ち受けているかのようだった。

「……やっぱり、今夜も来る気がする。」

 えまが不安げに呟くと、透子はプレートを見つめながら頷いた。

「ロイが守ろうとしているのが、あの封印なら……"それ"は、確実に今夜動くはず。」

「……今夜は、ロイと一緒にあそこを見張らなきゃ。」

「えま、大丈夫? "それ"が現れたら……」

「……ロイが守ってくれます。きっと。」

 えまは、不安を押し隠しながらロイの背中を見つめた。


 ---

 ◆【“それ”の気配】

 ──深夜。

 空気が凍りつくような冷たさが、えまの肌を刺した。

「ザザ……ザザッ……」



「来た……」

 えまが顔を上げると、ロイがすでに立ち上がり、檻の奥を睨んでいた。

「えま、離れて。」

 透子がすぐにえまの手を引く。

「……グルルル……」



 ロイの唸り声が響き、檻の隅にあるプレートの上に立ちふさがるように低く身をかがめた。

「ザザ……ザザザ……」



 ──その瞬間だった。

 闇の中から、黒く揺らめく影が現れた。

「……あれが、“もう一つの影”……?」

 えまの目には、影の輪郭がぼんやりと見えていた。
 まるで煙のように歪みながら、少しずつプレートへと近づいていく。

「……ロイが阻止しなかったら、あの影がプレートを壊してたのかも……」

「……えま、ロイが飛びかかるわ。」


 ---

 ◆【ロイの攻防】

「ガルルル……!!」



 ロイが突然、影に向かって跳びかかった。

「バチィッ!!」



 衝撃音とともに、影がゆらめき、弾かれるように後退した。

「すごい……ロイ、やっぱり"それ"と戦ってる……」

「ロイ……大丈夫かな?」

 えまが声をかけると、ロイはわずかに振り向き、「グルル……」と低く喉を鳴らした。

「……大丈夫って言ってる?」

「ええ、でも油断はできないわ。まだ動いてる……!」


 ---

 ◆【封印の正体】

 影がゆらめきながら再びロイの檻に近づくと、その背後に別の気配が現れた。

「……あれは?」

 えまが檻の奥を指差す。

 影の奥、プレートのさらに先に、ぼんやりとした光が浮かんでいた。

「……何かが、封印の中にいる?」

 えまの胸が締め付けられるように痛んだ。

「……透子さん。"それ"は、あの光に引き寄せられてるんだ。」

「光……? あの封印の下に何かが……?」

 透子が懐中電灯を掲げ、光を照らした。

 ──そして、プレートの隙間から、小さな白い骨が見えた。

「これって……」

「……小さな動物の骨……?」

「ロイが守っていたのは、誰かの遺骨だったの?」


 ---

 ◆【“それ”の正体】

「……もしかして、“それ”は……」

 えまの言葉に、透子が息をのむ。

「……亡くなった仲間の霊?」

「でも……どうして?」

「……ロイの檻にあった"守護者の足跡"、あれは亡くなった仲間がロイに助けを求めてたんじゃない?」

「助けを……?」

「"それ"はきっと、仲間の魂……。何かが原因で、影の姿になってしまったのかもしれない。」

「……だとしたら……"それ"は敵じゃない?」

「でも……"それ"が近づいたせいで、シマウマがいなくなったり、ロイがずっと警戒してたんですよ?」

「……きっと、"それ"は何かを伝えたかったのよ。」


 ---

 ◆【“それ”が残したもの】

「……透子さん。」

 えまは、檻の奥にあるプレートをそっと撫でた。

「"それ"は、たぶんこの中に閉じ込められた自分の仲間を守りたかったのかも。」

「……ロイと同じく、守りたかった存在がいたのか……。」

 えまは、そっとプレートに耳を近づけた。

 ──その瞬間、かすかに声が聞こえた。

「……まもって……あげて……」



「……透子さん、今の……!」

「……うん。」

 えまは涙をこらえながら、震える声で言った。

「"それ"は、ただ仲間を守りたかったんだ。」


 ---

 ◆【翌朝】

「ロイ……もう大丈夫だよ。」

 えまが優しく声をかけると、ロイはようやく落ち着きを取り戻し、檻の奥で静かに横たわった。

「……ロイは、ずっと守ってたんだね。」

 ロイはゆっくり目を閉じた。

(……ありがとう。お疲れさま。)

 えまはロイの毛並みにそっと触れ、感謝の言葉を胸の中でつぶやいた。


 ---

 ◆【次回予告】

 第7話『帰るべき場所へ』
 ・ "それ"が封印されるまでの真相とは?
 ・ロイが守り続けた“仲間”の正体がついに明らかに!

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