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零章 始まりはドタバタで
迷走回廊1
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私は何故か真行和幸にとても興味を持ち、彼自身の身に起きたことを聞いてみた、彼の話はとても信じられない事の連続だった、此処からは彼の目線で話を語ろう、彼に起きた最初の出来事を.....
ここは何処だろう、俺は病院で手術をされていたハズだ。
「ここがどこかって? 天国よ」
えっ!? マジで!? ついに俺も死んだのか! しかし、本当に天国に来られるとは思わなかったな。
「正確には違うけどね。まあ、細かい事は気にしなくていいわ」
「そう...って、アンタ頭が...」
そう何気に会話をしていたが目の前の女の人は血まみれで立っていたのだ。
「あっ、ごめんなさい私も死んだばかりなのよ、それにしても三途の川はあったんですねぇ」
そう言うと彼女はニコッと笑った。
いやいやいや、笑ってる状況じゃないよね!?
「あの~、なんでそんな状態で笑っていられるんですか?」
「ああ、これですか? 私は死ねなかったんですよ」
はぁ!? 死んでないのにここにいるのか? どういう事だよ……。
「ふふっ、混乱してますね。まあ、簡単に言えば私の体はまだ生きていて魂だけがここに来たと言う感じですかね」
ますます意味がわからんぞ……。
「その顔は信じてませんね? それじゃあ、証拠を見せましょうか!」
すると女は突然ナイフを取り出し自分の腕を切りつけた。
おいおい、大丈夫なのか!? しかし、傷口からは一滴の血も出ておらず痛みを感じている様子もない。
「これで少しは信用してくれましたか?」
確かにこの光景を見たら信じるしかないな。
でも一体どうしてこんな事になったんだろう。
「さっきも言いましたが私は死ねなかったんですよ。私が死ぬ前に妹が事故にあってしまったのです」
それで妹の事が心配になって成仏出来なかったという訳か。
「いえ、私はただ単に死にたくなかったので現世に戻って蘇生されてる間に抜け出しただけです」
えっ!? つまり今現在、彼女の体は病院にあるままだと?
「はい、そうなりますね。そして私はまた戻るつもりです」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! それならどうやって抜け出すつもりなんだ!?」
まさか壁をすり抜けるみたいなことでも無いと思うが....
「大丈夫ですよォ、手首にある紐が勝手に短くなるから、それに時間的にもう無いみたい...じゃあね...」
彼女はことばを言い切ると空に消えていった
。
おいおい、嘘だろ!? まだ聞きたいこといっぱいあるんだけど!!…………。
結局どうすればいいんだよぉおおお!!!
―――――――。
――――。
――。
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪ さーて、次回の『何故かの』は?」
*****
(CM)
書籍版「何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの僕に声をかけてくるんだが?」好評発売中!!! 特典SSにはお風呂イベントもあるよ♪
って現実逃避して場合じゃない、辺りを見渡しここがどこか再確認をする、やはり此処は三途の川がある賽の河原らしい、なぜなら河原の端で石を積上げている幼子の姿が見えるからだ。
「うぅ……ぐすっ……うわぁあああん!!」
ヤバい! このままでは泣き出してしまうかもしれない。
仕方がない助けに行くとするか……。
俺は急いで駆け寄り話しかける事にした。
「ほら、泣かないでおじさんと一緒に向こうまで行こう」
近ずいて後悔した、コイツら幼子じゃない....いや正確に言うなら体は幼子でも顔は大人の顔だからだ....気持ち悪い...見たくも無い.....コイツら何なんだよ...
そうおもっていると突然後ろから肩を叩かれた。
「ねぇ、貴方も石積みをしているの?」
振り向くとそこには俺より少し年上ぐらいの女性がいた。
「えっと……いや……違うんですけど……」
俺は戸惑いながら答えると女性は笑顔で言った。
「あら、腐ったコイツらの同類かと思ったけど違うのね」
女性は、積み上げられた石積みを右脚で蹴り崩すと俺に向かって話し出した。
「まあいいわ、それより早く戻りなさいよ。そろそろ戻らないと危ないわよ」……戻る? 戻るってどういう事だろう……。
「ああ、説明がまだだったわね。実は私は三途の川を渡れなかった元人間なのよ、私の場合は罪の重さの期間は罰として鬼にされているの。」
三途の川を渡れない? って事はこいつらは全員死者なのか?
「えぇ、そういう事よ。ちなみに私は人を殺めたから50年間この河原にいる事になるわ。」
50年!? そんなにここにいたら体が持たないんじゃ……。
「大丈夫よ、私の体は既に死んでるからね。まあ、魂だけの存在だから食事や睡眠は必要ないけど」
それはそれで凄いな……。
「ところであなたは何故ここにいるのかしら? やっぱり誰かを殺したの?」
そうだ……忘れてた、俺は死んだんだった。
「はぁ……思い出したくない事を聞いたみたいね。ごめんなさい」
「い、いえ気にしないで下さい」
「わかったわ、あなたはコイツらみたいにクズでは無いみたいね。」
俺は再び気持ち悪いのを我慢し彼らを見る、しっかりと見ていて分かったことがある、彼らの幾人かはニュースで児童誘拐や虐待など問題になっている親たちに似ているのだ。
「まあ、コイツらがここに居る理由は大体想像がつくわ。恐らく自分勝手な理由で子供を捨てたり殺したりした奴らでしょうね。
でも、なんで貴方はこんな場所に来てしまったの?」
「えっ!? なんでって言われても分からないですよ。気がついたらここに居たんで……」
俺がそう答えると彼女は少し考え込んでから話し始めた。
「ふーん、そうなんだ……じゃあ、ここから出る方法を教えてあげる」
えっ!? 本当ですか!?」
「うん、簡単だよ。あの世に帰る為の門がそこにあるから、その門を潜れば現世に帰れるようになるから」
「わかりました、教えてくれてありがとうございます!」
「いえ、別に良いんだけど……本当に行くの?」
「はい! だって僕は生きて帰りたいですから。それに……」
「それに?」
「まだ死にたくありませんから……」
「……そう、なら頑張りなさい。じゃあね」
「あっ、待ってください。最後に名前を聞かせてください!」
「名前?私は……うーん……どうしようかな……」
彼女は何か悩んでいるようだが、少しすると決心したように答えてくれた。
「よし決めた、私が帰る時は【美緒】って名乗る事にするわ。」
「美緒さんですね分かりました。それではさようなら」
俺は彼女に別れを告げると門に向かい歩き始めた。
「……ねぇ、ちょっと待ちなさいよ」
「はい? どうかしましたか?」
「いや、なんか変な事になってゴメンね……それとありがとう」
「はい! 僕も助けて頂きありがとうございました! 」
「フッ、面白い子ね。また会いましょう」
俺は彼女のことばを聞き終えると門の方に向き直り歩き出した。そして門の前に着くと門を見上げた、そこには古びた鳥居のような絵が描かれている。
「ここを通ればいいのか……でも、これどうやって開けるんだろう……」
俺はそう思いながら扉を触ろうとしたその時、突然、背後から声をかけられた。
「おい、お前どこに行くつもりだ?」
俺は驚いて振り返るとそこには大きな白い虎がいた。
「えっと……何処って……現世に帰ろうと思ってますけど……」
「嘘をつくな、貴様からは邪悪な気配を感じる。ここで何をするつもりだ!!」
「邪悪!? 何もする気なんて無いですよ!! ただ……ただ、生き返らせて欲しいだけです!」
「ほう、蘇生か……だが、無理だ諦めろ。貴様には資格が無い」
「そ、そんな……お願いします……せめて……もう一度だけでも……母に会いたいんです……」
俺が涙ながらに頼むと白虎は驚いた表情を浮かべて言った。
「なんだと……まさか……この世界に来る前の記憶があるのか?」
「はい……覚えています……」
「なるほど、そういうことか……しかし残念だったな。この世界で死んだ者は二度と戻れない決まりになっている」
「そんな……そんな……嫌だ……嫌だよぉ……」
「……まあ、安心しろ。ここに来たと言う事は死んだという事だろう? ならば、このまま輪廻の輪に戻してやろう」
「えっ!? それはどういう事ですか?」
「そのままの意味だ、お前はもう死んいる。だから元の体に魂を戻すことは出来ん」
「そんな……」
俺は目の前が真っ暗になった。
「……まだ、俺は死んでいないよ手術中なんだよ! 医者はまだ生きていると言っている。だから……俺は……まだ……死ぬわけにはいかないんだぁあああ!!!」
俺は叫びながら必死に扉を叩いた。何度も、何度も叩いているうちに手が痛くなり感覚が無くなってきた。それでも俺は叩き続けた。
それからどのくらい時間が経っただろうか……いつの間にか俺は地面に倒れていた。
「ハァ、ハア……ダメなのか……」
俺はそう呟くと門から離れて座り込んだ。
「ちくしょう……せっかくここまで来たのに……無駄足だったのか?」
俺は立ち上がり再び門の方に向かうと扉を開けようとした。
「やっぱり開かない……どうして……どうしてだよ……」
俺はその場に崩れ落ち涙を流した。しばらく泣いていたがふと我に返り辺りを見回してみた。
(ここは一体どこなんだろう?)
周りを見てみると建物がいくつかあるが、殆どがボロボロになっており廃墟のようになっていた。そして俺がいる場所の近くにある建物が少しだけ綺麗だったので近づいてみることにした。建物の前まで行くと入り口が有ったので恐る恐る中に入っていく。すると、そこにはたくさんの人がいて三途の川向こう岸、死後の世界との連絡や手続きをするところのようだ。
「どうしたの? 何か困っているのかい?」
突然、後ろから話しかけられ振り向くとそこには優しそうな老婆が立っていた。
「あの……実は……生きているのにみんな死んでいるというんですよ。」
俺がこんな風に言うと男はとても残念なものを見ているような顔つきになり
話し始めた。
「……君、頭大丈夫? ここには死者しかいないんだよ。だから生きている人が来るはずがないんだ。」
「いや、確かに俺はここに来ましたよ!」
「はっ!? そんな馬鹿な事がある訳ないだろ! いい加減なことを言うんじゃねえよ」
「本当なんですって! 俺は本当にこっちに来てしまったんです! 信じてくださいよ」
「チッ、うるさいガキだな! 分かったよ! それじゃあ証拠を見せてみな」
男は面倒くさそうに言い放った。俺は証拠を見せようとポケットを探ったが何も入っていなかった。
「すみません……何にも持ってなかったです……」
「はぁ~、使えねぇな。仕方無い、ついてこい」
「えっ!? どこに連れて行くんですか?」
「冥府役所だよ、そこでなら身元の確認が出来るはずだ」
「分かりました。よろしくお願いします!」
俺はそう言って男の後に付いて行った。そして、数分歩くと大きな建物が見えてきた。その建物は古びた感じだったがかなり大きく、入口の上には【冥府役所】と書かれている看板があった。
「ここが冥府役所だ。さあ、入るぞ」
そう言われて中に入ると、そこには大勢の人達がいた。皆、不安そうな顔をしている。俺は受付まで歩いて行き、そこに居た男性に声をかけた。
「すいませーん。ちょっと聞きたいことがあるのですが……」
「はい、どのようなご用件でしょうか?」
「えっと……俺が生きているかどうか確認したいんですけど……」
「それでしたらこちらに来ていただいてよろしいですか?」
「はい、わかりました」
そう言われると奥にある部屋に連れて行かれる。そこは真っ白の部屋で机が1つだけ置いてあり、その上にパソコンが置いてあった。「では、この椅子に座ってください。すぐに結果が出ますからね」
「は、はい」
そう言うと男性は部屋の外に出ていき、一人になった。
「これで何も出なければ、この世界は本当の事って事になるのか……」
俺はそう呟きながら椅子に座ると、機械が起動する音が聞こえ、画面に文字が浮かんできた。
『ようこそ、この世界へ』
「うわぁ!! びっくりした……これ、なんて書いてあるんだろう……」
俺は不思議に思い画面をよく見てみると、そこには【ようこそ】と書かれていた。「なんだよこれ……どういう事なんだ?」
俺は意味がわからず戸惑っていた。すると、部屋の中に先ほどの男性が入って来て説明を始めた。
「お待たせしました。結果はでていますよね?」
「あっ、はい。えっ!? どういう事ですか?」
「生きたまま来られる方が少ないので歓迎をしようと思いまして」
「やっぱり生きてたんですね!?」
「はい、ちゃんと表示されていますよ」
「よかった……ありがとうございます」
俺は嬉しくて涙が溢れ出てきた。
「いえ、これも仕事なので気にしないで下さい。それにしても貴方は珍しいケースですよ」
「そうなんですか?」
「はい、普通は死んだ人しか来られないんですよ」
「そうなんですか……でも、どうやって証明すれば良いんでしょう?」
「簡単ですよ。自分の名前を言えば良いだけです」
「そうか……それなら楽勝だな」
「では、早速やってみましょうか」
そう言うと、パソコンを操作し始めた。
「名前は?」
「真行和幸」
「性別は?」
「男」
「年齢は?」
「16歳」
「住所は?」
「日本・東京都○○区△番地」
「家族構成は?」
「父、母、妹の4人」
「職業は?」
「学生」
「死因は無く、生命健在ですね」
「はい、間違いありません」
「それでは、こちらに記入していただきます」
そう言って、紙を渡されたので名前、年齢、性別などを書き込んでいく。書き終わると書類を渡されて、それをまたパソコンで入力すると、今度はカードが出てきた。「それが身分証になりますので大切に保管してください」
「分かりました。ありがとうございました」
俺はお礼を言うと外に出た。
「ふぅ~、なんとか帰れそうだな」
俺は安心したせいか急に眠気が襲ってきた。そして、意識が遠退いて行った。
こうして俺の死後の世界での冒険?がはじまったのであった。
ここは何処だろう、俺は病院で手術をされていたハズだ。
「ここがどこかって? 天国よ」
えっ!? マジで!? ついに俺も死んだのか! しかし、本当に天国に来られるとは思わなかったな。
「正確には違うけどね。まあ、細かい事は気にしなくていいわ」
「そう...って、アンタ頭が...」
そう何気に会話をしていたが目の前の女の人は血まみれで立っていたのだ。
「あっ、ごめんなさい私も死んだばかりなのよ、それにしても三途の川はあったんですねぇ」
そう言うと彼女はニコッと笑った。
いやいやいや、笑ってる状況じゃないよね!?
「あの~、なんでそんな状態で笑っていられるんですか?」
「ああ、これですか? 私は死ねなかったんですよ」
はぁ!? 死んでないのにここにいるのか? どういう事だよ……。
「ふふっ、混乱してますね。まあ、簡単に言えば私の体はまだ生きていて魂だけがここに来たと言う感じですかね」
ますます意味がわからんぞ……。
「その顔は信じてませんね? それじゃあ、証拠を見せましょうか!」
すると女は突然ナイフを取り出し自分の腕を切りつけた。
おいおい、大丈夫なのか!? しかし、傷口からは一滴の血も出ておらず痛みを感じている様子もない。
「これで少しは信用してくれましたか?」
確かにこの光景を見たら信じるしかないな。
でも一体どうしてこんな事になったんだろう。
「さっきも言いましたが私は死ねなかったんですよ。私が死ぬ前に妹が事故にあってしまったのです」
それで妹の事が心配になって成仏出来なかったという訳か。
「いえ、私はただ単に死にたくなかったので現世に戻って蘇生されてる間に抜け出しただけです」
えっ!? つまり今現在、彼女の体は病院にあるままだと?
「はい、そうなりますね。そして私はまた戻るつもりです」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! それならどうやって抜け出すつもりなんだ!?」
まさか壁をすり抜けるみたいなことでも無いと思うが....
「大丈夫ですよォ、手首にある紐が勝手に短くなるから、それに時間的にもう無いみたい...じゃあね...」
彼女はことばを言い切ると空に消えていった
。
おいおい、嘘だろ!? まだ聞きたいこといっぱいあるんだけど!!…………。
結局どうすればいいんだよぉおおお!!!
―――――――。
――――。
――。
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪ さーて、次回の『何故かの』は?」
*****
(CM)
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って現実逃避して場合じゃない、辺りを見渡しここがどこか再確認をする、やはり此処は三途の川がある賽の河原らしい、なぜなら河原の端で石を積上げている幼子の姿が見えるからだ。
「うぅ……ぐすっ……うわぁあああん!!」
ヤバい! このままでは泣き出してしまうかもしれない。
仕方がない助けに行くとするか……。
俺は急いで駆け寄り話しかける事にした。
「ほら、泣かないでおじさんと一緒に向こうまで行こう」
近ずいて後悔した、コイツら幼子じゃない....いや正確に言うなら体は幼子でも顔は大人の顔だからだ....気持ち悪い...見たくも無い.....コイツら何なんだよ...
そうおもっていると突然後ろから肩を叩かれた。
「ねぇ、貴方も石積みをしているの?」
振り向くとそこには俺より少し年上ぐらいの女性がいた。
「えっと……いや……違うんですけど……」
俺は戸惑いながら答えると女性は笑顔で言った。
「あら、腐ったコイツらの同類かと思ったけど違うのね」
女性は、積み上げられた石積みを右脚で蹴り崩すと俺に向かって話し出した。
「まあいいわ、それより早く戻りなさいよ。そろそろ戻らないと危ないわよ」……戻る? 戻るってどういう事だろう……。
「ああ、説明がまだだったわね。実は私は三途の川を渡れなかった元人間なのよ、私の場合は罪の重さの期間は罰として鬼にされているの。」
三途の川を渡れない? って事はこいつらは全員死者なのか?
「えぇ、そういう事よ。ちなみに私は人を殺めたから50年間この河原にいる事になるわ。」
50年!? そんなにここにいたら体が持たないんじゃ……。
「大丈夫よ、私の体は既に死んでるからね。まあ、魂だけの存在だから食事や睡眠は必要ないけど」
それはそれで凄いな……。
「ところであなたは何故ここにいるのかしら? やっぱり誰かを殺したの?」
そうだ……忘れてた、俺は死んだんだった。
「はぁ……思い出したくない事を聞いたみたいね。ごめんなさい」
「い、いえ気にしないで下さい」
「わかったわ、あなたはコイツらみたいにクズでは無いみたいね。」
俺は再び気持ち悪いのを我慢し彼らを見る、しっかりと見ていて分かったことがある、彼らの幾人かはニュースで児童誘拐や虐待など問題になっている親たちに似ているのだ。
「まあ、コイツらがここに居る理由は大体想像がつくわ。恐らく自分勝手な理由で子供を捨てたり殺したりした奴らでしょうね。
でも、なんで貴方はこんな場所に来てしまったの?」
「えっ!? なんでって言われても分からないですよ。気がついたらここに居たんで……」
俺がそう答えると彼女は少し考え込んでから話し始めた。
「ふーん、そうなんだ……じゃあ、ここから出る方法を教えてあげる」
えっ!? 本当ですか!?」
「うん、簡単だよ。あの世に帰る為の門がそこにあるから、その門を潜れば現世に帰れるようになるから」
「わかりました、教えてくれてありがとうございます!」
「いえ、別に良いんだけど……本当に行くの?」
「はい! だって僕は生きて帰りたいですから。それに……」
「それに?」
「まだ死にたくありませんから……」
「……そう、なら頑張りなさい。じゃあね」
「あっ、待ってください。最後に名前を聞かせてください!」
「名前?私は……うーん……どうしようかな……」
彼女は何か悩んでいるようだが、少しすると決心したように答えてくれた。
「よし決めた、私が帰る時は【美緒】って名乗る事にするわ。」
「美緒さんですね分かりました。それではさようなら」
俺は彼女に別れを告げると門に向かい歩き始めた。
「……ねぇ、ちょっと待ちなさいよ」
「はい? どうかしましたか?」
「いや、なんか変な事になってゴメンね……それとありがとう」
「はい! 僕も助けて頂きありがとうございました! 」
「フッ、面白い子ね。また会いましょう」
俺は彼女のことばを聞き終えると門の方に向き直り歩き出した。そして門の前に着くと門を見上げた、そこには古びた鳥居のような絵が描かれている。
「ここを通ればいいのか……でも、これどうやって開けるんだろう……」
俺はそう思いながら扉を触ろうとしたその時、突然、背後から声をかけられた。
「おい、お前どこに行くつもりだ?」
俺は驚いて振り返るとそこには大きな白い虎がいた。
「えっと……何処って……現世に帰ろうと思ってますけど……」
「嘘をつくな、貴様からは邪悪な気配を感じる。ここで何をするつもりだ!!」
「邪悪!? 何もする気なんて無いですよ!! ただ……ただ、生き返らせて欲しいだけです!」
「ほう、蘇生か……だが、無理だ諦めろ。貴様には資格が無い」
「そ、そんな……お願いします……せめて……もう一度だけでも……母に会いたいんです……」
俺が涙ながらに頼むと白虎は驚いた表情を浮かべて言った。
「なんだと……まさか……この世界に来る前の記憶があるのか?」
「はい……覚えています……」
「なるほど、そういうことか……しかし残念だったな。この世界で死んだ者は二度と戻れない決まりになっている」
「そんな……そんな……嫌だ……嫌だよぉ……」
「……まあ、安心しろ。ここに来たと言う事は死んだという事だろう? ならば、このまま輪廻の輪に戻してやろう」
「えっ!? それはどういう事ですか?」
「そのままの意味だ、お前はもう死んいる。だから元の体に魂を戻すことは出来ん」
「そんな……」
俺は目の前が真っ暗になった。
「……まだ、俺は死んでいないよ手術中なんだよ! 医者はまだ生きていると言っている。だから……俺は……まだ……死ぬわけにはいかないんだぁあああ!!!」
俺は叫びながら必死に扉を叩いた。何度も、何度も叩いているうちに手が痛くなり感覚が無くなってきた。それでも俺は叩き続けた。
それからどのくらい時間が経っただろうか……いつの間にか俺は地面に倒れていた。
「ハァ、ハア……ダメなのか……」
俺はそう呟くと門から離れて座り込んだ。
「ちくしょう……せっかくここまで来たのに……無駄足だったのか?」
俺は立ち上がり再び門の方に向かうと扉を開けようとした。
「やっぱり開かない……どうして……どうしてだよ……」
俺はその場に崩れ落ち涙を流した。しばらく泣いていたがふと我に返り辺りを見回してみた。
(ここは一体どこなんだろう?)
周りを見てみると建物がいくつかあるが、殆どがボロボロになっており廃墟のようになっていた。そして俺がいる場所の近くにある建物が少しだけ綺麗だったので近づいてみることにした。建物の前まで行くと入り口が有ったので恐る恐る中に入っていく。すると、そこにはたくさんの人がいて三途の川向こう岸、死後の世界との連絡や手続きをするところのようだ。
「どうしたの? 何か困っているのかい?」
突然、後ろから話しかけられ振り向くとそこには優しそうな老婆が立っていた。
「あの……実は……生きているのにみんな死んでいるというんですよ。」
俺がこんな風に言うと男はとても残念なものを見ているような顔つきになり
話し始めた。
「……君、頭大丈夫? ここには死者しかいないんだよ。だから生きている人が来るはずがないんだ。」
「いや、確かに俺はここに来ましたよ!」
「はっ!? そんな馬鹿な事がある訳ないだろ! いい加減なことを言うんじゃねえよ」
「本当なんですって! 俺は本当にこっちに来てしまったんです! 信じてくださいよ」
「チッ、うるさいガキだな! 分かったよ! それじゃあ証拠を見せてみな」
男は面倒くさそうに言い放った。俺は証拠を見せようとポケットを探ったが何も入っていなかった。
「すみません……何にも持ってなかったです……」
「はぁ~、使えねぇな。仕方無い、ついてこい」
「えっ!? どこに連れて行くんですか?」
「冥府役所だよ、そこでなら身元の確認が出来るはずだ」
「分かりました。よろしくお願いします!」
俺はそう言って男の後に付いて行った。そして、数分歩くと大きな建物が見えてきた。その建物は古びた感じだったがかなり大きく、入口の上には【冥府役所】と書かれている看板があった。
「ここが冥府役所だ。さあ、入るぞ」
そう言われて中に入ると、そこには大勢の人達がいた。皆、不安そうな顔をしている。俺は受付まで歩いて行き、そこに居た男性に声をかけた。
「すいませーん。ちょっと聞きたいことがあるのですが……」
「はい、どのようなご用件でしょうか?」
「えっと……俺が生きているかどうか確認したいんですけど……」
「それでしたらこちらに来ていただいてよろしいですか?」
「はい、わかりました」
そう言われると奥にある部屋に連れて行かれる。そこは真っ白の部屋で机が1つだけ置いてあり、その上にパソコンが置いてあった。「では、この椅子に座ってください。すぐに結果が出ますからね」
「は、はい」
そう言うと男性は部屋の外に出ていき、一人になった。
「これで何も出なければ、この世界は本当の事って事になるのか……」
俺はそう呟きながら椅子に座ると、機械が起動する音が聞こえ、画面に文字が浮かんできた。
『ようこそ、この世界へ』
「うわぁ!! びっくりした……これ、なんて書いてあるんだろう……」
俺は不思議に思い画面をよく見てみると、そこには【ようこそ】と書かれていた。「なんだよこれ……どういう事なんだ?」
俺は意味がわからず戸惑っていた。すると、部屋の中に先ほどの男性が入って来て説明を始めた。
「お待たせしました。結果はでていますよね?」
「あっ、はい。えっ!? どういう事ですか?」
「生きたまま来られる方が少ないので歓迎をしようと思いまして」
「やっぱり生きてたんですね!?」
「はい、ちゃんと表示されていますよ」
「よかった……ありがとうございます」
俺は嬉しくて涙が溢れ出てきた。
「いえ、これも仕事なので気にしないで下さい。それにしても貴方は珍しいケースですよ」
「そうなんですか?」
「はい、普通は死んだ人しか来られないんですよ」
「そうなんですか……でも、どうやって証明すれば良いんでしょう?」
「簡単ですよ。自分の名前を言えば良いだけです」
「そうか……それなら楽勝だな」
「では、早速やってみましょうか」
そう言うと、パソコンを操作し始めた。
「名前は?」
「真行和幸」
「性別は?」
「男」
「年齢は?」
「16歳」
「住所は?」
「日本・東京都○○区△番地」
「家族構成は?」
「父、母、妹の4人」
「職業は?」
「学生」
「死因は無く、生命健在ですね」
「はい、間違いありません」
「それでは、こちらに記入していただきます」
そう言って、紙を渡されたので名前、年齢、性別などを書き込んでいく。書き終わると書類を渡されて、それをまたパソコンで入力すると、今度はカードが出てきた。「それが身分証になりますので大切に保管してください」
「分かりました。ありがとうございました」
俺はお礼を言うと外に出た。
「ふぅ~、なんとか帰れそうだな」
俺は安心したせいか急に眠気が襲ってきた。そして、意識が遠退いて行った。
こうして俺の死後の世界での冒険?がはじまったのであった。
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