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第1話 荒野の町のミートソースパスタ
第1話 荒野の町のミートソースパスタ 05
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「さて、それじゃあぼちぼち行くか」
「はい」
物陰から出たレンタロウとサヤカは正門ではなく、その丁度真逆の方向に位置する金網の前へとやって来た。
「はあ……いつもなら門をブチ破って突撃するのに、こんなコソコソ泥棒みたいなことしないといけないとはな」
「むしろこっちが正しい潜入で、いつもの方がおかしいんですよ。ほら、クリッパー出して。金網切りますよ」
「へいへい」
レンタロウはマテリアルデータを読み込み、ボルトクリッパーを手にしてから、サヤカと共に金網を切って侵入路を確保する。
「金網って結構固いですね……ふぅ……」
「キツイなら休んどけ。俺が切るから」
「フブキさん、優しいですね?」
「バカ、そんなんじゃねぇ。侵入してからへばられる方が迷惑だからだ」
「フフッそうですか……でも大丈夫ですよ。まだ頑張れます」
「そうか」
しばらく金網を切り続け、最後の網目を切った途端、切れた部分が落ちて地面にへたり込んだので、二人はそれを退かし、基地局の内部へと侵入した。
「管理棟の裏口は……こっちか」
「フブキさんちょっと待ってください」
レンタロウはヒタチから送られた地図データを見て道を確認していると、サヤカが突然引き留めてきた。
「どうした?」
「ここからなんですけど、データを手に入れる方と爆弾を仕掛ける方の二手に分かれて行動した方が良くないですか?」
「ああ――確かにそうだな。じゃあ俺が管理室に行くから、お前は機関室の方に行って、爆弾を仕掛けてもらってもいいか?」
「了解です!」
「じゃあ爆弾のマテリアルデータと地図のコピーを渡しておくな」
レンタロウはナノデジのローカル通信機能を使い、プラスチック爆弾のマテリアルデータと地図データのコピーをサヤカへ送った。
「爆弾を仕掛けたら建物から離脱して、最初に待機してた場所に居てくれ」
「分かりました」
「もし敵に囲まれたりしたら、すぐにSOSシグナルを出せよ」
「そんなヘマはしませんよ。ワタシだって多少は場数を踏んでるんですから」
「どうだかな……まあとにかく、そっちは任せたからな」
「はい!」
それから二人は二手に分かれ、レンタロウはパラボラアンテナの方へと向かって行くサヤカをしばらく見送った後、管理棟の裏口へと向かった。
裏口には無骨な鉄の扉が一枚と監視カメラが備え付けられており、そのまま入れば警報システムが作動する仕組みとなっていたが、しかしこの程度の警備の突破は、レンタロウにとって容易なものだった。
「それじゃ、おじゃましま~すっと」
レンタロウはマスキンググレネードのマテリアルデータを読み込み、実体化させると、ピンを抜いて監視カメラのある方向へと投げる。しばらく空を舞ったグレネードは地面に落下すると爆発し、同時に強力なジャミング電波を周囲に発して、監視カメラの機能をダウンさせてしまった。
鉄の扉に関してもその堅固な見た目とは裏腹に、レンタロウがピッキングプログラムを使うとあっさりと開いてしまい、管理棟内部への侵入はつつがなしく成功してしまった。
管理棟の中は非常灯のみが光る薄暗い空間となっており、幸い警備兵は居なかったので、鉄の扉を閉めてから先へ進んで行くと――
「ん? この匂いは……」
レンタロウはふと足を止める。そこは食堂の前だった。
「これは……昼食ったあのパスタと同じ匂いか」
昼間にサヤカと食べた、カラカラ牛とヒアガリトマトのミートソースパスタ。それと全く同じ残り香がこの食堂には漂っていた。
「飯ってのはいつでも中立だな。敵も味方も、平等に腹を満たしてくれる……」
そうポツリと呟き、レンタロウは先を急いだ。
一階では特に誰とも出くわす事も無く、二階への階段を上がり、廊下をしばらく歩くと、管理室と表記された扉が見えたので、レンタロウは静かに扉を開き、内部へと潜入した。
「これが管理室か……アンテナの破壊工作なら何度かやったが、管理室に入るのは初めてだ」
管理室の内部には所狭しとコンピュータやサーバーなどの精密機器が並んでおり、そのどれもがピカピカと、まるで夜空に浮かぶ星々のようにランプを点滅させ、正面には3面のモニターが備えられており、周波数などの電波の状況を標示している物もあれば、監視カメラの映像が流れているモニターもあった。
「はい」
物陰から出たレンタロウとサヤカは正門ではなく、その丁度真逆の方向に位置する金網の前へとやって来た。
「はあ……いつもなら門をブチ破って突撃するのに、こんなコソコソ泥棒みたいなことしないといけないとはな」
「むしろこっちが正しい潜入で、いつもの方がおかしいんですよ。ほら、クリッパー出して。金網切りますよ」
「へいへい」
レンタロウはマテリアルデータを読み込み、ボルトクリッパーを手にしてから、サヤカと共に金網を切って侵入路を確保する。
「金網って結構固いですね……ふぅ……」
「キツイなら休んどけ。俺が切るから」
「フブキさん、優しいですね?」
「バカ、そんなんじゃねぇ。侵入してからへばられる方が迷惑だからだ」
「フフッそうですか……でも大丈夫ですよ。まだ頑張れます」
「そうか」
しばらく金網を切り続け、最後の網目を切った途端、切れた部分が落ちて地面にへたり込んだので、二人はそれを退かし、基地局の内部へと侵入した。
「管理棟の裏口は……こっちか」
「フブキさんちょっと待ってください」
レンタロウはヒタチから送られた地図データを見て道を確認していると、サヤカが突然引き留めてきた。
「どうした?」
「ここからなんですけど、データを手に入れる方と爆弾を仕掛ける方の二手に分かれて行動した方が良くないですか?」
「ああ――確かにそうだな。じゃあ俺が管理室に行くから、お前は機関室の方に行って、爆弾を仕掛けてもらってもいいか?」
「了解です!」
「じゃあ爆弾のマテリアルデータと地図のコピーを渡しておくな」
レンタロウはナノデジのローカル通信機能を使い、プラスチック爆弾のマテリアルデータと地図データのコピーをサヤカへ送った。
「爆弾を仕掛けたら建物から離脱して、最初に待機してた場所に居てくれ」
「分かりました」
「もし敵に囲まれたりしたら、すぐにSOSシグナルを出せよ」
「そんなヘマはしませんよ。ワタシだって多少は場数を踏んでるんですから」
「どうだかな……まあとにかく、そっちは任せたからな」
「はい!」
それから二人は二手に分かれ、レンタロウはパラボラアンテナの方へと向かって行くサヤカをしばらく見送った後、管理棟の裏口へと向かった。
裏口には無骨な鉄の扉が一枚と監視カメラが備え付けられており、そのまま入れば警報システムが作動する仕組みとなっていたが、しかしこの程度の警備の突破は、レンタロウにとって容易なものだった。
「それじゃ、おじゃましま~すっと」
レンタロウはマスキンググレネードのマテリアルデータを読み込み、実体化させると、ピンを抜いて監視カメラのある方向へと投げる。しばらく空を舞ったグレネードは地面に落下すると爆発し、同時に強力なジャミング電波を周囲に発して、監視カメラの機能をダウンさせてしまった。
鉄の扉に関してもその堅固な見た目とは裏腹に、レンタロウがピッキングプログラムを使うとあっさりと開いてしまい、管理棟内部への侵入はつつがなしく成功してしまった。
管理棟の中は非常灯のみが光る薄暗い空間となっており、幸い警備兵は居なかったので、鉄の扉を閉めてから先へ進んで行くと――
「ん? この匂いは……」
レンタロウはふと足を止める。そこは食堂の前だった。
「これは……昼食ったあのパスタと同じ匂いか」
昼間にサヤカと食べた、カラカラ牛とヒアガリトマトのミートソースパスタ。それと全く同じ残り香がこの食堂には漂っていた。
「飯ってのはいつでも中立だな。敵も味方も、平等に腹を満たしてくれる……」
そうポツリと呟き、レンタロウは先を急いだ。
一階では特に誰とも出くわす事も無く、二階への階段を上がり、廊下をしばらく歩くと、管理室と表記された扉が見えたので、レンタロウは静かに扉を開き、内部へと潜入した。
「これが管理室か……アンテナの破壊工作なら何度かやったが、管理室に入るのは初めてだ」
管理室の内部には所狭しとコンピュータやサーバーなどの精密機器が並んでおり、そのどれもがピカピカと、まるで夜空に浮かぶ星々のようにランプを点滅させ、正面には3面のモニターが備えられており、周波数などの電波の状況を標示している物もあれば、監視カメラの映像が流れているモニターもあった。
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