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第2話 鉄鋼街のコロッケパン
第2話 鉄鋼街のコロッケパン 01
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「ああ……ああ……ニイチャンこりゃひでぇわ。よっぽどコキ使ったんだな」
1300ccバイクから取り外したエンジンユニットを見て、白髭を生やし、オーバーオールの作業着姿をした老人の修理工が、バイクを憐れむようにしてそう言った。
バイクは荒野を抜けてしばらくは走り続けていたのだが、突如エンジンがストップし、エンジンを掛け直しても動かず、エンジンユニットの中を覗いてみても、レンタロウやサヤカのような素人目では故障個所すら見つけられず、とても自分達で修理などしようが無かった。
そこで二人はどうにかバイクを押して、近くにあった街の、この修理屋までバイクを運び込んだのだった。
「それで……直りそうなのか?」
レンタロウが老人の修理工に問うと、しばらく唸りながらオーバーホールした各パーツに目を通し、修理工は結論付けた。
「ワシなら直せる」
「おおっ!」
「ただし時間がいるのぅ」
「時間ってどれくらい掛かるんだ? 俺達あんまり長居をするつもりは無いんだが」
「まあざっと10日ってとこか。これでも早い方よ」
「10日か……まあ仕方ねぇか」
レンタロウは渋い顔をしながらも、自分ではどうする事も出来なかったので納得したが、しかし本音を言うと、レンタロウはもっと早くこの街を出たかった。
というのも、このハチマンシティという街は別名メカトピアの鉄工所と呼ばれており、メカトピア帝国で使われる金属加工品の半分以上はここから輸出されている物を使っている。
そのため、メカトピアにとってもこの街は重要な拠点であるので、ここには巨大な帝国軍の在留基地が築かれており、第47基地局の破壊工作のほとぼりが冷めていない今、そんな場所に居ること事態がレンタロウ達にとってリスクだったのだ。
「それでマフじいさん、修理代はいくらになるんだ?」
「んん? そうさなぁ~……」
レンタロウがマフと呼ぶ老人の修理工は、しばらく「う~ん」という唸り声を出しながら、ナノデジの計算機能を使って見積もりを出した。
「ざっと300万リョウってとこじゃな」
「オイジジイ、ぼったくりも大概にしろよ。ゼロが一つ多いだろ」
「30万って、そっちこそ寝惚けとりゃせんかモジャモジャ頭!」
「モジャッ!?」
レンタロウはマフの鋭い返しに動揺するが、マフは更に畳み掛けるように続ける。
「バイオ燃料やらなんやらが主流のこの御時世に、ガソリンエンジンなんて贅沢品積んどるお前が悪いんじゃ! パーツどころか修理ユニットすら希少なのに、300万で済んどるんだからむしろありがたく思わんかっ!」
「グッ……」
ぐうの音も言えないとはまさにこの事。今やガソリンなどの石油燃料は工業用としてのみ流通しており、一般の流通はしていない。という事は必然的にガソリンエンジンも流通しておらず、その維持費や修理費が高くつくのは当たり前の事だった。
レンタロウもそれを重々承知の上で、それでも敢えてガソリンエンジンを好んで使っていたのだ。
「チッ……しゃーないか。しばらく節約すりゃあなんとかなるだろ」
「なんじゃお前、金が無いんか?」
苦渋の決断を下すレンタロウを見て、マフは尋ねた。
「別に修理代を払う金はある。ただその後が少し厳しいってだけだ」
「なるほどな――ならちょっと、頼まれごとをしてくれんか? どうせ修理が終わるまで暇じゃろ?」
「暇って……まあ暇だが」
「じゃあちと待っとれ」
するとマフはレンタロウをその場に待たせて、一人作業場の奥の扉を開き、その先にあった階段を上って行った。
レンタロウは待っている間暇だったので、作業場をぐるぐる回っていると、作業場の机に二枚の写真が額縁に入って飾られているのが目に入った。
1300ccバイクから取り外したエンジンユニットを見て、白髭を生やし、オーバーオールの作業着姿をした老人の修理工が、バイクを憐れむようにしてそう言った。
バイクは荒野を抜けてしばらくは走り続けていたのだが、突如エンジンがストップし、エンジンを掛け直しても動かず、エンジンユニットの中を覗いてみても、レンタロウやサヤカのような素人目では故障個所すら見つけられず、とても自分達で修理などしようが無かった。
そこで二人はどうにかバイクを押して、近くにあった街の、この修理屋までバイクを運び込んだのだった。
「それで……直りそうなのか?」
レンタロウが老人の修理工に問うと、しばらく唸りながらオーバーホールした各パーツに目を通し、修理工は結論付けた。
「ワシなら直せる」
「おおっ!」
「ただし時間がいるのぅ」
「時間ってどれくらい掛かるんだ? 俺達あんまり長居をするつもりは無いんだが」
「まあざっと10日ってとこか。これでも早い方よ」
「10日か……まあ仕方ねぇか」
レンタロウは渋い顔をしながらも、自分ではどうする事も出来なかったので納得したが、しかし本音を言うと、レンタロウはもっと早くこの街を出たかった。
というのも、このハチマンシティという街は別名メカトピアの鉄工所と呼ばれており、メカトピア帝国で使われる金属加工品の半分以上はここから輸出されている物を使っている。
そのため、メカトピアにとってもこの街は重要な拠点であるので、ここには巨大な帝国軍の在留基地が築かれており、第47基地局の破壊工作のほとぼりが冷めていない今、そんな場所に居ること事態がレンタロウ達にとってリスクだったのだ。
「それでマフじいさん、修理代はいくらになるんだ?」
「んん? そうさなぁ~……」
レンタロウがマフと呼ぶ老人の修理工は、しばらく「う~ん」という唸り声を出しながら、ナノデジの計算機能を使って見積もりを出した。
「ざっと300万リョウってとこじゃな」
「オイジジイ、ぼったくりも大概にしろよ。ゼロが一つ多いだろ」
「30万って、そっちこそ寝惚けとりゃせんかモジャモジャ頭!」
「モジャッ!?」
レンタロウはマフの鋭い返しに動揺するが、マフは更に畳み掛けるように続ける。
「バイオ燃料やらなんやらが主流のこの御時世に、ガソリンエンジンなんて贅沢品積んどるお前が悪いんじゃ! パーツどころか修理ユニットすら希少なのに、300万で済んどるんだからむしろありがたく思わんかっ!」
「グッ……」
ぐうの音も言えないとはまさにこの事。今やガソリンなどの石油燃料は工業用としてのみ流通しており、一般の流通はしていない。という事は必然的にガソリンエンジンも流通しておらず、その維持費や修理費が高くつくのは当たり前の事だった。
レンタロウもそれを重々承知の上で、それでも敢えてガソリンエンジンを好んで使っていたのだ。
「チッ……しゃーないか。しばらく節約すりゃあなんとかなるだろ」
「なんじゃお前、金が無いんか?」
苦渋の決断を下すレンタロウを見て、マフは尋ねた。
「別に修理代を払う金はある。ただその後が少し厳しいってだけだ」
「なるほどな――ならちょっと、頼まれごとをしてくれんか? どうせ修理が終わるまで暇じゃろ?」
「暇って……まあ暇だが」
「じゃあちと待っとれ」
するとマフはレンタロウをその場に待たせて、一人作業場の奥の扉を開き、その先にあった階段を上って行った。
レンタロウは待っている間暇だったので、作業場をぐるぐる回っていると、作業場の机に二枚の写真が額縁に入って飾られているのが目に入った。
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