21 / 36
第2話 鉄鋼街のコロッケパン
第2話 鉄鋼街のコロッケパン 14
しおりを挟む
カラスマは拳銃の引き金を引き、次々と弾丸をレンタロウに向け撃ち込んでくる。
「クソッ!」
あまりのカラスマの猛攻にレンタロウは反撃の体勢が取れず、かと言ってこのまま正面に向かい合っているだけではただの的になってしまうので、全速力で後方へと振り返り走り、最後には崩壊しかけの建物の中へと飛び込んだ。
「なかなか機敏だな。狙ったつもりではいたのだが」
カラスマは拳銃の弾倉を取り出し、弾の入った新たな弾倉にリロードする。
カラスマの持っている拳銃もレンタロウの所持している火器と同様にIDの制限を受けておらず、また電磁バリアを貫く中和銃であるのだが、しかしそれ以外にもう一つ、特殊な機能を搭載していたのだ。
「だがこの銃の弾は当たらずとも、キミの周りに掠るだけで十分なんだ……そろそろだろう」
その刹那、レンタロウのナノデジが異常事態アラートを鳴らし始めた。
「なんだこれ……電磁バリアの濃度がどんどん下がってやがる!」
レンタロウは驚愕し、対抗策として電磁バリアの強度を上げようとするが、しかしナノデジがその操作を拒絶してきた。
「クソッ! 全然歯が立たねぇ!」
事態を打開しようともがくが、問題は一向に解消されず、その間にも電磁バリアの濃度は下がり続け、やがて薄皮一枚程度の最低濃度となってしまった。
「俺の持っているこの中和銃は貫通型じゃなく侵食型だ。電磁バリアの濃度が高い内は貫く事が出来ず、短期決戦を仕掛けるには向かないが、しかしバリアに弾丸が掠っただけでもその濃度は下がっていき、やがて電磁バリアが最小値になった所で獲物を確実に捕らえる」
カラスマは銃を構えながら、レンタロウが壁にしている建物へ、じわりじわりと近づいて来る。
「ここまで俺を追ってきた礼だ、君には死に方を選ばせてあげよう。俺に撃たれて死ぬか、それとも瓦礫に埋もれて死ぬかどちらが良い。俺としては後処理が簡単な瓦礫に埋もれてもらった方が嬉しいのだが」
そう言って三発カラスマは発砲する。すると弾丸が当たった箇所からヒビが入っていき、建物はミシミシと不穏な悲鳴を出し始めた。
「カウントダウンが始まったぞ。さあ、選べ」
カラスマはレンタロウを煽る。その理由は口では瓦礫に埋もれた方が良いと言ったが、本音はレンタロウを直接撃ち殺したかったからだ。
ターゲットを自身の手で葬る事こそが、カラスマにとっての最高の殺しの価値基準だった。
「勝手に選択肢を絞るなよ。俺が選ぶのはお前の指定したものじゃない」
「ほう、ではどうする?」
「お前を殺してここから逃げる!」
レンタロウはアサルトライフル型の中和銃を実体化させ、建物から出るやいなやトリガーを引き、狙いをつける事なく乱射する。
「なっ! コイツ……!」
まさか銃火器を持って反撃に出て来るとは思わなかったカラスマは一瞬すくんだが、しかし直ぐに気を取り直して拳銃の引き金を引いた。
「グッ……ウオオオオオオオオオオオッ!!」
電磁バリアの濃度が薄い影響で、カラスマの撃った弾がバリアを打ち消してレンタロウの肩や足を掠り、その部位から出血し、通常ならうずくまる程の痛みが込み上げてくる。
それでも自らを鼓舞し、アドレナリンを分泌させ、痛みを誤魔化してレンタロウは撃ち続けた。
その結果、最初はまばらだった焦点が徐々に絞られていき、そして遂に――
「グフッ!」
複数の弾丸が電磁バリアを破り、最後の一発がカラスマの脇腹を撃ち抜いた。
出血箇所からは血がドクドクと流れ始め、引き金からは指が離れ、拳銃をその場へ落とす。
次第に腕だけでなく体全体に力が入らなくなっていき、やがてカラスマは崩れるようにして膝から倒れた。
「ハァハァ……グッ! いってぇ!」
今までアドレナリンで痛みを誤魔化していたレンタロウだったが、カラスマを倒した事によって冷静さを取り戻し、弾丸が当たった箇所から急激に痛みが込み上げてきた。
特に右肩に当たった弾丸の傷は深く、痛みが激しかったため、レンタロウは中和銃をデータ化してナノデジに取り込み、空いた左手で右肩を押さえながら、倒れているカラスマの元へフラフラと歩み寄っていった。
「クソッ!」
あまりのカラスマの猛攻にレンタロウは反撃の体勢が取れず、かと言ってこのまま正面に向かい合っているだけではただの的になってしまうので、全速力で後方へと振り返り走り、最後には崩壊しかけの建物の中へと飛び込んだ。
「なかなか機敏だな。狙ったつもりではいたのだが」
カラスマは拳銃の弾倉を取り出し、弾の入った新たな弾倉にリロードする。
カラスマの持っている拳銃もレンタロウの所持している火器と同様にIDの制限を受けておらず、また電磁バリアを貫く中和銃であるのだが、しかしそれ以外にもう一つ、特殊な機能を搭載していたのだ。
「だがこの銃の弾は当たらずとも、キミの周りに掠るだけで十分なんだ……そろそろだろう」
その刹那、レンタロウのナノデジが異常事態アラートを鳴らし始めた。
「なんだこれ……電磁バリアの濃度がどんどん下がってやがる!」
レンタロウは驚愕し、対抗策として電磁バリアの強度を上げようとするが、しかしナノデジがその操作を拒絶してきた。
「クソッ! 全然歯が立たねぇ!」
事態を打開しようともがくが、問題は一向に解消されず、その間にも電磁バリアの濃度は下がり続け、やがて薄皮一枚程度の最低濃度となってしまった。
「俺の持っているこの中和銃は貫通型じゃなく侵食型だ。電磁バリアの濃度が高い内は貫く事が出来ず、短期決戦を仕掛けるには向かないが、しかしバリアに弾丸が掠っただけでもその濃度は下がっていき、やがて電磁バリアが最小値になった所で獲物を確実に捕らえる」
カラスマは銃を構えながら、レンタロウが壁にしている建物へ、じわりじわりと近づいて来る。
「ここまで俺を追ってきた礼だ、君には死に方を選ばせてあげよう。俺に撃たれて死ぬか、それとも瓦礫に埋もれて死ぬかどちらが良い。俺としては後処理が簡単な瓦礫に埋もれてもらった方が嬉しいのだが」
そう言って三発カラスマは発砲する。すると弾丸が当たった箇所からヒビが入っていき、建物はミシミシと不穏な悲鳴を出し始めた。
「カウントダウンが始まったぞ。さあ、選べ」
カラスマはレンタロウを煽る。その理由は口では瓦礫に埋もれた方が良いと言ったが、本音はレンタロウを直接撃ち殺したかったからだ。
ターゲットを自身の手で葬る事こそが、カラスマにとっての最高の殺しの価値基準だった。
「勝手に選択肢を絞るなよ。俺が選ぶのはお前の指定したものじゃない」
「ほう、ではどうする?」
「お前を殺してここから逃げる!」
レンタロウはアサルトライフル型の中和銃を実体化させ、建物から出るやいなやトリガーを引き、狙いをつける事なく乱射する。
「なっ! コイツ……!」
まさか銃火器を持って反撃に出て来るとは思わなかったカラスマは一瞬すくんだが、しかし直ぐに気を取り直して拳銃の引き金を引いた。
「グッ……ウオオオオオオオオオオオッ!!」
電磁バリアの濃度が薄い影響で、カラスマの撃った弾がバリアを打ち消してレンタロウの肩や足を掠り、その部位から出血し、通常ならうずくまる程の痛みが込み上げてくる。
それでも自らを鼓舞し、アドレナリンを分泌させ、痛みを誤魔化してレンタロウは撃ち続けた。
その結果、最初はまばらだった焦点が徐々に絞られていき、そして遂に――
「グフッ!」
複数の弾丸が電磁バリアを破り、最後の一発がカラスマの脇腹を撃ち抜いた。
出血箇所からは血がドクドクと流れ始め、引き金からは指が離れ、拳銃をその場へ落とす。
次第に腕だけでなく体全体に力が入らなくなっていき、やがてカラスマは崩れるようにして膝から倒れた。
「ハァハァ……グッ! いってぇ!」
今までアドレナリンで痛みを誤魔化していたレンタロウだったが、カラスマを倒した事によって冷静さを取り戻し、弾丸が当たった箇所から急激に痛みが込み上げてきた。
特に右肩に当たった弾丸の傷は深く、痛みが激しかったため、レンタロウは中和銃をデータ化してナノデジに取り込み、空いた左手で右肩を押さえながら、倒れているカラスマの元へフラフラと歩み寄っていった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる