仕事人達のグルメ事情〜新世界食放浪記〜

小倉 悠綺(Yuki Ogura)

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第3話 カレーなる爆走のナギサハイウェイ

第3話 カレーなる爆走のナギサハイウェイ 04

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「すごく海鮮が入ってますね! これで一皿450リョウならお買い得ですよ!」

 サヤカはカレールーにドップリ浸かった大振りの海老を、既に半分白米が居座っているスプーンでカレールーと共に掬い上げ、口にする。

 特大な海老であることから、その味も大味であると思いきや一転、小海老にも負けず劣らずの海老独特の旨味、風味が口から鼻腔にかけて広がり、ここは大海老の専売特許であるプリプリ以上の歯応えのあるブリンブリンな食感に満足感を得られずにはいられなかった。

 またカレールーもおおよそ中辛レベルの辛さであるため、辛味だけでなくスパイスの風味もしっかりと感じ取る事ができ、安くありながら本格派のカレーの味を楽しむ事が出来る一品となっていた。

「イカも胴体だけじゃなくて、ゲソもしっかり入ってるな……うん、歯ごたえがあって美味い」

 ご飯とカレールーを混ぜ切ったレンタロウがスプーンで皿の中身を掬うと、カレーライスの上に大きくカットされたイカのゲソが乗っかっていたので共に口にする。

 すると、噛む度に胴体には無いゲソ特有の濃い旨味が溢れ出してき、更に胴体と比べ肉質が締まっているので噛み心地も良く、吸盤部分のコリコリとした食感もまたアクセントとなっていた。

「あとは具は何が入ってるのかな……ベビーホタテに……あっ! アサリも入ってますよ!」
「しっかり海鮮尽くしのカレーだな。これは確かに名物になるのも頷ける」

 海鮮カレーライスのファーストインプレッションを楽しんだところで、二人はその後黙々と食べ進めていき、食べ終えた皿とスプーンをゴミ箱に捨てた。

「うん、思ったより腹に溜まったな」
「ホント助かりました……あのまま出発してたらフブキさんの背中でのたれ死んでましたよ」
「お前は乗ってるだけだから大丈夫だろ……どんだけ燃費悪い体してんだ」
「代謝の良い体をしてるって言って欲しいですね」
「チッ……ん?」

 食後の団欒を楽しんでいた二人だったが、直後、一人のカーキ色のワイシャツの上に黒いベストを羽織った女性がレンタロウ達の方へ歩み寄って来た。

「君達、ちょっといいッスか?」

 ベストの胸部分にはワッペンが付いており、レンタロウ達にはそれが、メカトピア帝国が主体となっている国際警察のワッペンだと直ぐに気がついた。

「フブキさんこれって……」
「クソッ……ついに見つかっちまったかもしれんな」

 はやる気持ちはあるとはいえ、もしかしたら自分達とは関係無い別件での職務質問の可能性も考慮し、レンタロウ達は動じる事無く、善良な市民のフリをして職務質問を受ける事にした。

「私、国際警察のイチモンジ アサヒといいまして……あっ、これ警察証明ッス」

 イチモンジはエアディスプレイに自分の警察証明を映し出した。

「ほう……で、国際警察の巡査部長さんが何用ですか?」
「あはは、そんな固くならないでください。実はちょっとした事件の捜査をしてまして……まあ捜査っていっても、自分は公安の捜査の手伝い程度なんッスがね」

 顔は笑いながらも、イチモンジは捜査の手伝いという名の雑用に駆り出されていた事に不満を抱いていた。

 そしてその不満からつい口走ってしまった公安の捜査という言葉を、レンタロウは聞き逃さなかった。何故なら、国際警察の公安部が主体で動く事件にはテロも含まれていたからだ。

「捜査って、何の事件ですか?」

 サヤカが自然な流れで探りを入れようとするが、イチモンジは首を横に振ってみせた。

「ソイツは流石に教えられないッスよ。ってか自分も雑用係なんで端々しか情報は知らされてないッス。だから仮に教える事が許可されたとしても無理なんッスけどね」

 ケタケタと自虐的に笑ってみせるイチモンジ。嘘を吐いているようには見えなかった。

「まっそういう事なんで、ひとまずIDをチェックさせてください。そんな時間は取らせないッスから」

 イチモンジはそう言って、懐からIDチェッカーを取り出す。IDチェッカーはナノデジに必ず割り振られているIDを探知し、その読み取ったIDを使って個人を特定する事の出来る機械だった。

 しかしそのIDチェッカーこそ、レンタロウとサヤカにとっては天敵であり、何故なら二人のナノデジにはIDが存在しなかった。
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