落ちから始まる恋物語-The falling love-

小倉 悠綺(Yuki Ogura)

文字の大きさ
1 / 31
落ち

001

しおりを挟む
気づいたら僕は、学校の屋上に立っていた。

僕には夢もない。
希望もない。
そして…その先を歩む道すら、他人の勝手な評価というもので閉ざされてしまったのだ。

就職難。
もう何度面接に行き、何度仮初めの言葉と表情を見せ、朽ちていったのか。

大学4年の冬。
同期は次の春に備えている中、僕はこの冬を越せそうにない。

何故ならこの冬が、僕の命日になるからだ。

「この校舎…こんなに高かったのか」

屋上には、僕の他に人はいない。
普段は立ち入り禁止のロープが掛かっているが、ついさっき僕が引き剥がした。

この世との未練とともに。

僕は屋上の端へと歩み寄り、靴を揃える。
こういう時、すぐに自殺だと分かってもらうには飛び降りる前に靴を置いておいた方がいいとテレビか何かで言っていた気がする。

もうすぐ日が暮れようとする、冬の寒空。
風は冷たい。

さあフィナーレだ。
最期に何とこの世に言葉を残そうか。

「………………」

死人に口無し。
死に行く人も、それに同じだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

すべてはあなたの為だった~狂愛~

矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。 愛しているのは君だけ…。 大切なのも君だけ…。 『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』 ※設定はゆるいです。 ※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

さようなら、あなたとはもうお別れです

四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。 幸せになれると思っていた。 そう夢みていたのだ。 しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。

乙女ゲームの正統派ヒロインになりまして

いつき
恋愛
フルーレットが自分が乙女ゲームのヒロインだと気が付いた時は学園へ入学する当日、正門を眺めた時だった 「私、これ知ってるわ」

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

私はアナタから消えます。

転生ストーリー大好物
恋愛
振り向いてくれないなら死んだ方がいいのかな ただ辛いだけの話です。

お別れを言うはずが

にのまえ
恋愛
婚約者に好きな人ができたのなら、婚約破棄いたしましよう。 エブリスタに掲載しています。

処理中です...