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進む道
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「だからあの時、あなたに会ったあの時に思ったのよ。なんでわたしよりも完全な、健康であるあなたが死を望んでいるのかを。わたしはこんなだけど、生きてるのにって」
立花は本越しに僕を見る。
僕は自然とその視線を回避する。
あまりにもキツく、強い意思の視線で、僕には真っ直ぐには見ることができなかった。
「まぁいいわ人の事情なんて。兎にも角にも、わたしの学年があなたより下なのはそういう事よ」
再び、立花の視線が本に戻る。
ちょっとホッとした。
「なるほどな……なんかスマン」
「何故謝ってるの?謝ることないじゃない」
「いや……なんとなくな」
「そう、変な人ね」
二人の間に、無言の空間が出来上がる。
相変わらず、ここは風の音がすごい。ヒューヒューよりかは、ビュービュー寄りの音が吹き荒れる。
立花が僕の飛び降りを止めた理由、僕に興味を持ったその事を、今やっと正しく理解できた。
何故自分より幸運な人が、死を選んだのか。
僕は贅沢だ。そしてくだらない人間だ。
彼女のようにやりたい事があっても出来ない人がいるのに、僕は勝手に諦めて、捨てようとした。
そんな僕を、彼女は許せなかったのかもしれない。
彼女の目の前であんな醜態を晒した、この僕を。
立花は本越しに僕を見る。
僕は自然とその視線を回避する。
あまりにもキツく、強い意思の視線で、僕には真っ直ぐには見ることができなかった。
「まぁいいわ人の事情なんて。兎にも角にも、わたしの学年があなたより下なのはそういう事よ」
再び、立花の視線が本に戻る。
ちょっとホッとした。
「なるほどな……なんかスマン」
「何故謝ってるの?謝ることないじゃない」
「いや……なんとなくな」
「そう、変な人ね」
二人の間に、無言の空間が出来上がる。
相変わらず、ここは風の音がすごい。ヒューヒューよりかは、ビュービュー寄りの音が吹き荒れる。
立花が僕の飛び降りを止めた理由、僕に興味を持ったその事を、今やっと正しく理解できた。
何故自分より幸運な人が、死を選んだのか。
僕は贅沢だ。そしてくだらない人間だ。
彼女のようにやりたい事があっても出来ない人がいるのに、僕は勝手に諦めて、捨てようとした。
そんな僕を、彼女は許せなかったのかもしれない。
彼女の目の前であんな醜態を晒した、この僕を。
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