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「本日よりお仕えさせていただきます、メリー=カラットと申します」
あれから3日。早朝にエクスターヴ子爵家をメイドとして訪れた私を初老の執事が出迎えた。
カラット子爵家はクラム公爵家の遠縁である。しかしその実態は王家が潜入用にクラム公爵家に与えた爵位の1つであり、ほとんど存在していない状態である。知名度は低く、よっぽどの上級貴族でなければ知らないが、一応屋敷もある。相続は代々クラム公爵家の血縁者が行っている。私の本名は病弱令嬢で通っているのでそちらを使うわけにはいかないのだ。
「執事長のカイゼルと申します。中へどうぞ」
「はい」
印象は普通の人物といったところだが。
(人間なんて、何隠してるか分からないもの)
私だってクラム公爵家の人間で国家の影だ。それなりに人を殺してきた。醜い面だってたくさん見た。
誠実と有名な令息は、裏では女性泣かせの遊び人だった。
社交界の花と呼ばれる令嬢が、殺害を楽しむシリアルキラーだった。
領民思いと名高いある伯爵は、違法薬物を領民に栽培・販売させていた
…と例を挙げたらきりがない。
(だからきっとここも何かある)
黒の断片が垣間見えたのだ。それを突き止めなくては。
広間に入るとちょうど朝礼だったらしく使用人が集まっていた。
「メイド長」
執事長がメイド長に声をかける。
「本日からのカラット子爵令嬢が到着したので、自己紹介してもらいましょう」
「そうですね。お願いしていいですか」
頷き、私は口を開く。
「カラット子爵令嬢メリーと申します。使用人としてまいりましたので、メリーとお呼びくださいませ。これからよろしくお願いいたします」
主人を起こさないように控えめな拍手が起こる。
さて、何から探るべきか。
あれから3日。早朝にエクスターヴ子爵家をメイドとして訪れた私を初老の執事が出迎えた。
カラット子爵家はクラム公爵家の遠縁である。しかしその実態は王家が潜入用にクラム公爵家に与えた爵位の1つであり、ほとんど存在していない状態である。知名度は低く、よっぽどの上級貴族でなければ知らないが、一応屋敷もある。相続は代々クラム公爵家の血縁者が行っている。私の本名は病弱令嬢で通っているのでそちらを使うわけにはいかないのだ。
「執事長のカイゼルと申します。中へどうぞ」
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…と例を挙げたらきりがない。
(だからきっとここも何かある)
黒の断片が垣間見えたのだ。それを突き止めなくては。
広間に入るとちょうど朝礼だったらしく使用人が集まっていた。
「メイド長」
執事長がメイド長に声をかける。
「本日からのカラット子爵令嬢が到着したので、自己紹介してもらいましょう」
「そうですね。お願いしていいですか」
頷き、私は口を開く。
「カラット子爵令嬢メリーと申します。使用人としてまいりましたので、メリーとお呼びくださいませ。これからよろしくお願いいたします」
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