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第一章です!!
第X話 今更感半端ない話
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炎天下の中、二人の人間が庭に出ていた。
一人は子供。幼い、未だ遊び盛りであるだろう幼児。
栗のような茶色の髪に、傷が少ない上品な服。
もう一人も同い年程の外形をした子供。実はもう一人の子供より二回りほど実年齢が上なのだが、あまり知られていない。
「スリー様、スリー様~。」
「何だいシャドーウ?」
スリーと言われた子供はシャドーウを見る。少し不機嫌そうに。なにせ折角木に登ったのにその直後に声を掛けれたのだ。あまりいい気分にはなれない。
だがシャドーウにとってそんなこと知ったこっちゃねえのだ。
「何だいではございませんよ。貴方様はもう8歳になられるのです。今日から賢者様と魔術の訓練であることをお忘れですか?」
「ああ、そうだったね!!」
先ほどとは打って変わって、シャドーウの言葉に顔を明るくするスリー。
そんな主人の様子に苦笑しつつも、彼は恭しく手を差し伸べる。
「ささ、行きましょうか。」
「うん!!」
シャドーウはスリーの手を固く握りながら、ともに向かう。
二人が向かったのは庭闘場と呼ばれる小さな闘技場がある庭園。そこで待っていたのは、絵本で見るような顎髭を生やした白髪白髭の老人。
「ようこそスリーどの。私はこの王国の賢者、ネオンと言う。」
「よろしくお願いします!!」
「ほっほっほ。元気がいいのう。。」
朗らかに笑うネオンを見てシャドーウは内心舌打ちする。
(チッ、この爺め。ツー様の代わりになるか品定めしにきてるな。)
このネオンという男は、才能という原石の輝きを見るのが大好きであった。
努力では届き得ない、才能の壁。その壁の向こうで発揮される実力を見てきた彼は、いつしか才能ある者のみを優遇し、才無き者には冷淡に扱うようになっていた。
今日スリーの教育係を買って出たのも、スリーが自分の好む人間かどうか見るためだ。
「それで、王子。魔術とは何かしているかね?」
「えーと。魔力をエネルギーに仕事をさせることだよね???」
教えて貰った知識を朧気ながらに言うスリー。
「ふふ、遠からずも近からず。それは魔法のことじゃのう?」
この世界において、魔法と魔術は異なる。
魔法は広義的な意味で用いられ、魔術はより狭義的。
「魔法という枠組みの中にある要素の一つが『魔術』なんじゃよ。」
「肉料理、が『魔法』で。ハンバーグが『魔術』みたいな感じ?」
「そうそう、そういう感じじゃ。」
魔法というのは、先ほどスリーが述べた魔力をエネルギー源に仕事を行わせること。そして魔術とは、『魔力をエネルギーに術式を媒体として仕事を行わせること』である。
「術式?」
「一般的には記号の塊である関数のことじゃな。記号は見たことあろう?こういう模様の事じゃ。」
そう言って賢者の指から様々な模様が浮き出て、周囲を漂っていく。
「この模様に沿って魔力を流すと。。ホレ。」
「わぁ!!」
賢者の掛け声と共に、スリーの周囲に煌めく光。夜空の星のような幻想的な風景を作り出す。
「今のは『光魔術』じゃな。光を出すから光系統。ここらへんの系統は人によって変わるしまだまだいい加減な部分が多い。」
「いい加減じゃない部分はあるの?」
スリーの言葉に賢者は目を見開く。今まで聞いたことが無い質問に驚きを隠せない。
「まぁ、、、、の。この一つの魔術を行使するのに必要な模様の列、これを関数もしくは術式というのじゃが。」
「うんうん!」
「この模様、正確には記号と呼ぶのじゃがこれには一つ一つ意味がある。」
例えば、『火を発射する』魔術を使う際。『火種を起こす記号』『火を燃やし続ける記号』『狙いを定める記号』『発射する記号』が組み込まれた関数が纏まり、『火を発射する』魔術の術式となることが多い。
「この際、『火種を起こす記号』『火を燃やし続ける記号』が術式に入っている場合、『火魔術』と呼ばれることが多いのじゃ。」
「多いっていうのは?」
「昔五大系統というのがあっての。その中の5属性の一つである『火属性』が発する魔術も『火魔術』と呼ばれるの。」
「ふーん。」
「因みに今の世界では全ての記号とその意味は分かっておらず、研究者達は日夜調べておるよ。」
そしてこの賢者と言う男は、その判明している記号の3割を解明した魔術学の第一人者である。
目の前の男がそんな人間であるとは露知らず、スリーは疑問を投げかけていく。
「へ~~~。あ、でもその術式を用いずに魔術を発する人を見たことあるよ。」
「『詠唱』とかじゃな。その言った魔術の場合は『特定の動き』、『音程と音の組み合わせ』が記号の代わりになっておることが多いの。」
なお、詠唱破棄は『音の組み合わせ』や『特定の動きの連続』を『一動作』に纏めた技法であり、無詠唱とは『瞬時に術式を展開すること』である。
どちらも極めればノータイムで魔術を行使できることから、魔術の頂点を取れるとも言われている。
(面白い子供じゃ。シンプルながら誰もが知ろうしない魔術の式を質問するとは。じゃが凡才じゃな。ツーのように自分で新たな魔術を作るとまではいかんかったかようじゃ。)
こうして、スリーは勝手に期待され、勝手に失望されたのでした。
ドンマイ。
一人は子供。幼い、未だ遊び盛りであるだろう幼児。
栗のような茶色の髪に、傷が少ない上品な服。
もう一人も同い年程の外形をした子供。実はもう一人の子供より二回りほど実年齢が上なのだが、あまり知られていない。
「スリー様、スリー様~。」
「何だいシャドーウ?」
スリーと言われた子供はシャドーウを見る。少し不機嫌そうに。なにせ折角木に登ったのにその直後に声を掛けれたのだ。あまりいい気分にはなれない。
だがシャドーウにとってそんなこと知ったこっちゃねえのだ。
「何だいではございませんよ。貴方様はもう8歳になられるのです。今日から賢者様と魔術の訓練であることをお忘れですか?」
「ああ、そうだったね!!」
先ほどとは打って変わって、シャドーウの言葉に顔を明るくするスリー。
そんな主人の様子に苦笑しつつも、彼は恭しく手を差し伸べる。
「ささ、行きましょうか。」
「うん!!」
シャドーウはスリーの手を固く握りながら、ともに向かう。
二人が向かったのは庭闘場と呼ばれる小さな闘技場がある庭園。そこで待っていたのは、絵本で見るような顎髭を生やした白髪白髭の老人。
「ようこそスリーどの。私はこの王国の賢者、ネオンと言う。」
「よろしくお願いします!!」
「ほっほっほ。元気がいいのう。。」
朗らかに笑うネオンを見てシャドーウは内心舌打ちする。
(チッ、この爺め。ツー様の代わりになるか品定めしにきてるな。)
このネオンという男は、才能という原石の輝きを見るのが大好きであった。
努力では届き得ない、才能の壁。その壁の向こうで発揮される実力を見てきた彼は、いつしか才能ある者のみを優遇し、才無き者には冷淡に扱うようになっていた。
今日スリーの教育係を買って出たのも、スリーが自分の好む人間かどうか見るためだ。
「それで、王子。魔術とは何かしているかね?」
「えーと。魔力をエネルギーに仕事をさせることだよね???」
教えて貰った知識を朧気ながらに言うスリー。
「ふふ、遠からずも近からず。それは魔法のことじゃのう?」
この世界において、魔法と魔術は異なる。
魔法は広義的な意味で用いられ、魔術はより狭義的。
「魔法という枠組みの中にある要素の一つが『魔術』なんじゃよ。」
「肉料理、が『魔法』で。ハンバーグが『魔術』みたいな感じ?」
「そうそう、そういう感じじゃ。」
魔法というのは、先ほどスリーが述べた魔力をエネルギー源に仕事を行わせること。そして魔術とは、『魔力をエネルギーに術式を媒体として仕事を行わせること』である。
「術式?」
「一般的には記号の塊である関数のことじゃな。記号は見たことあろう?こういう模様の事じゃ。」
そう言って賢者の指から様々な模様が浮き出て、周囲を漂っていく。
「この模様に沿って魔力を流すと。。ホレ。」
「わぁ!!」
賢者の掛け声と共に、スリーの周囲に煌めく光。夜空の星のような幻想的な風景を作り出す。
「今のは『光魔術』じゃな。光を出すから光系統。ここらへんの系統は人によって変わるしまだまだいい加減な部分が多い。」
「いい加減じゃない部分はあるの?」
スリーの言葉に賢者は目を見開く。今まで聞いたことが無い質問に驚きを隠せない。
「まぁ、、、、の。この一つの魔術を行使するのに必要な模様の列、これを関数もしくは術式というのじゃが。」
「うんうん!」
「この模様、正確には記号と呼ぶのじゃがこれには一つ一つ意味がある。」
例えば、『火を発射する』魔術を使う際。『火種を起こす記号』『火を燃やし続ける記号』『狙いを定める記号』『発射する記号』が組み込まれた関数が纏まり、『火を発射する』魔術の術式となることが多い。
「この際、『火種を起こす記号』『火を燃やし続ける記号』が術式に入っている場合、『火魔術』と呼ばれることが多いのじゃ。」
「多いっていうのは?」
「昔五大系統というのがあっての。その中の5属性の一つである『火属性』が発する魔術も『火魔術』と呼ばれるの。」
「ふーん。」
「因みに今の世界では全ての記号とその意味は分かっておらず、研究者達は日夜調べておるよ。」
そしてこの賢者と言う男は、その判明している記号の3割を解明した魔術学の第一人者である。
目の前の男がそんな人間であるとは露知らず、スリーは疑問を投げかけていく。
「へ~~~。あ、でもその術式を用いずに魔術を発する人を見たことあるよ。」
「『詠唱』とかじゃな。その言った魔術の場合は『特定の動き』、『音程と音の組み合わせ』が記号の代わりになっておることが多いの。」
なお、詠唱破棄は『音の組み合わせ』や『特定の動きの連続』を『一動作』に纏めた技法であり、無詠唱とは『瞬時に術式を展開すること』である。
どちらも極めればノータイムで魔術を行使できることから、魔術の頂点を取れるとも言われている。
(面白い子供じゃ。シンプルながら誰もが知ろうしない魔術の式を質問するとは。じゃが凡才じゃな。ツーのように自分で新たな魔術を作るとまではいかんかったかようじゃ。)
こうして、スリーは勝手に期待され、勝手に失望されたのでした。
ドンマイ。
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