9 / 14
第9話 初の連携作戦──そして“友達”ができた日
しおりを挟む
初任務、初戦闘から3ヶ月が過ぎた。
永井家の皆も、今の状況を受け入れつつも、1日でも早い平穏な毎日を願い、奮闘を続けている。
「・・・了解。unknown複数確認の為、合同作戦開始。林駐屯地にてヘリで現場に急行します。」
ミサオは要請を復唱し、電話を切る。
慣れてきた準備。
素早く親子は車に乗り込み、指示通りに陸上自衛隊横須賀林駐屯地へと向かう。
入り口の門衛に向けて、ミサオは迷いなく胸元を指差す。
そこに輝くのは、H-FORCE(エイチ・フォース)の隊員であることを示す部隊記章だった。
この記章は、陸上自衛隊をはじめとする防衛関連施設に入構する際、身分証明として使用される特殊な意匠を持っている。
普段はただの金属製エンブレムにしか見えないが、光の角度やUV照射により“真の紋章”が浮かび上がる構造だ。
中央には力強く刻まれた「H」の文字。その背後には、放射状に広がる光が描かれ、右下には微細な“星”が打たれている。それは、未だ救済されていない魂たちの象徴とされている。
さらに、通常の光では見えないが、特定の波長を当てることでだけ浮かび上がる“隠された意匠”──
それは、トイ・プードルを模した犬影のシルエット。くるんと丸まった尾、垂れた耳、そして優しい表情。
この“犬影”こそ、かつてこの国で最初に獣人となり、家族と共に戦ったチームの姿を象徴として描いたもの。
H-FORCEは、その存在を原点として結成された経緯を持つ。
ミサオはそれを誇りと共に門衛に見せる。すると門衛はすぐに敬礼し、無言のままゲートを開いた。
「・・・行こうか、ジョロ。」
隣に座るコジマルも、ふと胸元に手をやり、自身の記章をそっと撫でた。
クミコも毅然と前を向く。そのまま車は、電話で指示されたヘリの発着場へと向かう。
(ヒュンヒュンヒュンヒュン。)
ヘリのプロペラはもう回っている。
ちなみに永井家は全員、ヘリコプターなど初めて搭乗する。
開かれているヘリのスライドドア。そのまま乗り込むと中の隊員がドアを閉める。
「このヘッドホンを着用して下さい!」
プロペラの大きな音の中、隊員からの指示に従う永井家。しかしコジマルの耳の位置が違う為、見た目は随分と上の位置に浮いている。場面が違えばギャグになってしまうが、さすがに笑う時ではない。
ヘッドホンからはマイクが伸びている。
「このまま神奈川県警のビル屋上に飛びます!そこから現場(げんじょう)であるみなとみらい地区に向かって下さい!」
「了解した!神奈川県警ビル到着後、車両にて現場(げんじょう)へ向かう!」
ミサオが説明を復唱する。
この場所から県警ビルまで直線距離で約40キロ。ヘリ使用で時間にして、15分弱で到着予定。
その後車で約5分の場所。
みなとみらいでも最後の開発地区の高層ビル建設予定地。
そこにunknownが3体同時に出現した模様。
「今回、ウチみたいな家族との初の連携だ!先輩達の邪魔にならんようにしないとな!」
「そうね!でも、ジョロが1番強いわよ!ね?ジョロ!」
「とにかく頑張るよっ!」
皆大声で会話する。
「離陸します!」
ヘリの操縦士からの一言。
ヘリが上昇を開始する。
程なくヘリは目的地に着陸する。屋上にいた警察官の先導にて、地下駐車場の覆面パトカーへ。
赤色灯を回しながらすぐさま目的地まで走る。
「ここは、ホントに近未来感あるよな?」
ミサオがつぶやく。
覆面パトカーの後部座席にクミコとワンコモードのコジマル。
助手席にミサオという位置。
「これがお出かけなら楽しいんだけどね・・・。」
流れる景色の中でクミコが言う。
車は事案発生現場へと到着する。高層ビル建築中の場所。外に停めたパトカーからも、中での怒声や、何かしらの金属音が聞こえる。
「近藤二尉。状況は?」
車から降りた永井家が、建築現場前を封鎖する警官や自衛隊員の中に見知った顔を見つけ、駆け寄り尋ねる。
「ミサオ二尉!・・・今は、鈴木家と池田家が中でunknownの制圧行動に出ている。ただunknownは3体。制圧までには・・・。」
「状況は確認した。中に入るよ?」
「了解。コジマル二尉も、侵入後、即戦闘モードに移行して下さい。気を付けて。おい!道をあけろ!」
封鎖された入り口に、空間が作られる。
「これより永井家、unknown制圧行動を開始する。」
入り口にて、敬礼してからの侵入。
中に入ると・・・。
「舐めるにゃ!」
「気を付けて!マイヒメ!」
「俺の娘に何すんだ!」
右手で制圧行動に出ている家族。虎の頭の2足歩行unknown。
「今、にゃって言ったよな?猫なのか?それでもにゃって言うのか?」
「パピ!じゃなかったミサオ二尉、発砲許可承認!早く!」
「お、わりぃ、クミコ二尉、発砲許可承認!コジマル二尉、獣人モード移行・・・ヨシ!」
関係者以外の目が無い事を確認し、ミサオがコジマルに声を掛ける。光と共にコジマルが獣人モードへ移行する。
左手に目をやると・・・
「我が断罪の爪、受けてみろ!」
「いけ!あーくん!カバーは任せろっ!」
「あーくん!そいつの羽何とかして!ママ、それじゃ当たらないから!」
「・・・こちらは、鳥さんですか?へ~。相手も・・・頭はワシ?鷹?空中戦は、ウチだとキツいかな・・・。さてもう一体は?」
直置きされた鉄骨の影から光る2つの目。
「アイツ・・・4足歩行タイプか?豹・・・にツノ!マミ!気を付けろ、ヤツ多分足早いっ!動くな!動くと撃つ!」
ミサオの予想通り、瞬時に永井家に飛びかかろうとする豹型unknown。純白の毛に覆われた大きな体躯。おでこの辺りに太く鋭い一本角。迫る角を両手でつかみ、そのまま地面に叩きつけるコジマル。
その叩き付けたunknownにまたがり、両手の拳を交互にぶつけるコジマル。ミサオとクミコは油断無く、拳銃を構えたまま、コジマルの攻撃を見守る。
「これで・・・終わりだ!」
(メキッ!)
角を叩き折った一撃。
「お。・・・この子は、チワワみたいに見えるな。・・・大変だったな?向こうでゆっくり休みな。またどっかで会えるといいな・・・。」
透けた状態の、チワワに似た犬の姿の魂。
遠吠えをあげて光の粒子となり、天へ。
「・・・切ないような、嬉しいような。いや、まだ2体残って・・・お!終わってんじゃん!」
「さすがマイヒメ!お前は器量も技量も世界一だなおい!」
「お父さん、当たり前でしょ?ウチの子なんだから。ね?マイヒメ?」
「にゃっ!父さんも母さんもありがとにゃっ!」
「麗しき家族の絆だなおい!」
ミサオは猫耳獣人家族の会話に思わず突っ込む。
「パパ、ママ。ケガはない?」
「何言ってんだ!お前こそ、引っかかれてたろアイツに。平気なのか?」
「そうよ?パパあそこで撃たないから・・・。」
「いや、空向けては、あーくんに当たりでもしたら危ないだろ?あーくん、ゴメンね?本当に平気かい?お前は大事な息子なんだからな!」
「心配性だな、二人共。」
「・・・結局、何?ここは親馬鹿の集まりか?緊張感失せるわぁこの会話。」
ミサオが肩を落とす。
そこに。
「・・・どうも、永井・・・さん御一家ですか?どうも、鈴木です。」
先程の猫ちゃん家族の父親が挨拶に来る。
「あ、どうもお疲れ様です!鈴木・・・二尉でいらっしゃいますか?自分は・・・。」
「いやいや、そんな堅っ苦しい文言、現場で誰も言ってませんよ?真面目ですね永井さんは。」
「へ?」
「・・・こちらが新戦力の永井家の皆さんですか。息子さん、お強いですね?あ、どうも池田です!この子がウチのあーくん、あと妻のより子です。鈴木さん!相変わらずマイヒメちゃん可愛いですね!」
「それほどでも・・・あーくんも空では敵う者無しですもんね!いや、素晴らしい!」
永井家そっちのけで、両家の褒め合いが始まる。
「・・・えと、部隊の訓練の意味は?一所懸命に小難しい言い回し覚えたのに・・・。」
「今、制圧行動してたのよね?何?このほのぼの子供自慢の空気?」
ミサオもクミコも戸惑ってしまう。
「おい!君がコジマルくんかい?初めまして!私の名はアスカ。池田アスカ。一応セキセイインコになる。宜しく。」
「あ、初めまして!僕は永井コジマル!トイ・プードルだよ!で、君は?」
「にゃっ!アタシは鈴木マイヒメ!スコティッシュフィールドにゃ!アスカもアタシもコジマルより先輩だから、何でも聞くにゃっ!」
「うん!わからない事教えてね!それじゃあねぇ、戦闘の時・・・。」
「マミ?ジョロにお友達出来たのかな?猫ちゃんとセキセイインコくん・・・このカオスな状況何?」
「ん~~。ジョロが笑顔ならヨシ!」
「ヨシじゃねぇって!ダメだこれ、近藤二尉!近藤さ~ん!何とかしてよこれ!」
この日、永井家初の他家族との共同作戦は、無事完了となる。
コジマルに新しい友達が出来るというおまけつきで。
ーーーーーーーーーーーー
あとがき
初の共同作戦──そして、ジョロに「友達」ができた日。
それは、戦場であっても“家族”が中心であり、そこに笑顔と会話があるという、H-FORCEならではの在り方が見える一日でもありました。
ミサオたちにとっては緊張の連続だった初任務から3ヶ月。
ついに他家族との連携という、新たな段階に踏み出すこととなります。
それぞれの家族が、それぞれのかたちでunknownと向き合い、
親として、子として、互いを思い合いながら共に闘う。
そこには、「任務」や「任官」といった言葉では測れない温もりがあります。
今回登場した“マイヒメ”や“アスカ”といった獣人の子どもたちは、
コジマルにとって同じ立場にある“仲間”であり、初めての“戦友”であり、そして“友達”。
ジョロがその笑顔で、仲間と共に笑い合える日常を少しずつ取り戻していく。
その歩みの一歩目が、今日のこの物語だったのかもしれません。
日常の中に、非日常がある。
戦場の中に、友情と家族の物語がある。
それが、H-FORCEであり、この永井家の戦い方なのだと感じます。
この先の物語でも、“家族”であることの意味と温もりを、丁寧に紡いでいければと思います。
永井家の皆も、今の状況を受け入れつつも、1日でも早い平穏な毎日を願い、奮闘を続けている。
「・・・了解。unknown複数確認の為、合同作戦開始。林駐屯地にてヘリで現場に急行します。」
ミサオは要請を復唱し、電話を切る。
慣れてきた準備。
素早く親子は車に乗り込み、指示通りに陸上自衛隊横須賀林駐屯地へと向かう。
入り口の門衛に向けて、ミサオは迷いなく胸元を指差す。
そこに輝くのは、H-FORCE(エイチ・フォース)の隊員であることを示す部隊記章だった。
この記章は、陸上自衛隊をはじめとする防衛関連施設に入構する際、身分証明として使用される特殊な意匠を持っている。
普段はただの金属製エンブレムにしか見えないが、光の角度やUV照射により“真の紋章”が浮かび上がる構造だ。
中央には力強く刻まれた「H」の文字。その背後には、放射状に広がる光が描かれ、右下には微細な“星”が打たれている。それは、未だ救済されていない魂たちの象徴とされている。
さらに、通常の光では見えないが、特定の波長を当てることでだけ浮かび上がる“隠された意匠”──
それは、トイ・プードルを模した犬影のシルエット。くるんと丸まった尾、垂れた耳、そして優しい表情。
この“犬影”こそ、かつてこの国で最初に獣人となり、家族と共に戦ったチームの姿を象徴として描いたもの。
H-FORCEは、その存在を原点として結成された経緯を持つ。
ミサオはそれを誇りと共に門衛に見せる。すると門衛はすぐに敬礼し、無言のままゲートを開いた。
「・・・行こうか、ジョロ。」
隣に座るコジマルも、ふと胸元に手をやり、自身の記章をそっと撫でた。
クミコも毅然と前を向く。そのまま車は、電話で指示されたヘリの発着場へと向かう。
(ヒュンヒュンヒュンヒュン。)
ヘリのプロペラはもう回っている。
ちなみに永井家は全員、ヘリコプターなど初めて搭乗する。
開かれているヘリのスライドドア。そのまま乗り込むと中の隊員がドアを閉める。
「このヘッドホンを着用して下さい!」
プロペラの大きな音の中、隊員からの指示に従う永井家。しかしコジマルの耳の位置が違う為、見た目は随分と上の位置に浮いている。場面が違えばギャグになってしまうが、さすがに笑う時ではない。
ヘッドホンからはマイクが伸びている。
「このまま神奈川県警のビル屋上に飛びます!そこから現場(げんじょう)であるみなとみらい地区に向かって下さい!」
「了解した!神奈川県警ビル到着後、車両にて現場(げんじょう)へ向かう!」
ミサオが説明を復唱する。
この場所から県警ビルまで直線距離で約40キロ。ヘリ使用で時間にして、15分弱で到着予定。
その後車で約5分の場所。
みなとみらいでも最後の開発地区の高層ビル建設予定地。
そこにunknownが3体同時に出現した模様。
「今回、ウチみたいな家族との初の連携だ!先輩達の邪魔にならんようにしないとな!」
「そうね!でも、ジョロが1番強いわよ!ね?ジョロ!」
「とにかく頑張るよっ!」
皆大声で会話する。
「離陸します!」
ヘリの操縦士からの一言。
ヘリが上昇を開始する。
程なくヘリは目的地に着陸する。屋上にいた警察官の先導にて、地下駐車場の覆面パトカーへ。
赤色灯を回しながらすぐさま目的地まで走る。
「ここは、ホントに近未来感あるよな?」
ミサオがつぶやく。
覆面パトカーの後部座席にクミコとワンコモードのコジマル。
助手席にミサオという位置。
「これがお出かけなら楽しいんだけどね・・・。」
流れる景色の中でクミコが言う。
車は事案発生現場へと到着する。高層ビル建築中の場所。外に停めたパトカーからも、中での怒声や、何かしらの金属音が聞こえる。
「近藤二尉。状況は?」
車から降りた永井家が、建築現場前を封鎖する警官や自衛隊員の中に見知った顔を見つけ、駆け寄り尋ねる。
「ミサオ二尉!・・・今は、鈴木家と池田家が中でunknownの制圧行動に出ている。ただunknownは3体。制圧までには・・・。」
「状況は確認した。中に入るよ?」
「了解。コジマル二尉も、侵入後、即戦闘モードに移行して下さい。気を付けて。おい!道をあけろ!」
封鎖された入り口に、空間が作られる。
「これより永井家、unknown制圧行動を開始する。」
入り口にて、敬礼してからの侵入。
中に入ると・・・。
「舐めるにゃ!」
「気を付けて!マイヒメ!」
「俺の娘に何すんだ!」
右手で制圧行動に出ている家族。虎の頭の2足歩行unknown。
「今、にゃって言ったよな?猫なのか?それでもにゃって言うのか?」
「パピ!じゃなかったミサオ二尉、発砲許可承認!早く!」
「お、わりぃ、クミコ二尉、発砲許可承認!コジマル二尉、獣人モード移行・・・ヨシ!」
関係者以外の目が無い事を確認し、ミサオがコジマルに声を掛ける。光と共にコジマルが獣人モードへ移行する。
左手に目をやると・・・
「我が断罪の爪、受けてみろ!」
「いけ!あーくん!カバーは任せろっ!」
「あーくん!そいつの羽何とかして!ママ、それじゃ当たらないから!」
「・・・こちらは、鳥さんですか?へ~。相手も・・・頭はワシ?鷹?空中戦は、ウチだとキツいかな・・・。さてもう一体は?」
直置きされた鉄骨の影から光る2つの目。
「アイツ・・・4足歩行タイプか?豹・・・にツノ!マミ!気を付けろ、ヤツ多分足早いっ!動くな!動くと撃つ!」
ミサオの予想通り、瞬時に永井家に飛びかかろうとする豹型unknown。純白の毛に覆われた大きな体躯。おでこの辺りに太く鋭い一本角。迫る角を両手でつかみ、そのまま地面に叩きつけるコジマル。
その叩き付けたunknownにまたがり、両手の拳を交互にぶつけるコジマル。ミサオとクミコは油断無く、拳銃を構えたまま、コジマルの攻撃を見守る。
「これで・・・終わりだ!」
(メキッ!)
角を叩き折った一撃。
「お。・・・この子は、チワワみたいに見えるな。・・・大変だったな?向こうでゆっくり休みな。またどっかで会えるといいな・・・。」
透けた状態の、チワワに似た犬の姿の魂。
遠吠えをあげて光の粒子となり、天へ。
「・・・切ないような、嬉しいような。いや、まだ2体残って・・・お!終わってんじゃん!」
「さすがマイヒメ!お前は器量も技量も世界一だなおい!」
「お父さん、当たり前でしょ?ウチの子なんだから。ね?マイヒメ?」
「にゃっ!父さんも母さんもありがとにゃっ!」
「麗しき家族の絆だなおい!」
ミサオは猫耳獣人家族の会話に思わず突っ込む。
「パパ、ママ。ケガはない?」
「何言ってんだ!お前こそ、引っかかれてたろアイツに。平気なのか?」
「そうよ?パパあそこで撃たないから・・・。」
「いや、空向けては、あーくんに当たりでもしたら危ないだろ?あーくん、ゴメンね?本当に平気かい?お前は大事な息子なんだからな!」
「心配性だな、二人共。」
「・・・結局、何?ここは親馬鹿の集まりか?緊張感失せるわぁこの会話。」
ミサオが肩を落とす。
そこに。
「・・・どうも、永井・・・さん御一家ですか?どうも、鈴木です。」
先程の猫ちゃん家族の父親が挨拶に来る。
「あ、どうもお疲れ様です!鈴木・・・二尉でいらっしゃいますか?自分は・・・。」
「いやいや、そんな堅っ苦しい文言、現場で誰も言ってませんよ?真面目ですね永井さんは。」
「へ?」
「・・・こちらが新戦力の永井家の皆さんですか。息子さん、お強いですね?あ、どうも池田です!この子がウチのあーくん、あと妻のより子です。鈴木さん!相変わらずマイヒメちゃん可愛いですね!」
「それほどでも・・・あーくんも空では敵う者無しですもんね!いや、素晴らしい!」
永井家そっちのけで、両家の褒め合いが始まる。
「・・・えと、部隊の訓練の意味は?一所懸命に小難しい言い回し覚えたのに・・・。」
「今、制圧行動してたのよね?何?このほのぼの子供自慢の空気?」
ミサオもクミコも戸惑ってしまう。
「おい!君がコジマルくんかい?初めまして!私の名はアスカ。池田アスカ。一応セキセイインコになる。宜しく。」
「あ、初めまして!僕は永井コジマル!トイ・プードルだよ!で、君は?」
「にゃっ!アタシは鈴木マイヒメ!スコティッシュフィールドにゃ!アスカもアタシもコジマルより先輩だから、何でも聞くにゃっ!」
「うん!わからない事教えてね!それじゃあねぇ、戦闘の時・・・。」
「マミ?ジョロにお友達出来たのかな?猫ちゃんとセキセイインコくん・・・このカオスな状況何?」
「ん~~。ジョロが笑顔ならヨシ!」
「ヨシじゃねぇって!ダメだこれ、近藤二尉!近藤さ~ん!何とかしてよこれ!」
この日、永井家初の他家族との共同作戦は、無事完了となる。
コジマルに新しい友達が出来るというおまけつきで。
ーーーーーーーーーーーー
あとがき
初の共同作戦──そして、ジョロに「友達」ができた日。
それは、戦場であっても“家族”が中心であり、そこに笑顔と会話があるという、H-FORCEならではの在り方が見える一日でもありました。
ミサオたちにとっては緊張の連続だった初任務から3ヶ月。
ついに他家族との連携という、新たな段階に踏み出すこととなります。
それぞれの家族が、それぞれのかたちでunknownと向き合い、
親として、子として、互いを思い合いながら共に闘う。
そこには、「任務」や「任官」といった言葉では測れない温もりがあります。
今回登場した“マイヒメ”や“アスカ”といった獣人の子どもたちは、
コジマルにとって同じ立場にある“仲間”であり、初めての“戦友”であり、そして“友達”。
ジョロがその笑顔で、仲間と共に笑い合える日常を少しずつ取り戻していく。
その歩みの一歩目が、今日のこの物語だったのかもしれません。
日常の中に、非日常がある。
戦場の中に、友情と家族の物語がある。
それが、H-FORCEであり、この永井家の戦い方なのだと感じます。
この先の物語でも、“家族”であることの意味と温もりを、丁寧に紡いでいければと思います。
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる