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第12話 虎、来たる──FBI親子と、嵐の交流戦!
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「で、何で今日は成田空港なの?」
詳しい話を聞かされないまま現場に連れて来られたクミコとコジマル。
「ん?ああ、連絡きていきなりだったもんでな?しかも途中で車乗り換えだわ、打ち合わせだわで一苦労でさ?」
内容伝達を失念していた事にここで気付くミサオ。
「外国からの視察来るみたいなんだけど、そのガードと案内らしいよ?」
「パピ、何でそれでわざわざ僕達なの?しかも獣人モードで。」
コジマルが首をかしげる。ミサオやクミコと同じスーツ姿だが、シッポと耳が見えているので、コスプレにしか見えない。
「ん?ああ、初めて来るらしいぞ?ウチらと同じ様な家族。しかもFBI所属だと!」
「FBI!あのクリミナルなんちゃらとかみたいな感じ?」
「マミ?それ海外ドラマじゃん?俺等unknown相手だよ?向こうも普通そうじゃね?」
ガードにしては騒がしい永井家。
「"Hey! You must be the family assigned to escort us today! Looking forward to working with you, brothers!"」
「やあ!君たちが我々のエスコートをしてくれる家族かい?今日は頼むね?兄弟達!」
ゲートをくぐり終えた人達の中からこちらに向かって来る3人の男女。その中に見える黄色と黒の縞模様のシッポと頭。耳はたれてはいない。その彼が声を掛けてきた。
「タイガー、ですか?」
クミコがポカンとする。
「・・・ですね?米国はペットなんですか?虎って?」
ミサオも予想外だったのか呆れた顔をしている。
「やあ!いらっしゃい!ようこそ日本へ!」
英語もちんぷんかんぷんで戸惑う親達を余所に、虎獣人と握手を交わすコジマル。
「うわっ!息子の方がフレンドリー!・・・お前、英語分かるの?」
ミサオが不思議そうにコジマルに聞く。
「へ?分かるよ?獣人同士だもん。パピもマミも分からないの?」
逆に問い返されるミサオとクミコ。
「そう言う事ね・・・。言葉と言うより思念伝達に近いのかしら?羨ましい。」
クミコが少し拗ねる。
「やあ!今日はありがとう。あ、言葉は日本語で平気ですよ?妻がこっちの人ですから!」
陽気に話す白人男性。家族3人、ハーフパンツにサンダル、アロハにストローハット、ご丁寧に黒のサングラス。
「ハイ!どうもこにちは!永井家の皆さんで~すね?私達はステイツからきま~した!」
タイガーの母親。
日本人なのに言葉が少しおかしい。
「旦那さんの方がベラベラやないですか?」
「奥様?お母様日本人ですよね?」
クミコとミサオが同時に突っ込む。
「ハハッ、向こうに染まってしまってつい・・・。」
「すみませんね?妻は私より米国かぶれでして・・・。改めまして。私の名前はマーク・ハドソン。妻がミワ・ハドソン。息子のタイガ・ハドソンと言います。私はビューローでは特殊な仕事に着いていましてね。今日は視察名目での骨休めも兼ねてるんですよ。タイガもじーじやばーば、グランパやグランマに会いたいもんな?」
「ビューロー?・・・あ!FBIのBですか!あ、どうも!・・・一応今は公務も兼ねてますが、私がこの永井家の父親となりますミサオと申します。日本警察の役職では警部補ですね。ルーテナント?こっちが妻のクミコ、息子のコジマルです。・・・ちなみにハドソンさん?は、私達の事をどこまで?」
ミサオが父親のマークに聞く。
「・・・二尉ですよね?把握しています。私は向こうでSSAの立場にいます。貴方と似たような感じですね。そうそう、ミスターミサオ。私の事も、マークで良いですからね?」
笑顔でミサオの肩を抱くマーク。
隣では妻のミワがクミコにハグしている。
「はは、は~い!ま、ま、まいね~むいずクミコ!よ~ろし~くね~!」
「マミ、テンプレそれ!リラックスして?ジョロ見習お?」
そのまま待たせてあった黒塗りの高級ワンボックスに乗り、警察庁へと向かう。
そのままハドソン一家と共にH-FORCE(エイチ・フォース)本部へと進む永井家。
内部ではコマンダーとマークが固い握手をかわす。
「ウェブ上ではいつもやりとりしてますが、やはり生身でお会い出来るのは感慨深いですね。・・・初めましてタイガくん。斎藤と言います。家族みんな、仲良さそうですね?何よりです。」
微笑む斎藤。
「はい。ダディもマムも、僕を大切にしてくれています。だから僕も、任務の中で大切な事をいつも忘れない様にしています。」
タイガの言葉にうなずく斎藤。
「ではミスター。やはり予定通りに?」
「はい。タイガも楽しみにしてましたし、ミワも私も日本の武器を試せるのを心待ちにしていました!」
「ハイ、クミコ?日本のハンドガン、ステイツよりち~いさい?レッツシューティング!」
「え?あの?パピ?ジョロ?」
首の後ろをミワに掴まれながら連れて行かれるクミコ。
「・・・ご愁傷様、マミ。で、俺達は?」
「ジョロとミサオさんは、2人と模擬やってもらう。」
「タイガくんと?やる!」
「ジョロ?負けませんよ?」
獣人2人は笑顔で臨戦モード。
「・・・相手FBIのプロですよ?俺にどうしろと?」
引き気味のミサオ。
「お手柔らかにお願いしますね?ミサオ。」
訓練場へと場所を移し、それぞれにペアとなり腕前を競う二組の一家。
肉弾戦で相対するタイガとコジマル。
「・・・君、元々トイ・プードルだよね?何で力で僕に対抗出来るの?」
「・・・結構キツいよ?流石タイガー、伊達じゃないよね?」
「何故に相撲?他にやる事ありそうな・・・。」
「HEY!ミサオ、よそ見しないよ?READY?」
「失礼!GO!」
組み合うマークとミサオ。
と、瞬時に組み伏せられるミサオ。
「痛!ギブ!ギブギブ!」
右腕を決められたミサオが左手でタップする。
「ミサオ、本気を出して下さいね?」
「マーク、俺正規の訓練3日間しか受けてないから!プロじゃないから?」
ミサオがマークに訴える。
「それ、息子が危険になった時も言えますか?」
「!・・・失礼。マークさん、いやマーク。俺は我流だよ?」
昔取った杵柄のストリートファイトスタイル。低い体勢からのダッシュをかけるミサオ。
と、マークの手前で急停止からのアッパー。後ろに避けたマークへ前蹴りの追撃。それに合わせるマークの右拳のカウンター。
左を半身に下げて右のボディを寸前で止めるミサオ。
「・・・あなたはフリースタイルの方が良いみたいですね?ミサオ。」
「よく言いますよ、ワザと開けたでしょ?・・・あったまってきましたよ。もう少しいきますか?」
ミサオとマークの模擬戦は続く。
「ヒャッハー!これこれ!向こうのより精度いいかも!」
「あの、ミセスミワ?そんなタンタン撃たなくても・・・まで逃げないし、ね?」
射撃訓練場ではハイテンションのミワと引き気味のクミコが的に向かっている。
「いや、いい勉強になったよジョロ。」
「そんな事ないよティギー。1泊なんて淋しいね。次きた時は、他の仲間にも紹介するよ!」
「仲良き事は美しきかな。若いって素晴らしいね、ミサオ?」
「・・・結局コテンパンかよ。その笑顔が少し憎らしいわ!・・・ま、次回に雪辱だな。ありがとう、マーク。」
改めて握手を交わす父2人。
「クミコ!久々にSushi、廻るSushi!みんなでLETS.GO!」
「何でそんなに元気なの?パピ助けて・・・。」
「・・・相当ミワに気に入られたね?君のハズバンド。」
「・・・ま、仲悪く無いみたいだし、いいんじゃない?それに飯の要望もあるみたいだし、行きますが?みんなで。」
子供達にも声を掛け、二家族共に近くで評判の回転寿司へ。
「最近は、ロコモーティブでもSushi来ますか?面白~いで~すね~!」
「ミワ、そのイントネーション、力抜けるのよね?」
「女性陣も楽しめてますね?子供達は楽しんでますか?」
「僕はカルビ!」
笑顔で言うタイガ。
「僕トントロ!」
合わせて言うコジマル。
「タイガくんとジョロも、ここ寿司屋なんだけどな?・・・マーク、コップ出して?そうそう、ま、一杯。」
「・・・ぷはぁ~!動いた後のこの一杯目。このトリビー!良いですね!」
「俺帰り車だから飲めんけれども、そう美味そうに飲まれると悔しいな?くそ、家で飲んでやる絶対!」
ワイワイと食事が進んでゆく。
そして次の日。
「何か、あっと言う間だね?ティギー。グランパとグランマにも会えたんでしょ?」
「そうだね。朝のグランマの味噌スープ、染みたな。・・・でも、凄くエキサイティングだったよジョロ。・・・君は日本の、ほら、あれ・・・そう!マブダチ!」
「マブダチ!そう、ティギーと僕はマブダチ!」
「親睦も深まって何よりですね?今度はあなた達がD.Cにきて下さい!」
「お!いいね!家族で海外、まだ無いから!やっぱ飯の量もビッグかな?」
「今は日本の円、価値安いよ?」
「それなぁ・・・行くならエコノミーか?あ!その前に俺高所恐怖症・・・。」
金銭と高所のダブルアタックに撃沈するミサオ。
その横では既にクミコの口から、何やら白いモヤモヤが抜け出ようとしている。
「マミ?パピ?生きてるよね?ほら、みんな行っちゃうよ?」
コジマルに声を掛けられ、意識を取り戻す永井家夫婦。
「人々の平和の為に!」
ミサオにVサインを送るマーク。
「みんなの笑顔の為に!」
マークにVサインを返すミサオ。
「家族の!」
「未来の為に!」
互いに右手の親指を立てて叫ぶタイガとコジマル。
そして一泊二日の視察を終え、タイガ家族は帰国の途に着いた。
「台風みたいだったな?マミ。」
「も、無理。ミワ、パワフル過ぎ!・・・マークの方がよっぽど日本人よね?」
お互い苦笑する永井家夫婦。
「世界には、ティギーみたいな仲間達がまだまだ居るんだよね。・・・早く、収まればいいね?パピ、マミ!」
嵐の様な、けれども太陽の様な海外の仲間達。
その無事を祈りながら、永井家は横須賀へと帰って行った。
ーーーーーーーーーーーー
あとがき
今回は、永井家が初めて“海外の似た者同士”と出会うエピソードとなりました。
FBI所属の獣人タイガ・ハドソンとその家族との交流を通して、「国境や種族を超えても、家族は家族」というテーマをじんわり描きたく、テンポとギャグを交えつつ執筆しました。
とはいえ、マークやミワのハイテンションぶりに、クミコやミサオがタジタジになる様子は、書いていても楽しく、そしてジョロとタイガが“マブダチ”になる流れには、個人的にも胸が熱くなりました。
彼らとの再会、あるいは今度は永井家が渡米する展開があるのか──。
それはまた、物語が進んだその先にて。
次回もぜひ、お楽しみに!
ー武者小路参丸ー
詳しい話を聞かされないまま現場に連れて来られたクミコとコジマル。
「ん?ああ、連絡きていきなりだったもんでな?しかも途中で車乗り換えだわ、打ち合わせだわで一苦労でさ?」
内容伝達を失念していた事にここで気付くミサオ。
「外国からの視察来るみたいなんだけど、そのガードと案内らしいよ?」
「パピ、何でそれでわざわざ僕達なの?しかも獣人モードで。」
コジマルが首をかしげる。ミサオやクミコと同じスーツ姿だが、シッポと耳が見えているので、コスプレにしか見えない。
「ん?ああ、初めて来るらしいぞ?ウチらと同じ様な家族。しかもFBI所属だと!」
「FBI!あのクリミナルなんちゃらとかみたいな感じ?」
「マミ?それ海外ドラマじゃん?俺等unknown相手だよ?向こうも普通そうじゃね?」
ガードにしては騒がしい永井家。
「"Hey! You must be the family assigned to escort us today! Looking forward to working with you, brothers!"」
「やあ!君たちが我々のエスコートをしてくれる家族かい?今日は頼むね?兄弟達!」
ゲートをくぐり終えた人達の中からこちらに向かって来る3人の男女。その中に見える黄色と黒の縞模様のシッポと頭。耳はたれてはいない。その彼が声を掛けてきた。
「タイガー、ですか?」
クミコがポカンとする。
「・・・ですね?米国はペットなんですか?虎って?」
ミサオも予想外だったのか呆れた顔をしている。
「やあ!いらっしゃい!ようこそ日本へ!」
英語もちんぷんかんぷんで戸惑う親達を余所に、虎獣人と握手を交わすコジマル。
「うわっ!息子の方がフレンドリー!・・・お前、英語分かるの?」
ミサオが不思議そうにコジマルに聞く。
「へ?分かるよ?獣人同士だもん。パピもマミも分からないの?」
逆に問い返されるミサオとクミコ。
「そう言う事ね・・・。言葉と言うより思念伝達に近いのかしら?羨ましい。」
クミコが少し拗ねる。
「やあ!今日はありがとう。あ、言葉は日本語で平気ですよ?妻がこっちの人ですから!」
陽気に話す白人男性。家族3人、ハーフパンツにサンダル、アロハにストローハット、ご丁寧に黒のサングラス。
「ハイ!どうもこにちは!永井家の皆さんで~すね?私達はステイツからきま~した!」
タイガーの母親。
日本人なのに言葉が少しおかしい。
「旦那さんの方がベラベラやないですか?」
「奥様?お母様日本人ですよね?」
クミコとミサオが同時に突っ込む。
「ハハッ、向こうに染まってしまってつい・・・。」
「すみませんね?妻は私より米国かぶれでして・・・。改めまして。私の名前はマーク・ハドソン。妻がミワ・ハドソン。息子のタイガ・ハドソンと言います。私はビューローでは特殊な仕事に着いていましてね。今日は視察名目での骨休めも兼ねてるんですよ。タイガもじーじやばーば、グランパやグランマに会いたいもんな?」
「ビューロー?・・・あ!FBIのBですか!あ、どうも!・・・一応今は公務も兼ねてますが、私がこの永井家の父親となりますミサオと申します。日本警察の役職では警部補ですね。ルーテナント?こっちが妻のクミコ、息子のコジマルです。・・・ちなみにハドソンさん?は、私達の事をどこまで?」
ミサオが父親のマークに聞く。
「・・・二尉ですよね?把握しています。私は向こうでSSAの立場にいます。貴方と似たような感じですね。そうそう、ミスターミサオ。私の事も、マークで良いですからね?」
笑顔でミサオの肩を抱くマーク。
隣では妻のミワがクミコにハグしている。
「はは、は~い!ま、ま、まいね~むいずクミコ!よ~ろし~くね~!」
「マミ、テンプレそれ!リラックスして?ジョロ見習お?」
そのまま待たせてあった黒塗りの高級ワンボックスに乗り、警察庁へと向かう。
そのままハドソン一家と共にH-FORCE(エイチ・フォース)本部へと進む永井家。
内部ではコマンダーとマークが固い握手をかわす。
「ウェブ上ではいつもやりとりしてますが、やはり生身でお会い出来るのは感慨深いですね。・・・初めましてタイガくん。斎藤と言います。家族みんな、仲良さそうですね?何よりです。」
微笑む斎藤。
「はい。ダディもマムも、僕を大切にしてくれています。だから僕も、任務の中で大切な事をいつも忘れない様にしています。」
タイガの言葉にうなずく斎藤。
「ではミスター。やはり予定通りに?」
「はい。タイガも楽しみにしてましたし、ミワも私も日本の武器を試せるのを心待ちにしていました!」
「ハイ、クミコ?日本のハンドガン、ステイツよりち~いさい?レッツシューティング!」
「え?あの?パピ?ジョロ?」
首の後ろをミワに掴まれながら連れて行かれるクミコ。
「・・・ご愁傷様、マミ。で、俺達は?」
「ジョロとミサオさんは、2人と模擬やってもらう。」
「タイガくんと?やる!」
「ジョロ?負けませんよ?」
獣人2人は笑顔で臨戦モード。
「・・・相手FBIのプロですよ?俺にどうしろと?」
引き気味のミサオ。
「お手柔らかにお願いしますね?ミサオ。」
訓練場へと場所を移し、それぞれにペアとなり腕前を競う二組の一家。
肉弾戦で相対するタイガとコジマル。
「・・・君、元々トイ・プードルだよね?何で力で僕に対抗出来るの?」
「・・・結構キツいよ?流石タイガー、伊達じゃないよね?」
「何故に相撲?他にやる事ありそうな・・・。」
「HEY!ミサオ、よそ見しないよ?READY?」
「失礼!GO!」
組み合うマークとミサオ。
と、瞬時に組み伏せられるミサオ。
「痛!ギブ!ギブギブ!」
右腕を決められたミサオが左手でタップする。
「ミサオ、本気を出して下さいね?」
「マーク、俺正規の訓練3日間しか受けてないから!プロじゃないから?」
ミサオがマークに訴える。
「それ、息子が危険になった時も言えますか?」
「!・・・失礼。マークさん、いやマーク。俺は我流だよ?」
昔取った杵柄のストリートファイトスタイル。低い体勢からのダッシュをかけるミサオ。
と、マークの手前で急停止からのアッパー。後ろに避けたマークへ前蹴りの追撃。それに合わせるマークの右拳のカウンター。
左を半身に下げて右のボディを寸前で止めるミサオ。
「・・・あなたはフリースタイルの方が良いみたいですね?ミサオ。」
「よく言いますよ、ワザと開けたでしょ?・・・あったまってきましたよ。もう少しいきますか?」
ミサオとマークの模擬戦は続く。
「ヒャッハー!これこれ!向こうのより精度いいかも!」
「あの、ミセスミワ?そんなタンタン撃たなくても・・・まで逃げないし、ね?」
射撃訓練場ではハイテンションのミワと引き気味のクミコが的に向かっている。
「いや、いい勉強になったよジョロ。」
「そんな事ないよティギー。1泊なんて淋しいね。次きた時は、他の仲間にも紹介するよ!」
「仲良き事は美しきかな。若いって素晴らしいね、ミサオ?」
「・・・結局コテンパンかよ。その笑顔が少し憎らしいわ!・・・ま、次回に雪辱だな。ありがとう、マーク。」
改めて握手を交わす父2人。
「クミコ!久々にSushi、廻るSushi!みんなでLETS.GO!」
「何でそんなに元気なの?パピ助けて・・・。」
「・・・相当ミワに気に入られたね?君のハズバンド。」
「・・・ま、仲悪く無いみたいだし、いいんじゃない?それに飯の要望もあるみたいだし、行きますが?みんなで。」
子供達にも声を掛け、二家族共に近くで評判の回転寿司へ。
「最近は、ロコモーティブでもSushi来ますか?面白~いで~すね~!」
「ミワ、そのイントネーション、力抜けるのよね?」
「女性陣も楽しめてますね?子供達は楽しんでますか?」
「僕はカルビ!」
笑顔で言うタイガ。
「僕トントロ!」
合わせて言うコジマル。
「タイガくんとジョロも、ここ寿司屋なんだけどな?・・・マーク、コップ出して?そうそう、ま、一杯。」
「・・・ぷはぁ~!動いた後のこの一杯目。このトリビー!良いですね!」
「俺帰り車だから飲めんけれども、そう美味そうに飲まれると悔しいな?くそ、家で飲んでやる絶対!」
ワイワイと食事が進んでゆく。
そして次の日。
「何か、あっと言う間だね?ティギー。グランパとグランマにも会えたんでしょ?」
「そうだね。朝のグランマの味噌スープ、染みたな。・・・でも、凄くエキサイティングだったよジョロ。・・・君は日本の、ほら、あれ・・・そう!マブダチ!」
「マブダチ!そう、ティギーと僕はマブダチ!」
「親睦も深まって何よりですね?今度はあなた達がD.Cにきて下さい!」
「お!いいね!家族で海外、まだ無いから!やっぱ飯の量もビッグかな?」
「今は日本の円、価値安いよ?」
「それなぁ・・・行くならエコノミーか?あ!その前に俺高所恐怖症・・・。」
金銭と高所のダブルアタックに撃沈するミサオ。
その横では既にクミコの口から、何やら白いモヤモヤが抜け出ようとしている。
「マミ?パピ?生きてるよね?ほら、みんな行っちゃうよ?」
コジマルに声を掛けられ、意識を取り戻す永井家夫婦。
「人々の平和の為に!」
ミサオにVサインを送るマーク。
「みんなの笑顔の為に!」
マークにVサインを返すミサオ。
「家族の!」
「未来の為に!」
互いに右手の親指を立てて叫ぶタイガとコジマル。
そして一泊二日の視察を終え、タイガ家族は帰国の途に着いた。
「台風みたいだったな?マミ。」
「も、無理。ミワ、パワフル過ぎ!・・・マークの方がよっぽど日本人よね?」
お互い苦笑する永井家夫婦。
「世界には、ティギーみたいな仲間達がまだまだ居るんだよね。・・・早く、収まればいいね?パピ、マミ!」
嵐の様な、けれども太陽の様な海外の仲間達。
その無事を祈りながら、永井家は横須賀へと帰って行った。
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あとがき
今回は、永井家が初めて“海外の似た者同士”と出会うエピソードとなりました。
FBI所属の獣人タイガ・ハドソンとその家族との交流を通して、「国境や種族を超えても、家族は家族」というテーマをじんわり描きたく、テンポとギャグを交えつつ執筆しました。
とはいえ、マークやミワのハイテンションぶりに、クミコやミサオがタジタジになる様子は、書いていても楽しく、そしてジョロとタイガが“マブダチ”になる流れには、個人的にも胸が熱くなりました。
彼らとの再会、あるいは今度は永井家が渡米する展開があるのか──。
それはまた、物語が進んだその先にて。
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